3月18日(金)まで、東京ビッグサイトの第14回国際オートアフターマーケットEXPO2016で出展中
曙ブレーキ工業株式会社(本店:東京都中央区、本社:埼玉県羽生市、代表取締役社長:信元久隆)が、「市販ロードカー用高性能自動車ブレーキの開発と量産化」に於いて、一般社団法人日本機械学会より2015年度「日本機械学会賞(技術)」を受賞した。
日本機械学会賞は、日本の機械工学と工業の発展を奨励することを目的として1958年に設けられ、毎年優れた論文、技術、製品が表彰されてきた。
曙ブレーキ工業は1982年に、「乗用車用新形ディスクブレーキの開発」において、自動車部品業界で初めて日本機械学会賞を受賞しており、今回は2回目の受賞となった。
今受賞は、超高速・高温域からの安定した制動性能と大幅な軽量化の実現、および市街地走行での快適性の両立が評価された。
この市販ロードカー用高性能自動車ブレーキは、マクラーレンが2013年に発売した超高性能ロードカー『P1TM』に搭載されている。
曙ブレーキ工業では、「当社はさまざまなモータースポーツ活動によって培ったブレーキ技術のノウハウを結集し、高性能量販車向けブレーキの開発を行っていますが、この度受賞が決定した『P1TM』用ブレーキシステムはその第一弾です。
2015年には量販車向けとして世界初の10ポットブレーキキャリパーを開発しており、今後も更なる高性能量販車向けビジネスの拡大を図っていきます」と語っている。
なお日本機械学会賞の表彰式は、明治記念館に於いて4月21日(木)に行われる。
以下はP1TM搭載のakebono製ブレーキシステムの概要
※2013年3月5日に於ける第83回ジュネーブモーターショー プレスカンファレンスに於いての会見概要
『P1TM』にはGT3やル・マンなどのレーシングカーと同等性能のブレーキが採用されたが、同性能は、現在販売されているスーパースポーツカーを凌駕するものとなった。
マクラーレンのF1パートナーであるakebonoが開発したブレーキシステムには、最も厳しく極限のテストを通った新型カーボンセラミックディスクが搭載され、ロードカーでは初のもの。
このカーボンセラミックはマクラーレンの『P1TM』やF1マシンに使われる以前、その耐熱性の高さから宇宙ロケットプログラムで採用されている。
従来のカーボンセラミックより強く、放熱性に優れており、ディスクとパッドの摩擦によって発生するエネルギーをマクラーレン『MP4-12C』に使われているカーボンセラミックより50%多く吸収する。
このカーボンセラミックディスクは、ディスクの両摩擦面に、地球上でもっとも堅い素材のひとつである炭化ケイ素を含浸させており、これにより高い制動性を発揮するばかりでなく、表面を美しい鏡面に仕上げることができている。
akebonoはF1技術を応用し、最適なパフォーマンスを確保するべく、素材、構造、表面処理などブレーキシステムの全てにおいてこだわってきた。
このブレーキシステムは従来のカーボンセラミックと比べ、より低温で作用するが、高速走行時等の極限状況では従来のカーボンセラミックよりおよそ150℃も高い温度で使用することができる。
高温での使用が可能なディスクであるため、通常より小型化、軽量化が可能になり、『P1TM』のブレーキディスクサイズはフロントが390mm、リアが380mmとしている。
『P1TM』専用のブレーキパッドはakebonoが開発し、akebonoのモノブロックアルミニウム・オポーズドキャリパーに組み込まれている。
フロントは6ピストン、リアは4ピストンで、軽量化と引きずりの最小化という(相反する)性能の同時追求にF1の技術が応用されている。
その性能はル・マンレース用に近く、その減速度は約2Gにも達する一方で、4kgもの軽量化を実現した。
『P1TM』チーフテストドライバーのクリス・グッドウィン氏は、「スーパースポーツカーと呼ばれるマシンの多くは、ル・マン、シルバーストーンおよびモンツァなどの高速サーキットでのブレーキングに苦しんでいるが、それはダウンフォースが足りないためです。
『P1TM』はダウンフォースが発生している環境下で作動するため、非常に高い制動力を発揮します」と述べている。
『P1TM』へのブレーキシステム搭載時に於ける曙ブレーキ工業社長 ・信元久隆のコメント
「当社は2007年よりF1のボーダフォン・マクラーレン・メルセデスと協力関係を結び、世界最高峰のモータースポーツにおいてブレーキ技術の開発と精錬を重ねてきました。
マクラーレンのFIA GTシリーズのレース専用カー『MP4-12C GT3』に当社ブレーキシステムが採用されたのに続き、この度、マクラーレンが最先端の技術を注ぎ込み、満を持して世に送り出した超高性能ロードカー『P1TM』に採用されたことは、世界最高のブレーキメーカーを目指す我々にとって大変名誉なことであり、誇りでもあります。
当社は『将来に向けた技術の差別化』を重点課題のひとつとして掲げ、高性能量販車向けビジネスの立上げを準備してきましたが、今回の『P1TM』へのブレーキシステム提供はその第一弾であり、今後とも弛まぬ技術開発により、さらなるビジネスの拡大を図っていきます」
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