豊田合成、廃車由来プラスチックの水平リサイクル技術を実用化

廃車から新車への資源循環でCO2削減に貢献

豊田合成(本社:愛知県清須市、社長 兼 CEO:齋藤克巳)は5月20日、欧州での環境規制の強化などを背景とする自動車業界での再生プラスチック(再生プラ)の需要拡大に対応し、廃車から高品質なプラスチックを再生する新技術を開発した。

トヨタ自動車のカムリを皮切りに様々な車種での活用を通じ、脱炭素・資源循環に貢献していく。

従来、自動車の廃プラスチックの再生は、不純物の混入などにより新材と同等の性能を得るのが難しいため、焼却して熱を回収(サーマルリサイクル)するか、必要な性能の低い用途に再利用(ダウンサイクル)することが一般的だった。

今回、いその(本社:名古屋市、社長:磯野正幸)と協業し「品質の良いリサイクル原料を確保」すると共に、「当社独自の材料改質技術を活用」することで、廃車から回収したプラスチック(ポリプロピレン)を50%含有しても新材と同等の性能を持つ再生プラを開発、自動車部品の品質基準で実用化した。

この技術により、同じ部品に再利用する「水平リサイクル」を加速させ、CO2削減に貢献していく。

なお、廃車由来プラスチックを50%配合した再生プラを、耐衝撃性が必要な内装部品(グラブボックスなど)で実用化するのは世界初。

同社は中長期経営計画(2030事業計画)のもと、脱炭素をキーワードにプラスチックとゴムのリサイクルを推進している。今後も車の意匠に関わる部位など適用製品の拡大を目指し、再生プラの改良を進めていくと話している。

<再生プラの適用製品>

*1 欧州委員会による環境規制(ELV 指令)の強化方針では、2031年以降に発売される新車には再生プラスチックの使用が義務化される見込み。

*2 日本で生産され、欧州などで販売されているカムリ向けに2024年から量産中。

*3 開発した再生プラを部品生産に用いると最大で約4割のCO2削減につながる。(製品のサイズなどによる。産業技術総合研究所が開発しているIDEAを用いて算出)
*4 2025年4月末、豊田合成調べ