アウディ、今季フォーミュラEのチームタイトルを獲得


ワークスとして初参戦したシーズンでチームタイトルを獲得

フォーミュラE選手権の2017/2018シーズン最終戦となる第12戦が7月15日、ニューヨークで開催された。このレースでTeam Audi Sport ABT Schaeffler(チーム アウディ スポーツ アプト シェフラー)が逆転劇を通してチームタイトルを獲得した。

2連戦となったニューヨーク最終ラウンドの前には、トップチームとの差は33ポイントあって、ライバル勢の挽回は困難な状況に見えたのだが、フタを開けてみればフォーミュラE選手権のチームタイトルの行方は、最終戦のファイナルラップにまでもつれ込み、激しいタイトル争いが展開されることになった。

決勝前、ウエットコンディション下の予選で、ポールポジションを獲得したのはセバスチャン・ブエミ選手(ルノー・e.ダムス)。ブエミ選手は前日に行われたレース1に続き、2戦連続でのPPとなった。

しかし2番グリッドを獲得し、好走ていたアンドレ・ロッテラー選手(テチータ)はレース中に決勝スタートでフライングの審議対象となり、10秒のストップ&ゴーペナルティを受け最後尾に脱落。レースでは果敢に追い上げたものの9位でフィニッシュすることになった。
同じチームのジャン-エリック・ベルニュ選手は、今シーズンの王者として最終戦の優勝で華を添えたのだが、安定していたアウディ勢が2-3位に入ったこと、さらにアプト選手のファステストラップによる得点も加えて264ポイントとし年間タイトルを獲得。今季のチームタイトルはアウディに転がり込み、テチータは2ポイント差で涙を呑んだ。

対してアウディは、この2連戦で1-2フィニッシュを含め表彰台に4度上がり獲得可能な最大ポイント94ポイントの内78ポイントを得て、2ポイント差による逆転タイトルを獲得した。

土曜日と日曜日に2連戦が行なわれた最終ラウンドは、ニューヨークのマンハッタンを一望できるブルックリンの市街地コースで開催。日曜日のレースで、ルーカス ディ グラッシ選手が2位でチェッカー。これにより7戦連続で表彰台を獲得して、ドライバーズランキング2位を確定させた。

ディ グラッシ選手はこの結果について、「最初の4戦でノーポイントだったにもかかわらずドライバーズタイトルで2位を獲得できたことは、ちょっとした奇跡といえるでしょう。

最終的には、僕にとってもチームにとっても素晴らしいシーズンとなりました。僕たちは、決してあきらめませんでした。信じられないような逆転劇でチームタイトルを獲得できたことが、それを証明しています」 と話している。

なおディ グラッシ選手は、フォーミュラE参戦の通算戦績として合計611ポイントと27回の表彰台を獲得。これは初開催から4年が経過したフォーミュラEで歴代トップの成績となっている。

一方同じチームメイトのダニエル アプト選手は、3位でフィニッシュして15ポイントした。なおアプトは今季4回目のファステストラップも印し、今シーズンもっとも多くのファステストラップを記録したドライバーとなっている。

この結果、Team Audi Sport ABT Schaefflerは、12戦開催されたレースの内、7戦でのファステストラップでチーム記録を達成した。

アプト選手は、「大きな目標を持ってこのレースに臨み、それを達成することができました。

素晴らしい逆転劇を演じることができて嬉しいです。チームスタッフ全員でこの喜びを分かち合いたいと思います。

タイトルを獲得できたのは、現場のスタッフだけでなく、パートナーの皆様、インゴルシュタット、ノイブルグ、ケンプテンのスタッフ全員のおかげです」と話す。個人的なシーズン成績でアプトは2回の優勝と2回表彰台に登壇して合計120ポイントを得てドライバーズランキング5位となっている。

チーム代表のアラン マクニッシュ氏は、「最後の一瞬まで手に汗握る展開となりましたが、ついにチームタイトルを獲得しました。

ルーカスとダニエルを祝福したいと思います。浮き沈みの激しいシーズンとなりましたが、彼らは常にベストを尽くしてくれました。今日の大一番でも素晴らしい結果を出してくれました。

ドイツの拠点でハードワークを続けてくれたスタッフにも感謝します」 と感謝の意を述べた。

またアウディ モータースポーツ代表のディーター ガス氏は、「ニューヨークに来たとき、チームタイトル獲得は非常に険しい道のりに思えていました。

しかしレースはスリリングな展開となり、最終コーナーでは固唾をのんでレースを見守りました。Audi Sport、ABT、Schaefflerのスタッフ全員に感謝したいと思います」と想定を超える成果を喜んだ。

最後に技術パートナーのSchaefflerとアウディは、フォーミュラEの最終ラウンドで来シーズンの見通しを発表し、駐米ドイツ大使のDr. エミリー ヘイバーを含む約300人のゲストが参加した催しで、新しいAudi e-tron FE05のプロトタイプを披露した。次期フォーミュラE選手権の2018/2019シーズンは、今年12月の半ばにサウジアラビアの首都、リヤドでの開幕予定となっている。

なおこれまで3度のチームチャンピオンと1度のドライバーズチャンピオンを手にしている「ルノー・e.ダムス」は、2017/18年の第4シーズンを以て活動を終了。次シーズンからはルノーに代わる形で、ニッサンがフォーミュラEにワークス参戦を開始する予定だ。