第一交通産業とウーバー、タクシー配車サービスで戦略的連携へ


国内最大手の第一交通産業、広島市内及び安芸郡の一部など限られた特定エリアであるがタクシー配車サービスで先陣を切る

第一交通産業株式会社(本社:北九州市、代表取締役社長:田中 亮一郎)と Uberジャパンは3月4日、タクシー配車サービスで戦略的パートナーシップを締結したと発表した。

対して米国資本のUberは、既にタクシー会社との連携を重視する戦略を打ち出しており、名古屋、大阪、仙台の3都市でUberアプリを通じたタクシー配車サービスを展開している。

今回は、事業規模で国内最大手の第一交通産業と戦略的パートナーシップを締結することにより、日本国内のタクシー会社との連携を強化し、日本のタクシー市場での新たなタクシー乗車体験を消費マーケットに向けて提供していく構えだという。

この締結に伴い、今春以降、まずは広島市内及び安芸郡の一部など限られた特定エリアで第一交通産業グループのタクシーをUberアプリを通じて手配することが可能となる。

乗客は到着時刻の共有機能、GPSによるリアルタイムでの追跡機能、同乗者との割り勘機能、過去の乗車履歴の確認機能など世界中で幅広く提供しているユーザー体験の浸透を図っていくものと見られる。

なおこの戦略連携について第一交通産業の田中亮一郎代表取締役社長は「このパートナーシップ締結にあたり、世界中に数多くのユーザーを抱えるUberの配車サービスと連携することを正式に決定しました。

この配車サービスを通じて、訪日外国人のみならず日本のお客様のニーズに応え、より快適な乗車体験を提供できると確信しています」と話している。

配車事業者との連携については、姉妹誌NEXT MOBILITY10月号< https://amzn.to/2EJ0C8H >での企業トップへの単独インタビュー連載記事「LEADERS VOICE」に於いても田中亮一郎社長からタクシー業界の未来、並びに次世代戦略についての話を聞いており、そうした構想の一端がいよいよ見えてきたというところのように考えられる。

一方、Uberジャパンのモビリティ事業 ゼネラルマネージャーのトム・ホワイト氏は、「日本のタクシー業界最大手である第一交通産業との提携実現を光栄に思います。

今後、一人でも多くの日本に住む方々や観光で訪れた方々に、Uber アプリを通じた配車サービスを提供したいと考えています」とコメントした。

ちなみに両社は今後、日本国内の広域エリアで順次サービスを展開していくことを目指していく構え。個別のサービス内容やその詳細については開始前に改めて発表する予定だとしている。

最後に第一交通産業の歩みだが、1960年に創業者で現・代表取締役会長の黒土始氏(96)が、北九州市で第一タクシー有限会社を創業したのが皮切り。現社長の田中亮一郎氏(59)は、元テレビ朝日編成局企画部から同社に入社(1994年)した後の2001年6月、代表取締役社長に就任した。

事業沿革としては1980年代にM&Aを加速。九州・山口を足掛かりに全国各地のタクシー会社を買収して成長する。1995年に、九州内のタクシー会社28社と自動車教習所1校、不動産会社2社が合併し、第一交通産業株式会社となる。

2000年4月26日に福岡証券取引所に上場。2004年には沖縄県のバス会社・那覇交通の事業を譲受し路線・観光バス事業へ本格進出した。さらに琉球バスの事業も2006年に譲受し、同年9月に琉球バス交通として事業を開始している。

現在では、北海道から九州・沖縄に至る全国で事業所を持ち、グループ内会社数165社。グループ全従業員数約15,000名。グループ全営業車両数9,154台(タクシー・バス他/平成30年3月末時点)、連結売上高1,007億円(平成30年3月期)の国内最大手のタクシー事業者となっている。