日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)は5月27日、世界最長、最高の難易度を誇るサーキットのひとつとして知られるニュルブルクリンクで「NISSAN GT-R NISMO」2017年モデルを初公開した。
同サーキットは、同車が走行性能を磨き、チューニングを行い、開発を実施してきた場所でもある。
「NISSAN GT-R NISMO」2017年モデルは、標準モデルと同様にフロントエンドの新しいバンパーが大きな特徴となった。
高出力エンジンの冷却性能を向上させるために、開口部は空力性能を悪化させることなく拡大し、ダーククローム仕上げのVモーショングリルを配している。
また、フード剛性は大幅に強化すると共に超高速域での変形を抑制し、卓越した空力性能を実現した。
NISMOモデル専用のカーボンファイバー製フロントバンパーは、カーボンファイバーシートを幾層にも重ねて精巧に作り上げることで理想的な強度を実現し、カナード形状のデザインがもたらす空気の流れにより大きなダウンフォースを発生させると同時にホイールハウス周辺の空気を吸引することで空力性能をさらに向上させている。
これらの改良により「NISSAN GT-R NISMO」のボディ形状はこれまでの日産車の中で最大のダウンフォースと、超高速域での優れた安定性を実現した。
新型「NISSAN GT-R NISMO」2017年モデルは、より快適な乗り心地を提供する「NISSAN GT-R」2017年モデルの刷新されたインテリアを踏襲しつつ、そのインテリアに大きな改良を加えた。
新デザインのダッシュボードの上層部、ステアリングホイール、センターアームレストには、高品質のアルカンターラ®レザーを使用している。
また、センターダッシュボードのレイアウトも刷新し、現行モデルでは、27個あったナビゲーションやオーディオのスイッチを、2017年モデルでは11個にまで削減し、簡素化した。
加えて8インチに拡大したタッチパネルモニターには、操作性に優れた大型のアイコンを採用した。カーボンファイバー製のセンターコンソールに搭載された新しいディスプレーコマンドコントロールは、高速域における運転中でもモニターをタッチすることなく操作が可能。
同車のシートは、赤のアルカンターラ®を中央部分に使用したレザー仕様のレカロ製カーボンバケットシートを採用した。
ちなみに標準モデルのボディ剛性を大幅に向上したことで、「NISSAN GT-R NISMO」の走行性能も向上している。
スラロームタイムやコーナーリング性能が向上したことからも分かるように、より高いボディ剛性とダウンフォースが、超高速域まで含めたコーナーリング時の安定性の向上を可能にした。
このボディ剛性の向上により、ショックアブソーバー、スプリング、スタビライザーそれぞれのより突き詰めたセットアップを行うことで、接地性と走行性能も向上している。
なお「NISSAN GT-R」が採用しているBilstein DampTronicは、複数の車両情報システムを活用することで、路面状況や走行条件に対して適切なサスペンションの減衰力と、様々なドライビングシーンに応じた高レベルのコントロールを可能にするモード設定型電子制御式のショックアブソーバーである。
今回、このショックアブソーバーに、NISMOモデル向けの特別なチューニングを施すことで、出力441kW(600PS)を誇る3.8リッターV6ツインターボエンジンのパワーを更にしっかりと路面に伝えることを可能とした。
パワーユニットに目を転じると、「NISSAN GT-R NISMO」のVR38DETTエンジンは、世界中のモータースポーツで培ってきたNISMOの経験と技術が生み出したもの。
6速デュアルクラッチトランスミッションとともに、GT3選手権で使用する高流量、大口径のツインターボチャージャーを搭載するエンジンは、標準モデルと同様に、熟練した匠が専用のクリーンルームで一台一台精巧に組み立てられる。
エンジンのフロント部分に取り付けられたアルミプレートには「匠」の名前が刻まれている。
新型「NISSAN GT-R NISMO」は全体のバランスを更に向上し、コーナーの多い山道でも、サーキットでのレース走行と同じように力強い走りを楽しめるクルマへと深化を遂げた。
「GT-R NISMO」および「GT-R」のチーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志氏は、「『NISSAN GT-R NISMO』 は、その名前の由来の中でも『R』 に重きを置いています。
レース走行に特化することで、どのサーキットコースでも快適な乗り心地を実現し、最高レベルの興奮と喜びをドライバーに提供しています。
新型『NISSAN GT-R NISMO』 は、『NISSAN GT-R』2017年モデルをベースに、パフォーマンスの向上だけでなく、よりバランスのとれた、全体的に高級感のあるマシンに仕上げました。
これは、究極のドライビングプレジャーを常に追求した結果です」とコメントした。
この「NISSAN GT-R NISMO」2017年モデルは、5種類の外装色から選択可能。同車は栃木工場で、エンジンは横浜工場で組み立てられる。
NISMOについて
NISMOは、日産の「今までなかったワクワクを(Innovation that excites)」を具現化するパフォーマンスブランドである。
NISMOはストリート用の商品ラインナップも有し、革新的な技術とパフォーマンスをこれまでよりも広いお客さまに届けていくことに力を入れていく。
NISMOのクルマはモータースポーツで培われた空力スタイリング、卓越したハンドリングときびきびとした走りでドライバーにワクワクしたドライビングの提供を目指す。<
なお上記を踏まえ、NISMOはモータースポーツの世界では、日本のSUPER GTのGTカーやスポーツカーの最高峰のレースに自ら参戦するとともに、ルマン24時間レースやヨーロッパ ル・マンシリーズ(ELMS)に参戦しているチームにエンジンを供給していくとしている。
エンジン主要諸元(欧州仕様) | |
型式 | VR38DETT |
種類 | DOHC |
シリンダー数 | V型6気筒 |
総排気量 | 3.8L |
最高出力 | 441kW(600PS)/6,800RPM |
最大トルク | 652N・m(66.5kgf・m)/3,600-5,600RPM |
主要諸元 | |
全長 | 4690mm |
全幅(ドアミラー除く) | 1895mm |
全高 | 1370mm |
ホイールベース | 2780mm |