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再エネを利用の水素燃料運用拠点を福島県に建設着手。燃料電車への供給実証の開始へ

NEDOこと国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、東芝エネルギーシステムズ、東北電力、岩谷産業は、福島県浪江町に再生可能エネルギーを利用した世界最大級となる1万kWの水素製造装置を備えた水素エネルギーシステム「福島水素エネルギー研究フィールド（Fukushima Hydrogen Energy Research Field （FH2R））」の建設工事を開始した。

（動画）福島水素エネルギー研究フィールド（Fukushima Hydrogen Energy Research Field （FH2R））

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構・東芝エネルギーシステムズ株式会社・東北電力株式会社・岩谷産業株式会社の４者は、2019年10月までにこの台規模システム拠点の建設を完了させ、試運転を開始し、2020年7月までに技術課題の確認・検証を行う実証運用と水素の輸送を開始する予定。

なおこれは国立研究開発法人　新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）からエネルギー３社への委託事業となる。

建設場所は、福島県浪江町（同町大字棚塩地区　棚塩産業団地建設用地内）。完成すれば、再生可能エネルギーである太陽光発電を利用した世界最大級となる1万kWの水素製造装置を備えた水素エネルギーシステム「福島水素エネルギー研究フィールド」となる見込み。

具体的には、2019年10月までに本システムの建設を完了させて試運転を開始する。さらに2020年7月までに技術課題の確認・検証を行う実証運用と水素の輸送を開始する予定。

製造された水素は、燃料電池による発電用途、燃料電池車・燃料電池バスなどのモビリティ用途、工場における燃料などに使用される。

（動画）「福島水素エネルギー研究フィールド 工事状況(2018年7月時点)

１．実証事業の概要
水素は、電力を大量かつ長期に貯蔵することができ、長距離輸送が可能。また燃料電池によるコジェネレーションや、燃料電池自動車・燃料電池バスといった移動体など、さまざまな用途で利用可能。

これを踏まえ将来的には、再生可能エネルギー由来の水素を活用し、製造から利用に至るまで一貫してCO2フリーな水素供給システムの確立を目指す構え。

この背景には、政府が2017年12月に公表した「水素基本戦略」では、再生可能エネルギーの導入拡大や出力制御量の増加に伴い、大規模かつ長期間の貯蔵を可能とする水素を用いたエネルギー貯蔵・利用（Power-to-Gas）が必要とされてることがある。

この水素を用いたエネルギー貯蔵・利用（Power-to-Gas）には、出力変動の大きい再生可能エネルギーを最大限活用するための電力系統需給バランス調整機能だけでなく、水素需給予測に基づいたシステムの最適運用機能の確立が必要となる。

東芝エネルギーシステムズ（株）、東北電力（株）および岩谷産業（株）は、再生可能エネルギーの導入拡大を見据え、電力系統の需給バランスを調整する機能（ディマンドリスポンス）としての水素事業モデルおよび水素販売事業モデルの確立を目指した技術開発に取り組み、CO2フリーの水素社会の実現を目指す。

２．「福島水素エネルギー研究フィールド」の概要
この「福島水素エネルギー研究フィールド」では、隣接する太陽光発電と系統からの電力を用いて1万kWの水素製造装置により年間最大900トン規模の水素を製造し、貯蔵・供給する。

水素の製造・貯蔵は、水素需要予測システムの水素需要予測に基づいて行う。また水素製造装置の水素製造量を調節することで電力系統の需給バランス調整も行う。

このため実証運用では、運転周期の異なる装置、インプットのタイミング・期間・量が異なる需要(ディマンドリスポンス、水素)に対し、電力系統のディマンドリスポンス対応と水素需給対応を組み合わせた最適な運転制御技術を検証していく。製造した水素は、圧縮水素トレーラーを使って輸送し、需要先へ供給する予定だ。

各社の役割分担