FIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第11戦ハンガリーGP(開催地:ハンガリー・モギョロード、<コース全長:4.381km・決勝70周>、開催期間:7月22~24日)の予選セッションが、現地時間7月23日(土曜日)の13時20分から実施された。
結果は、メルセデス陣営のニコ・ロズベルグがポールポジションを獲得。これにチームメイトのルイス・ハミルトンが続き、3番手にはレッドブル陣営のダニエル・リカルドがつけている。
ちなみにブタペスト郊外の丘を活かし、大皿のように広がる底面に14のコーナーを持つハンガロリンクは、テクニカルなコースレイアウトが大きな特徴である。
また昨年は、不安定な天候によって脱落者が続出した。加えて今季は、路面の再舗装が施されたことによる新たなアスファルト面が、予選・決勝にもたらす影響について未だ未知数となっている。
予選開始時の環境は、気温20度・湿度95%・路面温度26度。スタート開始時刻が10分、20分とずれ込んだことから、各ドライバー・チーム共に、予選セッションのスケジュールが安定しないと読んだ。このことから、いつもとは異なりピットレーン出口に長い行列が出来た。
実際、その進行は誰もが想定した通りとなり、Q1は途中中断。断続的なセッション消化となった。
結果Q1は、1分18秒を残して終了。ジョリオン・パーマー(ルノー)、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)、ケビン・マグヌッセン(ルノー)、マーカス・エリクソン(ザウバー)、パスカル・ウェーレイン(マノー)、リオ・ハリアント(マノー)が脱落した。
続くQ2は、路面コンディションが改善に向かう中、各車インターミディエイトタイヤを履いて開始。
各車、自己タイム更新を重ねる中かで、ロマン・グロージャン(ハース)、ダニール・クビアト(トロ・ロッソ)、セルジオ・ペレス(フォース・インディア)、キミ・ライコネン(フェラーリ)、エステバン・グティエレス(ハース)、フェリペ・ナッサー(ザウバー)が脱落。
さらにQ3では、一転してドライコンディションとなったことから、出走各車共にファーストテットタイムに挑むタイミングに苦しんだ。
結果、セッション後半にクリーンラップに恵まれたニコ・ロズベルグ(メルセデス)が1分19秒965で首位。
2番手は、アロンソのセッション中のスピンでタイム更新を阻まれ、自己の1分20秒108のラップタイムを超えられなかったルイス・ハミルトン(メルセデス)。
3番手は、ダニエル・リカルド(レッドブル)の1分20秒280、以下4番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、5番手セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、6番手カルロス・サインツ(トロ・ロッソ)。
7番手は、最終セッションにスピンを喫した事により、タイム更新の機会を失ったフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)。
8番手は、セッション早々の段階でフロントウイングの損傷に気付いて事無きを得たジェンソン・バトン(マクラーレン)、9番手ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)、10番手バルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)となった。
ポールポジション・ニコ・ロズベルグ
「今週末は天候の影響もあって、エキサイティングな予選となった。最初は、大きな水たまりが出来ていたコースコンディション下で、沢山のクルマがコースオフした。
いつもウエット路面ではレッドブルが強みを発揮するが、今回、僕のマシンはウエット路面でも感触は良かった。
その後、路面が乾いてきたから、最終ラップを全力で走ってリードを広げることに成功した。
今回も含め常に僕が良いポジションを取れるように、努力をしてくれるチームは感謝している。
明日はルイスやレッドブル相手に激しいバトルになるだろうから、それを楽しみにしている」
予選2番手・ルイス・ハミルトン
「Q3の途中のコース上で、フェルナンド(アロンソ)が、僕の方を向いているなんて全く予想していなかった。僕はあの時点で0.4秒速かったし、クルマのバランスにも満足していた。だからポールポジションが獲れると確信していた。
ただ、これがレースだ。2番手からでもベストを尽くす。良いスタートが切れれば、それが役に立つだろう。
明日こそは良いスタートを決められるように心から願っている。ターン1までは長い直線だから、そこでチャンスがある。それですべてが変わってくるだろう。午前の僕のロングランペースはとても良かったし、良いレースになるよう期待している」
予選3番手・ダニエル・リカルド
「フェルナンド(アロンソ)がターン9でスピンしたのを見た時、かなりタイムを縮めているところだったからすごく腹が立った。ニコ(ロズベルグ)のタイムには、確実に近づけた思う。
僕らは1分19秒9以上のタイムを出せたと思う。メルセデスからポールを奪える機会は多くないけど、今日は間違いなくそのチャンスがあった。
ただ、ポジティブに見れば、僕らは速かったし、マシンにも満足している。だから、それが明日も好材料になればいい。
コンディションが変わっていく今回のセッションは面白かったし、心から楽しめたと思う。
現実にはひどくクレイジーなコースコンディションで、アクアプレーニングや水しぶきがひどく、アドレナリンが出まくっていた。加えてその後、コース上が急激乾いていったから、それに対応していかなきゃならない。それは本当にクールだった」
以下はマクラーレン・ホンダ陣営の予選終了後のコメントとなる。
予選7番手・フェルナンド・アロンソ
MP4-31-02
FP3 7番手 1分21.584秒(トップとの差 +1.323秒) 11周
予選
Q1 3番手 1分35.165秒(インターミディエイトタイヤ)
Q2 4番手 1分23.816秒(オプションタイヤ)
Q3 7番手 1分21.211秒(オプションタイヤ)
「久しぶりにMcLarenの両マシンが予選でトップ10に入った。今週末は我々にとってまた一歩前進となり、チームの方向性と進化には満足している。
特にQ2の難しいコンディション下での走行は、特に楽しかった。今日の我々は、ドライでもウエットでも速かったし、ウエットとドライが入り混じったコンディションでは、さらにスピードがあった。
そのミックスコンディション下でドライタイヤを履いた際には、少しリスクを背負ったが、それも楽しめた。
このコースは、ほかのサーキットよりも我々のマシンに適しており、今のところ、どのセッションでも7番手につけている。我々の競争力はまずまずだし、明日のレースではさらに改善できると思う。
最終ラップでは、6コーナー進入時にブレーキを踏むタイミングが遅くなり、シケインを横切ってしまったため、そこで少し時間をロスした。
それをばん回したかったため、プッシュし過ぎて、9コーナーでスピンを喫した。
ラップタイムを0.2秒更新できると思っていたのに、逆に自分のミスでそのチャンスを失い、少しフラストレーションがたまった。
ただ、明日の決勝に向けて7番手のポジションを獲得したことは、まずまずの結果だ。明日はコース上の(路面グリップがある)クリーンサイドからのスタートとなります。明日は入賞を目指して、仕事を成し遂げたい」
予選8番手・ジェンソン・バトン
MP4-31-03
FP3 13番手 1分22.009秒(トップとの差 +1.748秒) 11周
予選
Q1 10番手 1分37.983秒(インターミディエイトタイヤ)
Q2 7番手 1分24.456秒(オプションタイヤ)
Q3 8番手 1分21.597秒(オプションタイヤ)
「今日はドライとウエットの入り混じったコンディション下で、マシンがうまく機能していた。
迅速な判断を必要とし、それが毎周異なるといった状況は、いつもながら楽しい。
フェルナンドと私は、そういった状況を対処するのが得意だし、最後のアタックラップでは、確実に0.2~0.3秒更新する勢いで走行していた。
結果、イエローフラッグが出されたので、我々は最終ラップを走り切ることができなかったが、このようなコンディションでは、そういうことは時に起こるもの。
そうして予選で、両マシンがトップ10に入ったのは良かったが、それを成し遂げた途端、それでは物足りず、さらに上を求めたくなる。
明日は(路面グリップがあまりない)ダーティーサイドからスタートするので、私にとっては厳しい状況だが、それを最大限に生かすつもり。
ここには新しいアスファルトが敷かれており、今日雨が降ったことから、実際には思ったよりも少しいい状況になるかもしれない。我々が競い合うべきマシンよりも前のポジションを獲得できたことも良かった。ただ、前方にいる他チームのマシンは、我々よりもずっとスピードがある。
ウエットコンディションでは、タイヤをうまく機能させるのがとても難しかった。
特にフロントタイヤで苦労した。また、フロントウイングの部品が外れるという問題があったが、修理したところ、問題は解決した。
ウエットコンディションでは、フロントエンドにまだ問題があったが、最終的には改善した。その後のドライコンディションの時は楽しかったし、マシンの実力を最大限に引き出すことができた。
明日の7番手および8番手からスタートは、それほど悪いポジションではない。今日のようなコンディションでは、我々は常にいい仕事をしてきたし、チームにとってはうれしい結果だろう。
明日どうなるのかは本当に予想はつかないが、決勝を楽しみにしている」
エリック・ブーリエ|McLaren-Honda Racing Director
「今日は両マシンがQ3に進出しましたが、これは2014年のブラジルGP以来のことです。
McLarenはこの程度の結果をもとに、その輝かしい名声を築き上げたわけではありませんが、やはり勇気づけられる結果でした。
また今日の結果は、我々がレースごと、そして週ごとに、絶え間なく進化していることの表れです。
両ドライバーは、2時間に渡る波乱の予選セッションのプレッシャーを冷静に対処し、7番手および8番手というスターティングポジションを獲得するに値する、見事な走りをみせてくれました。
明日のハンガリーGPでは、2人ともそのグリッドポジションから、いつものように必死にアタックします。アロンソもバトンも、現代のF1の中で、最も根性を備えたドライバーとしてともに名声を築き上げています。
通常、グランプリ前に大きな約束をすることは避けるのですが、当然のことながら、明日の目標は2台揃って入賞することです」
長谷川 祐介|本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「非常に難しい予選コンディションの中、アロンソ、バトンの両者が好タイムでQ3に進出しました。
そのQ3ではドライに変わり行く状態の中、7番手、8番手と初めて2台揃って一桁台のグリッドポジションを獲得しました。
Q1では大雨から晴れへと目まぐるしく変わる天候の中、ドライバーとチームが状況にうまく対応できたと思います。
Q3でのポジションは今持ち合わせているマシン全体の実力を発揮できたものと思っており、明日の決勝では力強いレースができると思います」
1_ニコ・ロズベルグ/メルセデス/1’19.965/Q3
2_ルイス・ハミルトン_メルセデス/1’20.108/Q3
3_ダニエル・リカルド/レッドブル/1’20.280/Q3
4_マックス・フェルスタッペン/レッドブル/1’20.557/Q3
5_セバスチャン・ベッテル/フェラーリ/1’20.874/Q3
6_カルロス・サインツ/トロ・ロッソ/1’21.131 28/Q3
7_フェルナンド・アロンソ/マクラーレン/1’21.211/Q3
8_ジェンソン・バトン/マクラーレン/1’21.597 25/Q3
9_ニコ・ヒュルケンベルグ/フォース・インディア/1’21.823/Q3
10_バルテリ・ボッタス/ウィリアムズ/1’22.182 26/Q3
11_ロマン・グロージャン/ハース/1’24.941/Q2
12_ダニール・クビアト/トロ・ロッソ/1’25.301/Q2
13_セルジオ・ペレス/フォース・インディア/1’25.416/Q2
14_キミ・ライコネン/フェラーリ/1’25.435/Q2
15_エステバン・グティエレス/ハース/1’26.189/Q2
16_フェリペ・ナッサー/ザウバー/1’27.063/Q2
17_ジョリオン・パーマー/ルノー/1’43.965/Q1
18_フェリペ・マッサ/ウィリアムズ/1’43.999/Q1
19_ケビン・マグヌッセン/ルノー/1’44.543/Q1
20_マーカス・エリクソン/ザウバー/1’46.984/Q1
21_パスカル・ウェーレイン/マノー/1’47.343/Q1
22_リオ・ハリアント/マノー 1’50.189/Q1