新型「RANGE ROVER EVOQUE」がワールドプレミア


都市からオフロードまで対応するラグジュアリーSUV

ジャガー・ランドローバーオートモーティブPLC(Jaguar Land Rover Automotive PLC、本社:英国・コベントリー、CEO:ラルフ・スペッツ)は英国時間の11月22日、ラグジュアリー・コンパクトSUVの新型「RANGE ROVER EVOQUE」を、ロンドンのイーストエンドから世界に向けて初披露した。

発表にあたって、ランドローバーのチーフ・デザイン・オフィサーであるジェリー・マクガバン氏は「2010年にデビューした『EVOQUE』は、当時のコンパクトSUVの世界を大きく変えましたが新型モデルでも、引き続き驚くべき変革をもたらすと確信しています。

スタイリッシュさと楽しさを組み合わせたこの個性的なモデルは、人々を振り向かせたり、笑顔にさせ、感情に訴えかける存在になるでしょう」と話す。

またジャガー・ランドローバーのプロダクト・エンジニアリング担当エグゼクティブ・ディレクター、ニック・ロジャース氏は「新型『EVOQUE』には多くの技術革新が盛り込まれています。プラグイン・ハイブリッド(PHEV)やマイルド・ハイブリッド(MHEV)といった電動システムに対応するためドアヒンジを除き、全てのアーキテクチャーを一新しています。

この新たなシャシーは最も堅牢なボディを生み出し、RANGE ROVERファミリーの特徴である快適な乗り心地と、優れた洗練性を確保しています」と語り、同車の走りの魅力について言及した。

そんな「RANGE ROVER EVOQUE」は、初登場からこれまでの世界販売台数で772,096台以上を販売。ラグジュアリー・コンパクトSUV市場に於けるパイオニア的存在であった。その「EVOQUE」が刷新した訳だが、そのデザイン、エンジニアリング、マニュファクチャリングの全てを、同社は英国内で行ったとしている。

スタイリングは、同車独自の個性的なデザインを継承。独特の傾斜したルーフラインとリアに向かって上昇するウエストラインがRANGE ROVERファミリーであることを強く印象付ける。

ボリューム感のあるプロポーションは、はっきりとしたショルダーラインと、パワフルなホイールアーチで強調され、21インチホイールを組み合わせることで、力強くダイナミックな雰囲気を演出した。

一方、インテリアは、すっきりとしたサーフェスや高品位な手触りのマテリアルで丁寧に仕上げた精巧なデザインとなっており、ラグジュアリーかつミニマリストな室内空間を創り出している。

インテリアの素材には、従来のレザーの他にKvadrat社のウール混紡やDinamica(R) スエードクロス、ユーカリ・テキスタイル、Ultrafabrics(TM)といったオプションを設定。

インテリアに採用されているテキスタイルの一部には、ペットボトルなどに使用されているポリエステル・マイクロファイバーをリサイクルして作られた素材も含まれている。ちなみに新型「EVOQUE」1台分のシートには、53本相当のペットボトルが使用されているという。

その他の室内空間では、高速化した最新ソフトウエア搭載のデュアルタッチスクリーン・インフォテインメント・システム「Touch Pro Duo」をはじめ、電動16ウェイシートやイオン空気清浄テクノロジーを備え、広々とした車内空間を快適に保つ。

ボディサイズは4.37mで従来とほぼ同じながらも、ランドローバーの新型プレミアム・トランスバース・アーキテクチャーを採用しながらも車内空間を広く見せている。

実寸でもホイールベースは若干長めに取っており、リアシートのスペースは20mm広くし小物などの収納スペースも拡大させた。

広くなったグローブボックスやセンターコンソールボックスには、タブレットやハンドバッグ、ペットボトルなどを収納できる。ラゲッジスペースは10%増の591リットルになり、折り畳んだベビーカーやゴルフセットの出し入れも簡単にできる。加えて40:20:40の分割可倒式リアシートを倒すと、総容量は1,383リットルになる。

駆動系では、電気自動車化に対応するために開発した新型アーキテクチャーを相次いで搭載していく予定であるという。その第一弾としてまずは48Vのマイルド・ハイブリッド(MHEV)・システムを動力計に組み合わせて市場投入する。

また約1年後には、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)モデルも追加。このランドローバー初のMHEVは、通常減速時に失われてしまうエネルギーを動力として活用する。

同モデルではエンジンに搭載されたベルト・インテグレーテッド・スターター・ジェネレーターがエネルギーをフロア下のバッテリーに蓄え、ドライバーがブレーキを操作して車速が17km/h(11mph)以下になるとエンジンを停止させ、発車時には蓄えられたエネルギーを再び利用するというスタイルだ。このため建物が密集した渋滞の多いエリアでも、静かで効率のよい走行ができ、燃費にも貢献する。

全車全輪駆動の新型「EVOQUE」は、あらゆる地形、あらゆる天候で、持ち前の優れた走破能力を発揮する。

ドライブライン・ディスコネクトを搭載した第二世代のアクティブ・ドライブラインが効率性を高め、快適性と機敏性の最適なバランスを可能にした。

特にフラッグシップの「RANGE ROVER」で初めて採用したテクノロジーである「テレイン・レスポンス2」 は、走行中の路面状況を自動的に検知し、状況に応じた最適な車両設定(サスペンション、トランスミッション、トラクション)をし、ドライバーの負担を軽減させる。また走行可能な渡河水深は500mmから600mmに向上させている。

そのオールテレイン走破能力は、オンロードでもその威力を発揮し、マクファーソン・ハイドロブッシュ・フロント・サスペンションとインテグラルリンク・サスペンションが静かで安定した走りを可能にするだけでなく、世界のあらゆる都市でも理想的なドライブができる機敏なハンドリングも提供すると謳っている。

なお安全機能で新型「EVOQUE」は、車両前方下部に設置したカメラで路面を撮影しその映像をタッチスクリーン上に映し出すことで、まるでボンネットがないかのようにフロント下 180°の視角を確保する「クリアサイト・グラウンドビュー」を世界で初めて搭載した。

これは市街地での難しい駐車スペースや段差のある中央分離帯、オフロードなど障害のある路面を走行する時にも有効で、ランドローバーが2014年に発表したトランスペアレント・ボンネット・テクノロジーを具現化したものになる。

さらに、ジャガー・ランドローバー初となる、車体後方のカメラで撮影した映像をルームミラーに映しだす「クリアサイト・リアビューミラー」も採用した。

乗員や荷物でリアビューの視認性が悪い場合、ミラー下面にあるスイッチをフリックするだけでクリアな映像を提供。ミラーに映し出される視野角も50度と広く、暗がりでの視認性も向上している。

快適性能の一環としてのドライビングポジションでは、人工知能(AI)アルゴリズムを駆使してドライバーの好みや行動パターンを学習し、ドライバーをサポートする「スマート・セッティング」もランドローバーとして初採用した。これはシートポジション、音楽、温度設定だけでなく、ステアリングコラムの設定も制御することができ、快適性を最大限に高めるものだ。

最後にインフォテインメント・システムのソフトウエアも進化を果たし直感的な操作が可能としている。もちろんApple CarPlayやAndroid Autoにも対応し、スマートフォンとシームレスに接続できる。