ルネサス エレクトロニクス株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長兼CEO:呉文精)は、2018年1月9日から米ラスベガスで開催されるCES 2018に出展するため、新型コクピットを搭載したコネクテッドカーをダッジラムをベースにして新たに開発した。
また、それに併せて2016年にルネサスとして初めて実車デモを行ったADAS(Advanced Driving Assistance System:先進運転支援システム)搭載キャデラックベースのデモカー、ならびにかつて2017年にデビューさせた自動運転デモを行うリンカーンベースのデモカーも、それぞれ機能と性能を強化した。
これにあたってルネサスでは、「オープン、イノベイティブ、トラステッドを特長とする自動運転車向けプラットフォーム、Renesas autonomy™の拡充と強化に努めてきました。
その一環として、これらのデモカーの開発と実車テストを通して得た技術や知見を、OEMやTier 1メーカに提供することにより、試作段階から実用段階へ移行する際に発生する複雑な開発の課題を軽減し、自動運転車やコネクテッドカー実用化の早期実現に貢献します」と話している。
さらに同社の車載システム事業開発統括部のVice PresidentであるAmrit Vivekanand氏は「ADASや自動運転システム、またコネクテッドカーを開発されているお客様にとって、市場投入までの期間短縮や、将来を見据えた柔軟性、さらにはコストの制約など、課題は急速に厳しくなっています。
我々のこれらのデモカーは、開発プラットフォームとして高い評価をいただいており、今後も素晴らしいパートナーとのコラボレーションを強化し、お客様の自動運転やコクピット開発を加速します」と述べている。
ちなみに各デモカーの主な特長は以下の通り。
(1)新開発のクライスラー社ダッジラム1500トラックベースのコネクテッドカー
コクピットのセンターに17インチのフルHDコンソールを装備し、メータークラスタも12.5インチの3Dのデジタルクラスタを採用。
Green Hills Software社のINTEGRITY® Multivisor™による仮想化機能により、Safe OS上のクラスタ表示と、最新のAndroid™8.0を搭載したコンソール上のアプリケーション間の表示連携をR-Car H3で実現した。
また、室内をカメラでセンシングし、ドライバの状態を認識するとともに、クラウドとのアプリ連携を図ります。この他にもリア/サイドビュー電子ミラーや、SDR(Software Defined Radio)なども搭載する予定。
デモカーのパートナー企業:大手ソフトウェア・ソリューション・プロバイダのGreen Hills Software, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、社長兼CEO:Dan O’Dowd)の他、Altia、EPAM、Fiberdyne Systems、Maxim Integrated、New Foundryなど。
なお、上記パートナー企業のひとつ。Green Hills Software のBusiness DevelopmentのDirectorであるMatthew Slager氏は、「ルネサスとGreen Hillsは、お客様の車載システムの開発が上手くいくよう、共にサポートをしてきた長い歴史があり、協業には満足しています。
今回の車両はINTEGRITYのセパレーション技術により、車両メーカが幅広い車種向けにソフトウェアベースのコクピットを構築するため、コストと工数を削減可能な優れた開発プラットフォームです。
今回のコネクテッドカー用コクピットは、次のような従来型と最先端の両方のコクピットシステムを、単一の車両システムに統合しています」とコメントした。
(2)フォード・モーター社リンカーンMKZベースの自動運転デモカー
CES 2017に於いてリンカーンMKZをベースにして、SAEレベル4の機能を取り入れた自動運転車を発表した。
CES2018では、市街地での自動運転の実現を見据えて、バージョンアップを図り、センサーカメラを9個と、GPSとLiDARセンシングを備え、それぞれのセンサーを高性能、低消費電力のR-Car SoCでレーン認識、停止標識、速度制限標識、信号機、歩行者、駐車スペースの検出などを行う。
特にコストに優れるR-Car V3Mではディープラーニングによる認識を実現。HADソリューションキット2台を使用してセンサーフュージョンやコグニティブ処理を行う本システムは、フェールオペレーショナルを実現し、30Wの低消費電力にて動作する。
デモカーのパートナー企業:HELLA Aglaia、QNX、Waterloo大学など
(3)ゼネラルモーターズ社キャデラックSRXベースのADAS搭載デモカー
CES 2016にて発表したキャデラックSRXベースのADASデモカー。
R-Car H3に内蔵された IMP(Image Processor)-X5により、3Dサラウンドビューによる歩行者や車両の検出を行ったり、イーサーネットによるサラウンドビューカメラ機能の強化や、車両背後のブラインドエリアの警告など、センサーフュージョン、セキュリティ、ADAS機能を搭載した。
車両内のセキュアな通信や、OTA(Over-The-Air)アップデート機能、およびクラウドベースの通信は、4G/LTEおよびDSRCなども含め、あらゆる有線および無線プロトコルに対応可能。
デモカーのパートナー企業:eTrans、Neusoft、Waterloo大学など
ルネサスは今後も、オープン、イノベイティブ、トラステッドなRenesas autonomy™を強化し、自動運転システムやコネクテッドカーに向けて、エンドツーエンドのソリューションを提供することにより、安心・安全なクルマ社会の実現に向けてさらなる技術開発を進めていくと結んでいる。