アウディ、フォーミュラEのチーム体制を発表。シングルギヤを備えた新ユニットを搭載へ


独・アウディ AG(本社:ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット、取締役会長:ルパート・シュタートラー)は、9月27日(水)の夜、フォーミュラEのチーム体制を発表した。この発表によりアウディは、純ワークスとして初の電気自動車レースへの参戦を果たす。

ドイツ連邦共和国内・バイエルン州中西部のドナウ河畔にある城郭都市、ノイブルク・アン・デア・ドナウ (Neuburg an der Donau)で開催された新型マシン「Audi e-tron FE04」のワールドプレミアでは、ソフトな電気音を発生する新しい電気自動車のレースカーに乗って、ディ グラッシがセンターステージに登場した。

フォーミュラEチャンピオンのルーカス ディ グラッシが参戦し、ダニエル アプトがファクトリードライバーとして契約

33歳のブラジル人、ディ グラッシは、彼のレース人生で初めて、チャンピオンであることを示すカーナンバー「1」のマシンを駆ることになった。

またディ グラッシのチームメイトは、若手のダニエル アプト(24)となった。ドイツのアルゴイ地方出身のアプトは、アウディとファクトリードライバー契約を締結。

アプトがドライブするカーナンバー「66」のマシンには、観客がディ グラッシのマシンと容易に区別できるように、赤いマーキングが追加されている。

実はディ グラッシとアプトは、かつてフォーミュラEが初開催された年の最初の日から、最強のコンビとしてシリーズを戦ってきた経緯がある。

これまで33レースに参戦した彼らは、合計24回の表彰台、6回の優勝と4回のポールポジションを獲得。今回もこの2人で、4年目のフォーミュラEシーズンを戦う。

そして、この装い新たとなった2017/2018シーズンに於いて、ワークス参戦初の車両となる「Audi e-tron FE04」は、新たなテクノロジーを加えるなど昨年度は全く異なるニューマシンとなっている。

これは同社が、従来の伝統的な自動車メーカーから、乗り物を介したサービスを提供する新たな会社になるという意味を込めた「モビリティプロバイダー」への変革を、モータースポーツの世界に於いて示すものだとアウディは謳っている。

AUDI AG技術開発担当取締役のペーター メルテンス氏は、その新たな挑戦を示すべく「私たちは、約40年間にわたって、世界最高峰のモータースポーツで成功を収めてきました。

今回アウディは、市販モデルのための新しいテクノロジーの開発を推進するため、ドイツの自動車メーカーとしては初めてフォーミュラEに参戦します。

quattro、TFSI、TDI、ハイブリッド ドライブ、そして数多くの革新技術に続く、アウディ初のシングルシーター レースカーは、2018年にAudi e-tronを発売し、電気自動車の分野で製品攻勢をかけるアウディの先導役となるものです」と語っている。

事実アウディは、フランクフルトモーターショー(IAA)に於いて、電気自動車とプラグインハイブリッドを含め、2025年までに20以上の電動化モデルを発売することを発表している。

先進的なカラーリングとシングルギヤを備えた新しいパワートレイン、チーム代表にはアラン マクニシュが就任

こうした取り組みを踏まえ、ワークス体制によるフォーミュラE発挑戦でアウディチームは、パワートレイン(モーター)、トランスミッション、サスペンションのパーツ類及び、関連するソフトウェアをゼロから開発することに取り組んだ。

例えば「Audi e-tron FE04」の中核となる動力回りは、新たな試みとしてモーターとトランスミッションの組み合わせとしている。

これについてTeam Audi Sport ABT Schaeffler(チーム アウディ スポーツ アプト シェフラー)のエンジニアは、これまで以上に効率的なモータージェネレーターユニットの設計に焦点を当ててきた。

そこで駆動力をホイールに充分以上に伝達していくため、シングルギヤ(1速ギヤのみ)を備えた非常に効率的なトランスミッションを搭載すべきという考えに至ったようだ。

これについて、アウディ モータースポーツ責任者のディーター ガス氏は、「私たちは、技術パートナーのシェフラーと共に、完全に新しいパワートレインを開発しました。

パワートレインの新しいカーボンハウジングを見れば、それが何を表しているかが、すぐに分かるでしょう。

さらに私たちは、まったく新しいテクノロジーの方向性をゼロから追求していくため、マシンのサウンドも異なっています。

その車体色もホワイト、メタリックグリーン、ブラックを基調とする先進的なカラーリングを纏う事となったAudi e-tron FE04は、一見しただけで、今年7月にルーカス ディ グラッシがフォーミュラEのタイトルを獲得したマシンとは、まったく異なっていることが分かります」と述べている。

なおチーム アウディ スポーツ アプト シェフラーの新しい代表には、アラン マクニシュ氏が就任する。

スコットランド人のマクニシュは、3年目を迎えたシーズンに於いてもチームのサポートと支援を行う。彼は元F1ドライバーであり、長期にわたってアウディのファクトリードライバーとして活躍し、ルマン24時間レースで3回優勝してきたが、今年からは正式に代表としてチームを率いることになる。

ニューマシンとなった「Audi e-tron FE04」は、2017年12月2日(土)に香港で開催されるフォーミュラEシーズンの初戦でデビューを飾る。

一方、それに先駆け、今週末に「Audi e-tron FE04」はサーキット上でのテスト参加を果たす。

具体的には、9月29日(金)・30日(土)に、オーストリアのレッドブルリンクで開催される「E-Mobility Play Days」イベントにおいて、アプトがドライブするAudi e-tron FE04が登場する。

その後、10月2日(月)3日(火)には、スペインのバレンシアで、唯一の公式テストとなる、フォーミュラEプレシーズンテストに於いても、ディ グラッシとアプトの両ドライバーが参加する予定となっている。