消費者庁、三菱自動車工業に4.8億円の課徴金納付命令。日産に景品表示法に基づく措置命令を通達


消費者庁は1月27日、三菱自動車工業が自社の商品が著しく優良であるとし、消費者の合理的な選択を阻害する表示を実行したことについて「景品表示法第7条第1項」の規定に基づく措置命令を行った。またこれに起因して、同法第8条第1項の規定に基づく(4億8507万円)課徴金納付を、来る8月28日までに行うよう命令した。
併せて、日産自動車に対しても、「景品表示法第7条第1項」の規定に基づく措置命令を行っている。

この措置に基づく具体的な車両は、三菱自動車工業が製造・供給した「ek」シリーズを筆頭とした軽自動車。並びにパジェロ・デリカ・ミラージュ等の普通自動車及び小型自動車に係る表示となる。

さらに三菱自動車工業が製造。これを日産自動車を通して供給したディズ等の軽自動車に係る表示についても、同じく景品表示法に違反する優良誤認表示行為があるとして措置命令を出している。

違反行為者の概要
(1)三菱自動車工業
名 称:三菱自動車工業株式会社(法人番号 7010401029044)
所 在 地:東京都港区芝五丁目33番8号
代 表 者:代表取締役 益子 修
設立年月:昭和45年4月
資 本 金:2843億8217万9472円(平成29年1月現在)

(2)日産自動車
名 称:日産自動車株式会社(法人番号 9020001031109)
所 在 地:横浜市神奈川区宝町2番地
代 表 者:代表取締役 カルロス ゴーン
設立年月:昭和8年12月
資 本 金:6058億1373万4035円(平成29年1月現在)

なお景品表示法は、昨年4月に違反事業者への課徴金支払いを命令できるように制度が変更されたばかり。これにより、三菱自動車工業に課徴金納付命令が制度変更後初の事例となった。

この景品表示法は、2008年(平成20年)3月に、課徴金制度導入を含む改正法案が国会へ提出されたのだが、その後、具体的な審議未了のまま廃案となり、検討事項として残されていた。

しかしその間に、様々な食品偽装問題事が続発して、消費者の利益が害される危険性が高まったため、広告規制を強化することで、消費者の安全を守る景品表示法の改正が決定した。

ちなみに、この景品表示法で規制される広告表現には、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」、さらに「その他誤認されるおそれがあるとして指定される不当表示」の3類型がある。

「優良誤認表示」は、商品やサービスの「品質や規格等」が優良であると誤認させるような表示のこと。また「有利誤認表示」は商品やサービスの「価格」が有利であると誤認させるような表示。

そして「その他誤認されるおそれのある表示」とは、内閣総理大臣が一般消費者に誤認されるおそれがあるとして指定する不当表示のことを云う。

課徴金制度が導入、適用されるのは、上記の3類型のうち「優良誤認表示」と「有利誤認表示」が該当する(8条1項)。

課徴金制度は、優良誤認表示をした場合や有利誤認表示をした場合並びに不実証広告規制の適用ケースに於いて、合理的な根拠資料の提出がなかった場合に、当該広告を行った事業者に対し課徴金が課せられる。

ちなみに課徴金として課される金額は、課徴金の「対象期間」における対象商品・役務の「売上額の3%」となっていた。