パイオニア、デジタル地図にAI運転支援システム搭載


専用通信型ドライブレコーダーのほか、スマートフォンでも使用可能

パイオニア(本社:東京都文京区、代表取締役社長執行役員:森谷浩一)は2月21日、自社のテレマティクス製品Intelligent Pilot(インテリジェント パイロット)にデジタル地図データとGPSの位置情報を用いてドライバーごとの潜在的なリスクを診断するAIスコアリング機能「YOUR SCORING(ユアスコアリング)」を搭載した。

このAIスコアリング機能は、デジタル地図データやプローブデータ、事故発生地点、天気などの各種データと、ドライバーの運転傾向などからAIが事故のリスクをリアルタイムに予測し、事故リスクが高い場合のみ注意喚起・警告を行う先進的な運転支援システムである。

今回パイオニアが、AIスコアリング機能の開発に注力した理由は「交通死亡事故を起こしているドライバーの約8割が過去5年以内に交通違反をしている」という調査データに着目したことが切っ掛け。そこでこの調査データを基に、名古屋大学の武田一哉教授と未然の事故を防ぐため運転行動のモデル化を研究した。

ちなみに武田一哉教授は、名古屋大学 未来社会創造機構「IEEE ITS Society BOGメンバー(理事)」であり、ドライバーの運転行動をデータベース化し、ドライバーの個性に応じた個性化運転支援システムの開発を行っている。

AIスコアリング機能の開発では、同教授の研究成果から交通事故との関係性が高い運転行動を、個々のドライバー毎に指摘する診断アルゴリズムに取り入れた。

この新たな追加機能は、加速度から検知した危険挙動のみで診断するこれまでの手法と異なるため、交通ルールの順守傾向や交通違反行動。事故が発生し易い場所、地形などの走行環境まで考慮して注意喚起を行う。このため事故に遭遇する個々のドライバーの潜在的なリスクを自動でリアルタイムに診断できるものとなった。

またさらに同社が別途用意したソフトウェア開発キットである「Intelligent Pilot SDK」を使えば、スマートフォン上でもAIスコアリング機能などを使用することができるようになる。これを専用の通信型ドライブレコーダーと組み合わせれば、さらに高度な運転支援も実現できるという。

このAIスコアリング機能の概要は以下の通り
1)デジタル地図データとGPSで測位した位置情報を用いて、過去の「運転行動」から交通ルールの順守傾向や交通違反行動を抽出する。
2)走行中の道路情報から独自技術で抽出した“事故が発生しやすい場所や地形”の情報を紐づける。
3)紐づけた情報をAIで学習し、作成したアルゴリズムを用いて、事故に遭遇する可能性を含めたドライバー毎の潜在的なリスクを診断する。

パイオニアでは今後、開発したAIスコアリング機能を活用し、今後も個々のドライバーにより最適化した注意喚起・警告を行う機能をさらに追加する等「Intelligent Pilot」の機能をさらに拡充させると共に、さまざまな自動車関連事業者との連携を進め、交通事故削減に取り組んでいくと結んでいる。