NEXCO中日本、高速で走行しながらトンネルの精緻なひび割れ検出に成功


高速画像処理を用いたトンネル内点検技術を開発。高速で走行しながら0.2mmのひび割れ検出に成功

NEXCO中日本(中日本高速道路株式会社・本社:名古屋市中区錦2-18-19代表取締役社長CEO:宮池 克人、以下、NEXCO中日本)と東京大学大学院情報理工学系研究科は共同で、トンネル内を走行しながら、幅0.2mmのひび割れを検出することに成功した。

カメラ撮影でモーションブラー(被写体ブレ)は画像の画質劣化を招く主たる要因のひとつだ。これを改善する取り組みとしては、手ぶれ補正機能やフラッシュ、露光時間の制限など様々な手法があるが、いずれも画質改善に課題がある。 そこで、今回は被写体ブレを補償する装置を開発・利用し、この問題を改善する手法を導入した。

具体的には、点検技術のさらなる信頼性向上や、点検の高度化・効率化を目指し、トンネル内を高速で走行しながら画像処理により自動的に変状を検出する技術の開発をおこなってきた。

それが今回、開発の目標としていた幅0.2mmのひび割れを検出することが可能になった。今後は、この成功を糧に実用化に向けて、機器の信頼性の確認や運用体制の確立を引き続き実施していく方針。翌2018年度の本格導入を目指していくと云う。

開発した技術の概要
時速100kmで走行しながら幅、0.2mmのひび割れを検出することができる。
交通規制をおこなわずにひび割れの検出ができるため、点検コストの低減が期待できる。また撮影機器は小型であり、一般車両に搭載できるため専用車両を必要としない。

開発の背景と目的
現在、トンネル構造物の点検は、5年に1度、交通規制をおこなったうえで高所作業車を用いて近接目視や打音、触診(詳細点検)により実施しているが、この技術により事前にトンネル内の撮影をおこない、精度の高い情報を事前に把握したうえで点検に臨むことで、点検の信頼性向上、効率化に寄与すると見られている。

モーションブラー補償装置をインフラ維持・管理に応用するため、要求仕様を検討した上で、複数回の現地実験を経てモーションブラー補償技術の実用化に向けた検証を行っている。その結果、実際のトンネルで地面から高さ7mの天井に対して時速100kmの移動体からの撮像で、設定した要求仕様を満たすモーションブラーの除去を実現した。

活用する技術
東京大学が研究開発した「高速画像処理技術と高速小型回転ミラー」を用いて、高速移動中でも画面の中心に被写体(ひび割れ等の損傷)を捉え続ける制御をおこなってきた。

この技術を活用することで、ブレの無い高精度な映像の撮影が可能となっただけでなく、従来よりも撮影に必要な照度を抑えることができるため撮影装置の小型化に成功した。

これまでの開発状況
2013年 :研究開発 開始
2015年 :装置製作
2016年 :時速100km/h走行における0.5mmひび割れを検出
2017年 :時速100km/h走行における0.2mmひび割れを検出