BASF、光沢と耐久性を両立する自動車内装用の特殊ポリアミドの開発に成功


BASF(本社:独ラインラント=プファルツ州ルートヴィッヒスハーフェン、取締役会会長兼CEO:クルト ボック、以下、BASF)は独逸時間の2017年10月12日に、半結晶性ポリアミドの耐薬品性と高い光沢度及び透過性を兼ね備えた特殊ポリアミド、「Ultramid(R) Deep Gloss(ウルトラミッドディープグロス)」の開発に成功したと発表した。

同製品には、ポリアミド素材にも関わらず高い光沢度と耐久性が備わっているためコーティング自体を不要でとし、自動車内装コンポーネントに適した特性を持っている。

具体的には、光沢度の高さと優れた耐傷つき性、さらに高い耐薬品性と耐紫外線性の好バランスが大きな特長。また細部まで忠実なテクスチャ再現が可能な製品であり、その表面に於いて光と影の強いコントラストを実現することができる。

しかも排出ガスや臭気に関する自動車業界から求められる要件もクリアした同素材は、今後サンプルとして世界に向けて提供を開始すると云う。

実のところ、これまでポリアミド素材は、非晶性プラスチックゆえの光沢度の高さから、多くの日常製品に使用されきた。

しかし本来は耐薬品性、耐傷つき性、耐摩耗性が十分ではなかったことから、表面品質を長く維持したい場合にはコーティングを必要とした。

つまり半結晶性ポリアミドは、耐薬品性自体には優れているのだが、最高レベルの表面品質に求められる光沢度や、耐傷つき性を備えていないのが実情だったのである。

しかし新たに開発したUltramid(R) DeepGloss(ウルトラミッドディープグロス)は、ポリマー原材料と添加剤のバランスを取ることで、高い光沢度や透明性の他、耐傷つき性や耐紫外線性といった、高い表面品質を永く持続させる特性を持たせることに成功している。

同社によると他のコーティングされていない高光沢度の素材と比べても、優れた耐摩耗性を持ち合わせている点で、同製品の優位性は高いのだと云う。

しかも同素材は、バリオサーマル金型システム (金型昇降温機構を有するシステム)無しでの射出成形が可能であり、また、コンポーネントのコーティングが不要なため、様々な加工が可能だ。

 

昨今の車両内装では、ピアノブラックのように艶やかな黒の人気があり、高品質で部分的な機能性を備えた表面素材の需要は、今後も増え続けるだろうと同社でも予測している。この傾向は、自動運転への移行に続く新たな運用コンセプトに後押しされているからだ。

Ultramid(R) Deep Gloss(ウルトラミッドディープグロス)は、独自のバランスの取れた特長から、設計者に対してリップル加工やウェーブ加工、ハンマー仕上げ、ライン、ダイアモンドなど、通常では考えられないテクスチャーを新たに取り入れる可能性を提供する。また、触覚設計要素を表面の構造に取り入れることも可能としている。

特に同製品は、照明周りのディスプレイや装飾パネルのエッジなど、装飾用トリムに最適な材料で、高い光沢度と耐薬品性を新たに組み合わせたことで、ヘッドライナーの収納ラック、車のドアのはめ込み、センターコンソール、エアーベントなどの機能的なコンポーネントなどにも活用できる。

表面処理も現在人気とされるピアノのような黒だけでなく、陶白色、アイボリー、アーシーカラーなどのプレミアムカラーも実現できるとしている。