トヨタ自動車(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:佐藤恒治)傘下のTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は9月18日、GRカローラの一部改良モデルを発表し、同日より全国のトヨタ車両販売店で注文を受け付ける。なお車両発売は11月3日を予定している。
今回の改良ポイントは、スーパー耐久シリーズ参戦からの学びを活かし、より厳しいステージでクルマを鍛えていくため基本性能の向上に取り組んだ。そのポイントは以下の通り。
- 国内サーキットでは発生しない強烈な上下左右Gに耐えるため、ボディ骨格を強化
- 長時間の全開走行でもエンジンパワーを安定して出力できるよう、「クールエアダクト」を追加し、高負荷走行時の吸入空気温度の上昇を低減
- 日々のドライビングをより楽しむための快適性改善と、モータースポーツを感じるサウンドづくりのため、JBLプレミアムサウンドシステム(メーカーオプション)にサブウーハーを追加
- より多くのお客様にお届けできるように供給体制を見直し
より具体的には、街中のみならず、ニュルブルクリンクのような過酷な環境下でもクルマとドライバーの一体感の高い走りを実現すべく、ボディ骨格と吸気冷却性能を改善した。
同車の改良は、TGRとマスタードライバーのモリゾウこと会長の豊田章男氏にとって「もっといいクルマづくり」の原点であるとした。
モータースポーツ参戦を介して、モリゾウ氏の「お客様を虜にするカローラを取り戻したい」という強い想いのもと生み出されたGRカローラは、スーパー耐久シリーズなど国内サーキットをメインとするモータースポーツ参戦を通じた学びを生かして、現在も進化し続けているという。
なお販売面では、2022年の発売時に抽選販売とするなど、これまでGRカローラは多くのユーザーが入手できない状況が続いていたが、今回は進化し続けるGRカローラの走りの味を、より多くのユーザーに提供できるよう供給体制を見直したとしている。
また、既にGRカローラを所有しているユーザー向けては、ソフトウェアを含めたアップグレードプログラムを提供する予定であるとした。TGRでは、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりに、終わりはありません。TGRは、今後もGRカローラを多様なドライバーとともに継続して進化させていきます」と話している。
GRカローラの改良ポイントの詳細は以下の通り
国内サーキットに比べ、強烈な上下左右Gが発生する海外のサーキットでも安定した走行を実現するために、フロントボディ、フロア、リヤホイールハウス付近を中心に、構造用接着剤の塗布量を従来のRZグレード比で+13.9mとなる32.7mに延長。質量増加を最小限に抑えながら、より高剛性なボディに仕上げた。強化したボディ骨格により、街乗りからサーキットユースまで、あらゆる場面でクルマとドライバーとの一体感を高める。
クールエアダクト(2次吸気ダクト)の追加
クールエアダクト クールエアダクトの構造(断面図)とエアの流れ
長時間の全開走行でエンジンルーム内温度が上昇した場合でも、安定して高いエンジン出力を維持させるため、エンジンが高回転時に作動する2次吸気口(エアクリーナー下方に配置)にクールエアダクトを追加した。
クールエアダクトは、フロントグリルから直接外気を取り込むため、吸気空気温度を大幅に下げる効果をもたらす。高負荷連続走行などの高温環境下でも出力を安定させ、G16E-GTSエンジン本来のポテンシャルを十分に発揮させることが可能という。
JBLプレミアムサウンドシステムにサブウーハーを追加し8→9スピーカーに
普段づかいの車内環境をより快適にするとともに、街中の運転でもエモーショナルなモータースポーツサウンドを楽しめるように、JBLプレミアムサウンドシステム(メーカーオプション)の機能を充実させた。
ラゲージに新たに搭載したサブウーハーによって、オーディオサウンドはよりクリアで迫力のある音響を実現。従来から装備していたアクティブノイズコントロール(ANC)のチューニングも最適化し、エンジンなどの不快なこもり音を低減させている。
また、JBLプレミアムサウンドシステム装着車には新たにアクティブサウンドコントロール(ASC)を装備。アクセルやシフト操作による車両の加減速や駆動力の変化に応じたスポーツサウンドをスピーカーから鳴動させることで、ドライバーは直感的に車両の状態を把握できる。
更にアクセルオフ時にはモータースポーツサウンドの代表のひとつであるバブリング音(ターボラグを低減するため、排気の工程で爆発を起こさせるアンチラグ制御が作動しているときに発生する排気音)を発生。まるでレーシングカーを運転しているかのようなサウンド体験を、普段の運転で安全に味わうこともできる。
ASCは走行モードに合わせて3パターンのサウンドを設定しており、3段階の音量設定のほか、「OFF」も選択できる。なお、工場出荷時はOFF設定となっている。
メーカー希望小売価格(消費税込み、単位 : 円)
グレードRZ
GR-DAT(8AT・4WD):5,980,000-
6MT(4WD):5,680,000-
ソフトウェアを含めたアップグレードの提案
既にGRカローラの所有者に対しては、ソフトウェアを含めたアップグレードプログラムをご提供すべく開発を進めているという。
アップグレードプログラムの対象となるのは、2023年発売モデル。2024年発表、25年日本発売の進化型GRカローラと同様に、エンジン最大トルクが30Nm増の370Nm→400Nmに向上する他、GR-FOURの制御も変更される。
これによって前後輪の駆動力配分が前30:後70の“REAR”モードが前50:後50の“GRAVEL”に変わり、TRACKモードの駆動力配分は前50:後50から前60~30:後40~70の可変制御となる。提供時期は2026年春を予定しており、価格を含む詳細は準備ができ次第、案内していくとした。
GRカローラの情報
GRカローラ TOP
https://toyota.jp/grcorolla/
GRカローラ(TOYOTA GAZOO Racing)
https://toyotagazooracing.com/jp/gr/corolla/