株式会社日本レースプロモーション(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:白井 裕)は5月28日、岡山県美作市の岡山国際サーキット(1周:3.703km)に於いて、全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第2戦・決勝レースが行われた。
決勝日当日は、午前に併催された全日本F3の決勝レースが行われた頃から雨が降りはじめ、スーパーフォーミュラ第2戦の決勝レースが始まった頃には豪雨となった。
そうしたなかで、まずはセーフティカーランによる走行が開始された。しかし結局、雨脚は弱まることなく、赤旗の提示でレースは中断。
次第に陽が落ち始める状況の中で、天候の回復が見込めることなく、午後4時5分にレースの終了が発表された。
結果、規定周回数は満たしていないものの、レース自体は成立していると見なし、PPスタートで首位を走り続けた石浦が優勝。
2位・塚越広大(REAL RACING)、3位・伊沢拓也(REAL RACING)となった。レース終了後は、ファンへサービスとしてピットロードを開放する等、ファンとの交流を深めていた。
なお決勝日前日の午後2時10分から行われた予選セッションは、低気圧が近づいている影響もあって、曇り空であるもののコース自体はドライ環境。気温22度・路面温度26度という環境下で、20分間のQ1セッションが開始された。
午前の練習走行で新品タイヤを使用せず、4セットを残していた石浦、No.2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、No.64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING)、No.65 ベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)らが、セッション開始から新品タイヤを履いてコースイン。
その他のドライバーは、まずユーズドタイヤでマシンバランスを確認していく作業に入った。
その中で、いきなり好タイムをマークしたのは、No.37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)、No.16 山本尚貴(TEAM 無限)のふたり。しかし次第にセッションが進むにつれて、新品タイヤを履いた国本、大祐、バゲットがポジションを上げ始める。
同じくニュータイヤを履いた石浦は、ここではマシンバランスが今ひとつだった上、最終コーナーでトラフィックに引っ掛かり失速。タイムを刻めないまま、一旦ピットへと戻る。
その後、各ドライバーたちも各々にットアップの微調整を行い、セッションが残り8分を切ったあたりから、タイムアタックを開始。
まず1分14秒台に入れてきたのはオリベイラ。続いてNo.40 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.11 伊沢拓也(REAL RACING)、No.7 ナレイン・カーティケヤン(SUNOCO Team LeMans)、バゲット、石浦、大祐が14秒台へと突入。
Q1終了目前に山本が1分14秒666、伊沢が1分14秒527とトップタイムを更新するも、石浦がそのタイムをコンマ5秒近く上回る。さらに国本が伊沢に次ぐ3番手に食い込む。
以下、塚越、大祐、オリベイラ、バゲット、山本、No.20 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)となり、No.4 ウィリアム・ブラー(KONDO RACING)、No.34 小暮卓史(DRAGO CORSE)、ギヤボックスに問題を抱えたNo.41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、朝のフリー走行でクラッシュを喫しているNo.8 小林可夢偉(SUNOCO Team LeMans)、No.18 中山雄一(KCMG)はQ1敗退となった。
10分間のインターバルを経て、午後2時40分にQ2開始。同セッションでは開始3分前から、多くのクルマがタイヤを温めるため、早々にピットロードに並ぶ。
石浦を先頭に、塚越、伊沢、国本、カーティケヤン、No.36 アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)、野尻、一貴の順でコースイン。各ドライバー共にタイヤを温めてタイムアタックに入る。
まず1分14秒345を刻んで石浦がトップ。伊沢と国本は100分の数秒台のタイム差でこれに続くが、石浦を上回ることはできない。
その後、バゲットが1分14秒277でトップに浮上。さらにオリベイラが1分14秒175でトップに立つ。
しかし石浦はさらにタイムを伸ばし、1分13秒897と13秒台に突入し、Q1に続いてトップに立つ。
伊沢はコンマ1秒の差で2番手に。結果、石浦、伊沢、オリベイラ、関口、塚越、野尻、山本、国本となった。一貴、大祐、バゲット、ロッテラー、No.3 ジェームス・ロシター(KONDO RACING)、アタック中の1コーナーでオーバーランを喫したカーティケヤンはQ2敗退となった。
さらに10分間のインターバルを経て、午後2時57分からQ3開始。Q2同様、開始前からほぼ全車がピットロードに整列して、石浦、山本、国本、塚越、伊沢、関口、野尻という順でコースイン。
まず山本が計測4周目に1分14秒027をマークして暫定トップに立つ。これをかわして13秒台に突入したのは伊沢。野尻が約100分の2秒差でこれに続く。
しかし、計測5周目に石浦が1分13秒620を叩き出し、伊沢をコンマ3秒ほど上回る。
さらに、塚越が伊沢のタイムを100分の2秒上回り、チェッカーと同時にオリベイラもタイムアップ。塚越のタイムを100分の5秒ほど上回って、2番手に滑り込む。
その結果、石浦は昨年に続き岡山国際サーキットでのPPを獲得。以下、オリベイラ、塚越、伊沢。さらには、野尻、山本と続き、国本が7番手、関口が8番手という結果となった。
ドライバーの安全を考えると(レースの中断は)正しい判断
優勝
No.1 石浦宏明(P.MU/CERUMO · INGING)
photo 朝のフリー走行では、決勝では雨で走る時間のほうが長くなるだろうと思い、レインセットでドライも走っておきたいと(チームに)伝えました。
朝は完全なレインセットではありませんが、かなりレイン寄りのクルマでテストをしたり、スタート練習をしました。ただあまりうまくいかなかったので、何度もやりました。午後の決勝がレインになることを想定して、色々準備をした感じです。
8分間(のウォームアップ走行)で状況を確認しましたが、思いの外グリップが得られず、速いクルマよりも3秒くらい遅かったんです。さほど雨量は多くなかったですが、前のクルマに近づくと見えないし、結構厳しいレースになりそうだという状況でした。
レースが始まり、セーフティカー(走行)中も、2コーナー、モスエスがかなりの雨量で、タイヤを温めていても水たまりの周辺は危ない感じでした。
先頭なので一番視界がいいはずですが、セーフティカーの水しぶきでも見えないくらいでした。また、赤旗が出る直前は、タイヤを自分で温めることすら難しいほどの雨量でした。
赤旗中断中、クルマを降りずにいたのはステアリングに水が入ってトラブルになる可能性があるということを聞いて、ステアリングを外したくなかったから。
待機中は水が入らないように、最大限やれることをチームにはやってもらっていたので、少しでもリスクを減らすためにステアリングをつけたまま乗っていました。
雨がもう少し少なかったり止んでいれば、レースができたと思うし、気持ち的にもやりたかったのですが、ドライバーの安全を考えると(レースの中断は)正しい判断だったと思います。
今はホッとした気持ちよりうれしい気持ちが多いです
2位
No.10 塚越広大(REAL RACING)
photo 僕自身、昨日の予選から少しいい流れがありました。でも今朝(のフリー走行)は普通にガソリンを積んだ状態で確認したのですが、そのときの調子はあまりよくありませんでした。
レインでの8分間でもあまり感触が良くなくて、グリップも全然しなかったので、(レースで)苦戦するんじゃないかという感じでした。
レースはセーフティカー先導で始まり、良かったと思いましたが、雨も強く、このままレースを続ければどこかでぶつかるんじゃないかという心配もしながら走っていました。
最終的にレースができなくて、見に来ていただいた皆さんには残念だと思いますが、安全面を考えればこの判断は正しいと思いますし、僕自身も表彰台に上がったのは4年ぶり(2012年フォーミュラニッポン第7戦鈴鹿以来)なので、昨日の予選(順位)があったからこそ、ここに来れたのかと思います。今はホッとした気持ちよりうれしい気持ちが多いですね。
伊沢選手とはチームこそ違いますが、2011、12年にともにチャンピオンシップを争った仲なんです。
僕の中でも一番のライバルだと思っているし、いつも負けないようにと、チームメイトになっても頑張ってきました。チームももっと頑張らなきゃいけないと、ドライバーを信じてやってくれています。
僕自身は合同テストでクラッシュもあり、順調なシーズンオフではなかったんですが、逆に伊沢さんが順調にテストを重ねていたので、そのデータを参考にさせてもらったりしています。
12年のときのようにお互いが調子が良くなってきて、データを共有し、切磋琢磨しているという感じです。それがやっと発揮できたように思います。
みんなの努力が報われて、僕もうれしい
3位
No.11 伊沢拓也(REAL RACING)
photo 2013年(スーパーフォミュラ第1戦)以来の表彰台で、記者会見の場に来るのも久しぶりです。
昨日の予選からチームとしてやっと2台でいい戦いができて、2台揃ってQ3に行けたのはチームとして初めてでした。チームとして大変な次期も長かったんですが、みんなの努力が報われたということが僕もうれしいです。
レース前の8分間では、うまく走れなかったんです。ここでもし、コースで飛び出したりしたら、(決勝)グリッドに付けないかもしれないと思い、ちょっと早めに走行を切り上げて、多少クルマをいじってレースに臨みました。
今日は結果としてはラッキーな部分もあるのですが、ここでも2台揃って表彰台に上がれたし、(塚越)広大と一緒に表彰台に上がったのは2012年以来です。またこんな戦いを二人で切磋琢磨しながらできればうれしいなと思います。
今年からはあまりお互いのことを気にせず、やりたいことをやっているという感じですが、2台バラバラなことをやることで、いいところを参考にすることができています。今回の結果でまたチームの志気が上がり、クルマもチームもさらに良くなっていくと思います。
開幕からあった速さが、今日の結果に繋がった
優勝チーム監督
立川祐路 監督(P.MU/CERUMO · INGING)
photo チームとしては戦略も見事に決まり(笑)、優勝することができました。
まずはホッとしたというところです。確かにレースが最後までできなかったのは残念ですが、状況を考えると仕方なかったかなとも思います。
開幕戦は、石浦が予選で不運もあって思うように行かなかったレースでした。ただ、速さはそのときからあったので、今日の結果に繋げることができたと思うので良かったです。