HondaJet並びにジェットエンジン本体、欧州航空安全局より型式証明を取得


本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘、以下、ホンダ)の航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(Honda Aircraft Company, LLC、本社:米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市、社長:藤野道格<ふじの みちまさ>、以降HACI)は、スイスのジュネーブで開催中の欧州最大のビジネス航空ショー、ヨーロピアン ビジネス アビエーション コンベンション アンド エキシビション(EBACE2016)にて、欧州航空安全局(European Aviation Safety Agency 以下、EASA)から、5月23日に型式証明を取得したことを発表した。

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今回、型式証明を受けたのは、上記同社製の「HondaJet」並びに、ホンダとゼネラル・エレクトリック社(GE)による折半出資子会社であるGE Honda エアロ エンジンズ(GE Honda Aero Engines, LLC 以下、GE Honda)が開発・製品化した小型ジェットエンジン「HF120」のふたつ。

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EASAの高性能航空機部門責任者であるスティーブン・ヒギンズ氏から型式証明を受け取ったHACI社長の藤野道格氏は、「EASAからの型式証明の取得は、HondaJetが最も厳格な欧州の安全基準を満たしていることを意味します。

欧州という非常に重要な市場で型式証明を取得し、HondaJetの納入を開始したことを非常にうれしく思います。

これからHondaJetの先進機能を、欧州のお客様にもぜひ感じていただきたいです」と語った。

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欧州型式証明書を掲げるEASAスティーブン・ヒギンズ氏とHACI藤野社長

HondaJetは、2015年12月に米国連邦航空局(Federal Aviation Administration)から米国の型式証明を取得し、すでに米国、メキシコおよび欧州で引き渡しが開始されている。

EASAのエグゼクティブディレクターであるパトリック・キー氏は、「今回の型式証明の取得は、HondaJetが欧州において最も厳しい安全基準を満たしていることを示すものです。

これは、EASAとHACIが協力しながら各種試験などを進めてきた成果と言えるでしょう。HondaJetの欧州における発展を願っています」と述べた。

なおHACIは、HondaJetの販売とアフターサービスのためにディーラーネットワークを構築しており、欧州では、北部を担当するマーシャルアビエーションサービス社、中部を担当するラインランド・エア・サービス社、および南部を担当するタグアビエーション社がHondaJetのディーラーとして活動している。

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HondaJetは、主翼上面のエンジン配置や自然層流翼型、一体成型複合材胴体などHondaの独自開発技術の採用により、クラス最高水準※の最高速度、最大運用高度、上昇性能、燃費性能および室内サイズを実現した小型ビジネスジェット機である。

現在、北米、欧州およびブラジルの合計11ヵ所の拠点を通じて販売されている。※Honda調べ

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ホンダエアクラフトカンパニー(Honda Aircraft Company,LLC) 
設立 : 2006年8月
出資形態 : American Honda Motor Co., Inc. 100%出資
代表者 : 社長 藤野 道格(ふじの みちまさ)
所在地 : 米国ノースカロライナ州グリーンズボロ市

 

GE Honda、量産型ターボファンエンジン「HF120」の欧州における型式認定取得

なおGE Honda、量産型ターボファンエンジン「HF120」の欧州における型式認定を取得について、GE Honda社長のスティーブン・シャクナイティス氏は、「欧州におけるHF120の型式認定取得は、GE Hondaにとって非常に意義があります。

これから、欧州のお客様にHF120をお届けできることを非常にうれしく思います」とコメントしている。

今回の欧州における型式認定取得により、GE Hondaは欧州での航空エンジン事業において新たな一歩を踏み出したことになる。

GE Hondaは、今年4月の欧州でのHondaJetデリバリー開始に先駆け、タグアビエーション社(南部担当)、ラインランド・エア・サービス社(中部担当)とともに、新たにマーシャルアビエーションサービス社(北部担当)を欧州における認定サービス拠点に加え、より充実したサービス・物流拠点の拡大を進めてきた。

これらの拠点を通じ、「エンジンメンテナンスケアプログラム」(EMC)を販売するなど、24時間365日体制で顧客をサポートしていく。

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欧州型式証明取得を祝う関係者たち

併せて今年2月に、HF120を生産するホンダ エアロ インク(Honda Aero,Inc.)のバーリントン工場(米国ノースカロライナ州)が、米国連邦航空局(Federal Aviation Administration 以下、FAA)よりオーバーホール技術を有する整備工場として、MRO(Maintenance Repairand Overhaul)認定を取得した。

この認定により、バーリントン工場でHF120の重整備が可能となる。同社では量産エンジンの組み立てと重整備を同じ工場内で行うことで、市場から寄せられたエンジンのコンディションに関する情報を、量産エンジンにいち早くフィードバックできるようになるとしている。

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なお、バーリントン工場は量産エンジンの生産が本格的に稼働することに伴う拡張工事を進めており、2017年初めの完成を目指している。

ちなみにHF120は、2013年12月13日にFAAより連邦航空規則のPart 33が定める型式認定を取得している。

クラストップレベルの燃費性能と耐久性、世界最高レベルの環境性を兼ね備え、新たなスタンダードとなるべく開発された定格推力2,095ポンドのエンジンで、以下の技術的特長を備えているとされる。

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・先進空力設計技術を盛り込んだ一体型ファンローターと、カーボンコンポジット製の軽量ガイドベーン
・世界最高レベルの効率・圧力比と、操作性を両立する耐熱チタン製の遠心圧縮機ローター
・コンパクトで低エミッションの燃焼器とシンプルな単段エアブラスト式燃料噴射ノズル
・最先端耐熱材料を使用した高圧・低圧タービンと空力性能を向上させるカウンターローテーティング2軸システム

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ホンダ エアロ インク(Honda Aero,Inc.) 
Hondaの全額出資で2004年に設立された航空エンジン事業子会社
社長:藁谷 篤邦(わらがい あつくに)
所在地:米国ノースカロライナ州バーリントン
業容:Hondaの航空エンジン事業に関わる開発以外のすべての統括。具体的には、部品調達やエンジン生産など。

GE Honda エアロ エンジンズ(GE Honda Aero Engines,LLC) 
GEとHondaの共同出資で2004年に設立された航空エンジン合弁会社
社長:スティーブン・シャクナイティス(Steven Shaknaitis)
所在地:米国オハイオ州シンシナティ
業容:機体メーカーへの営業、カスタマーサポートなど。