独・ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:Dr. オリバー・ブルーメ)は11月20日、伝説的なマカオのストリートサーキットにて開催されるFIA GTワールドカップに於いて2台の911 GT3 R(最高出力500 PS)を投入する。
市販車であるタイプ991の911 GT3 RSをベースにしたこのカスタマースポーツレーシングカーは、世界各地で行われるGT3レースのためにヴァイザッハで設計され、2016年にデビューしたもの。
この中国の特別行政区で行われ、世界が注目する同レースに911 GT3 Rで参戦するドライバーは、ニュージーランド出身のアール・バンバー(カーナンバー911)と、フランス人のケビン・エストレ(カーナンバー912)となる。
チームは、今年のGTシーズン最終戦である12月10日開催のセパン12時間レース(マレーシア)を前に、ここマカオのGTワールドカップに参戦するのはポルシェの長年のパートナーとして数々の成功を収めてきたマンタイ・レーシングである。
過去にポルトガルの植民地であったマカオは、香港の西方約65キロにあり、世界で最も壮観なモータースポーツイベントが行われる場所だ。
全長6.115キロメートルのサーキットは、高速のストレートとタイトなコーナーで組み合わされ、ドライバーにとっては非常にタフなコースとなっている。
1954年にマカオで初めて自動車レースが開催されて以降、世界でも有数の観光の街として栄えたマカオは、1999年に中国に返還され、今では世界でも最も裕福な地域のひとつとなっている。
2015年のル・マンで、ポルシェを駆って総合優勝に輝いたニュージーランド人のアール・バンバーは、アジアのサーキットを熟知している。
2013年と2014年にポルシェ カレラカップ アジアに参戦し、2013年に初めてマカオのレースに出場したバンバーは、長い間クアラルンプールに住んでいたが、現在は北京に居を構えている。
一方ケビン・エストレ(フランス)は、2013年にポルシェ カレラカップ ドイツで優勝し、2015年にマカオのレースに初出場した。今シーズンはADAC GTマスターズで911 GT3 Rに搭乗し、4勝をマークしている。
今回出走する911 GT3 Rの開発にあたり、エンジニアは特に軽量なデザイン、空気力学的効率の向上、燃料消費量の低減、操縦性の向上などを重視した。
最新鋭の4リッター水平対向6気筒直噴エンジンを搭載したこのモデルは、2016年1月のデイトナ24時間レースでデビューを果たし、911 GT3 RはデビューシーズンにIMSA スポーツカーチャンピオンシップ、ワールドチャレンジ、過酷なノルドシュライフェ(北コース)で行われるニュルブルクリンクのVLN長距離耐久選手権など、国際的なレースシリーズで数々の成功を収めている。
レースは、現地時間の11月20日・午後0時55分にスタート。ギア・サーキットを18周する決勝を前提に、全12周で争われる予選レースは11月19日の現地時間午後0時10分に行われる。
出走にあたって、フランク-シュテファン・バリザー博士(ポルシェ モータースポーツ部門責任者)は、「マカオでのレースは、現代の自動車メーカーにとっては間違いなく最も大きなチャレンジのひとつです。
このレースは短くてとても緊迫したレースです。ドライバーは戦略を練る時間がなく、スタート時からチャンスを掴まなくてなりません。
コースはとても見ごたえがあり、レース全体を通じて高い集中力が求められます。タイトなコーナーは非常にタフです。私たちの911 GT3 Rにとっては厳しい試練となるでしょう」と語っている。
以下、ドライバー並びにチーム監督のコメントとなる。
サシャ・ピルツ(GTカスタマーレーシングマネージャー):「911 GT3 Rはデイトナ24時間レースなどの伝統的なレースや国際スポーツカー選手権など、最初のシーズンでその実力をいかんなく証明し、直近ではGTマスターズの最終戦で優勝を飾りました。
マカオの曲がりくねったサーキットですばらしいパフォーマンスを見せることによって、911 GT3 Rの実力を明確に示したいと思います」
アール・バンバー(911 GT3 R #911):「私にとって今回はとても特別なレースになります。長年にわたってアジアで911 GT3カップを戦ってきました。
マカオは2013年のレースが初出場でしたが、とてもすばらしい体験でした。ワークスチームと新しい911 GT3 Rでマカオに戻るのを今から楽しみにしています。
コースの設定はユニークで素晴らしく、とても難しいサーキットです。間違いなく予選の結果が勝利を左右するものになるでしょう。マカオではオーバーテークが難しく、スターティンググリッドでの有利な位置が成功の鍵を握ります」
ケビン・エストレ(911 GT3 R #912):「マカオのストリートサーキットは私にとってトップスリーに入る最高のサーキットです。高速で非常に難しく、バンプやブラインドコーナーが数多くあります。
エスケープゾーンがなく、壁とガードレールがすぐ目の前にあります。スタートからフィニッシュまで集中力を保つことが重要で、わずかなミスも許されません。このレースには多くのファンが詰めかけて素晴らしい熱気に包まれます。
ほとんどのドライバーにとってはこれが今シーズン最後のレースとなるため、誰もがここで勝利を飾って冬のシーズンオフを迎えようと必死になるでしょう」