株式会社ネクス(本社:岩手県花巻市、代表取締役社長:秋山 司、以下ネクス)と、株式会社ブレインパッド(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐藤 清之輔、以下ブレインパッド)は、IoT(*1)時代の到来に向け、ネクスの提供するテレマティクス(*2)デバイスを利用した、コネクテッドカー(*3)ビジネスのためのプラットフォーム構築における協業に合意した。
協業の内容
さまざまな構想が進む当領域において、既に国内市場向けに最適化されたテレマティクスデバイスを提供しているネクスと、当該デバイスで収集できるデータに関する分析実績を有するブレインパッドが協業することにより、自動車業界や保険業界をはじめとして、自動車の走行支援や車両診断、渋滞緩和などの交通管理、危険予知や交通事故削減などといった、さまざまな可能性のあるコネクテッドカービジネスを強力に支援していく。
■協業の背景
コネクテッドカーと呼ばれる、通信機能が付加された車両から走行データなどを収集して活用する領域は、成長が期待されるIoTの中でも、B2B市場からB2C市場までの裾野の広がりが特に期待されており、2020年までに世界で約15兆円の市場規模になるといわれている(*4)。
現在、通信機能を標準搭載する車両は一部の高級車種のみであり、その他多くの車両から各種データを取り出して通信を行うためには、故障診断用の国際規格であるOBDII(*5)端子に、データ取得用の通信デバイスを後付けする方法が標準的とされている。
しかしながら、国産自動車メーカーの車内通信は、海外自動車メーカーに比べ標準化が進んでおらず、国際標準に基づいて開発されたデバイスでは、国産メーカーの車両からはデータが取得できない、または取得できるデータの種類が非常に限られてしまうことが、国内外のテレマティクスデバイスメーカーの参入障壁となっていた。
結果、国内市場においては、複数の自動車メーカーや車種をまたがる車両走行データの収集自体が困難となり、諸外国に比べ、当該データを高度に活用したサービス開発が遅れているといわれている。
ブレインパッドは、この国内問題を解決する技術を有した、車両データ解析ベンチャーの株式会社テクトム(本社:東京都中野区、代表取締役社長:富田 直樹、以下テクトム)に、2012年より出資しており、以来、当該領域のデータ分析に関するノウハウの蓄積を重ねてきた。
また、通信機器の企画製造を事業領域とするネクスは、2013年よりテクトムと協業し、国内最大の車両数に対応するOBDIIデータ通信ユニットの開発に成功した。
開発製品は、OBDII規格に対応した一般的な製品とは異なり、独自のソフトウェアを多数準備することで、900種類を超える圧倒的な車種対応数を実現している。
また、データ通信機能を搭載しているという特徴を最大限に生かし、毎年リリースされる新型車種、特定用途の車両の追加についても、順次ソフトウェアのアップデートで対応することができるという。
上記を踏まえ、ネクスとブレインパッドは、それぞれの領域における国内での先行実績をふまえ、車両走行データを活用したコネクテッドカービジネスの発展を推進することを目的に、データ収集・蓄積から分析後の活用にいたるまで、これから当該事業に参入する事業者をワンストップで支援するプラットフォームの構築を進めていくことに合意した。
■協業の内容
ネクスとブレインパッドは、テレマティクスデバイスを活用したサービス開発に取り組む事業者に対して、当該デバイスを利用し、データ収集からサービス開発までを網羅的にサポートする体制を構築していく。
通常、事業者がコネクテッドカービジネスに取り組む場合、車両に取り付けるテレマティクスデバイスの開発に始まり、通信回線の確保、収集したデータを蓄積するサーバー環境の用意、それらデータを解析するエンジンの開発、そして、最終的にそれらデータを活用したアプリケーション(サービス)の開発までを行う必要があり、ハードウェアからネットワーク/サーバー環境、データ分析、アプリケーション開発までの幅広いエンジニアリング・リソースが必要となるが、両社が構築するプラットフォームを活用することにより、こうしたコネクテッドカービジネスを利用したい事業者は、最終のサービス開発部分だけに注力することができるようになる。
■OBDIIデータ通信ユニットの特徴
・基本取得項目(10種類)
瞬間燃費、燃料噴射量、車速、エンジン回転数、エンジン冷却水温、積算距離、積算燃料、バッテリ電圧、ブレーキスイッチ、アクセルスロットル開度
・データ通信機能を活用し車両情報をサーバーに登録することで、OBD端子に接続するだけの簡単セットアップ
・業界最大レベルの国内900種類以上の車種に対応し、ソフトウェア自動更新により対応車種を今後も順次拡大可能
・OBDIIデータ10種、GPS、加速度データに対応し、車種固有の28種類の追加データも順次対応
・特殊車両についても相談の上対応可能
■両社の位置づけと役割分担について
ネクスとブレインパッドは、自らがコネクテッドカービジネスを展開するのではなく、当該事業開発に取り組まれる事業者を支援していくという。
ネクスが通信端末の開発と通信回線の提供、ブレインパッドが収集したデータの蓄積・分析環境の提供を担当し、さらに、ブレインパッドはニーズに応じて分析サービスの提供を行う。
また、ネクスはテクトムと共同で、継続的に対応車種の追加や、事業者から要望のあった特殊車両への対応などを進めてもいく。
■今後の取り組みについて
ネクスとブレインパッドは、コネクテッドカービジネスを構想される事業者に対するコンサルテーションサービスから開始し、要望に応じてシステム企画・開発の支援サービスも行っていく構え。
一方、ブレインパッドは、本協業に先駆け、すでに、テクトムが開発に協力したネクスのテレマティクスデバイスを最大200台の自動車に装着して走行データを収集する大規模な実証実験を開始しており、この実証実験で得られた知見を、本プラットフォームを活用した事業の支援に活かしていく予定。
(*1)「Internet of Things(モノのインターネット)」の略。コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在するさまざまなモノに通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。
(*2)テレコミュニケーション(Telecommunication=遠距離通信)とインフォマティクス(Informatics=情報工学)から作られた造語。車などの移動体に通信システムを組み合わせリアルタイムでの情報収集やサービス提供を行う。
(*3)インターネット通信機能を付加した自動車。また、安全性を高めたり、効率的な運転を助けるためにさまざまなデータを収集・分析して利用者に提供するだけでなく、利用者の生活情報まで含めてサービスを提供する情報端末として自動車を活用しようとする動きのこと。
(*4)出典:プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー株式会社「Strategy& Foresight vol.3 2015 Spring」内「コネクテッドカーの明るい未来」
(*5)自動車の排ガス制御部品とエンジンの主要部品を、継続的かつ定期的にモニターすることにより、主要部品や車両の状態を診断できるように設計された車載コンピュータ診断装置のこと。
■参考情報
●株式会社ネクスについて http://www.ncxx.co.jp/
本社所在地:岩手県花巻市椚ノ目第2地割32番地1
設立:2015年4月
代表者:代表取締役社長 秋山 司
資本金:310百万円(2015年4月1日現在)
従業員数:47名
事業内容:各種無線方式を適用した通信機器の開発、販売
上記にかかわるシステムソリューション提供および保守サービス
●株式会社ブレインパッドについて http://www.brainpad.co.jp/
(東京証券取引所 市場第一部:証券コード 3655)
本社所在地:東京都港区白金台3-2-10 白金台ビル
設立:2004年3月
代表者:代表取締役社長 佐藤 清之輔
資本金:331百万円(2015年6月30日現在)
従業員数:166名(連結、2015年6月30日現在)
事業内容:アナリティクス事業/ソリューション事業/マーケティングプラットフォーム事業
●株式会社テクトムについて http://www.techtom.co.jp/index.html
本社所在地:東京都中野区本町6-16-12 新中野FKビル
設立:1989年11月
代表者:代表取締役社長 富田 直樹
資本金:77百万円
従業員数:14名(2015年9月現在)
事業内容:自動車用電子制御装置および地球温暖化防止機器の開発