ルノー・日産アライアンスとダイムラー、 2016年に協力関係を深化


三大陸をまたぐ共同プロジェクトは、全領域(車両、エンジン、相互供給)で発展へ

ルノー・日産アライアンス(CEO兼会長:カルロス・ゴーン)と、ダイムラーAG(本社:ドイツ・ヴュルテンベルク州・シュトゥットガルト、取締役会会長:ディーター・ツェッチェ、以下、ダイムラー)の両CEOは9月30日、パリ国際モーターショーに合わせて行われた今年の記者会見で、戦略的協力関係の開始から7年目を迎えた今年、両社間のパートナーシップが発展していることを発表した。

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写真は2015年9月16日、フランクフルトモーターショーに合わせて実施されたルノー・日産アライアンスとダイムラーAGの両CEOの記者会見風景

その会見の席上で、ルノー・日産アライアンスのCEO兼会長のカルロス ゴーン氏は、「両社のパートナーシップは成長、発展しました。

これは長年に亘る強固な協力と信頼の精神によるものであり、多くの利益を両社にもたらしてきました。

これによって開発や生産コストを共有することで、新たなセグメントへの参入を可能にし、お客様に対して、先進技術や機能を搭載したより魅力的な商品を、手頃な価格で提供することが出来るようになりました」と述べた。

一方、ダイムラー取締役会長兼メルセデス・ベンツ・カーズ会長のディーター ツェッチェ氏は、「この7年間、私たちは、部品からプラットフォーム、共同開発から共同生産、乗用車から商用車まで幅広くパートナーシップを築いてきました。

これらは、大陸をまたぎ専門知識や能力を共有する多様なメンバーからなるプロジェクトチームによって行われてきました。

最高のアイデアは、パリ、シュトゥットガルト、横浜のそれぞれから生まれ、プロジェクトを推進しています。両社の協業は、今後も大きな可能性を秘めています」とコメントした。

なお3社による昨年度の主なプロジェクトは以下の通り。

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ルノーのクレオン工場で生産されたモーターを搭載した新型「スマート フォーツー」、「スマート カブリオ」、「スマート フォーフォー」*のEVモデルを世界初公開

新型「スマート」シリーズとルノー「トゥインゴ」は、ダイムラーとアライアンスの共同プラットフォームをもとに開発した初のモデルである。

2014年に発売した2人乗りの「スマート フォーツー」はフランスにあるダイムラーのハンバッハ工場で、4人乗りの「スマート フォーフォー」と「トゥインゴ」はスロバキアにあるルノーのノボメスト工場で生産されている。

 

同3モデルに対する、顧客の初期反応は非常にポジティブであったため、両CEOはプロジェクトの更なる拡大を発表し、今回のパリモーターショーで、「スマート フォーツー」、「スマート カブリオ」、「スマート フォーフォー」*のEVモデルを初公開した。

なお同車が搭載する新型モーターは現在、ルノーのクレオン工場で生産されている。

新型EV「スマート」のバッテリーはドイツのカーメンツにあるダイムラーの子会社Deutsche ACCUmotive(ドイチェ アキュモーティブ)社が生産する。「スマート」は、内燃機関と電池駆動の両パワートレインを全車種にラインアップする初のブランドである。

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メキシコのアグアスカリエンテス共同生産工場(初の共同生産工場COMPAS・コンパス)で、次世代プレミアムコンパクトカーのパイロット生産を準備

2015年に、日産とダイムラーは10億ドルを投資しメキシコ・アグアスカリエンテス新工場の建設に着工した。

新工場では、2017年よりインフィニティ向け次世代プレミアムコンパクトカーを、2018年にはメルセデス・ベンツ向け車両の生産を予定している。

2016年5月には計画通り人員採用や生産設備の設置を開始した。2017年に竣工し、インフィニティ車両のパイロット生産に向けて準備を開始する。

新工場では新品質評価基準を導入し、プレミアムモデルとしての高品質を確保する。

新工場は2020年までに年間23万台以上の生産を見込んでいる。次世代プレミアムコンパクトカーは、欧州や中国にあるダイムラーと日産の工場でも生産される予定。

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メルセデス・ベンツ初のピックアップトラックの共同開発、および、スペインとアルゼンチンのアライアンス工場での生産準備は順調に進捗。協業を1トンピックアップトラックへ拡大

2015年、ダイムラーと日産は、メルセデス・ベンツ初となるピックアップトラックの共同開発を発表した。

新型ピックアップトラックは、日産の新型「NP300」のアーキテクチャーの一部を共有するが、欧州、オーストラリア、南アフリカ、中南米のお客さまのニーズに対応できるよう、設計およびデザインはダイムラーが行う。

この車両はメルセデス・ベンツが持つすべての特徴と装備を有することになる。同車は、日産「NP300フロンティア」やルノー「アラスカン」とともに、アルゼンチンのコルドバにあるルノーの工場と、スペインのバルセロナにある日産の工場で生産する予定。

メルセデス・ベンツは、10月に、同新型ピックアップトラックのデザイン、戦略、投入市場などの詳細を発表する予定。

北米でのエンジン共同生産は、2016年に協力関係を深化させ、両社にスケールメリットを生み出し、お客さまにより付加価値の高いクルマの提供へ

両社が行っているエンジンの相互供給や共同開発および共同生産は、エンジンからトランスミッションまでカバーするパワートレインセグメントにおいて比類ない協業である。

米国テネシー州にある日産のデカード工場は、エンジン共同生産の成功例である。同工場は、2014年6月に日産車向け2リッター4気筒ガソリンエンジンを、同年10月にはダイムラー車向けエンジンの生産を開始した。

以降、同工場では年間約25万基のエンジンを生産している。2016年初頭には工場の増設計画が決定し、実行に移されている。

デカード工場は、ダイムラーの柔軟なグローバル生産ネットワークを支える重要な柱となっている。(現地供給に加え、南アフリカのイースト・ロンドンにあるメルセデス・ベンツ工場へのエンジン輸出や、ドイツへの機械加工部品の輸出も行っている)

2010年4月に、ダイムラーとルノー・日産アライアンスが協業を開始した当初は、主に欧州地域における3つのプロジェクトに限られていたが、現在は、欧州に加え、アジアや米州地域で、全ての領域(商品、エンジン、相互供給)へと拡大している。* エネルギー消費効率:13.1-12.9 kWh/100 km、CO2排出量:0 g