曙ブレーキ工業、福島県いわき市のテストコース「Ai-Ring」拡充工事の竣工式を実施


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曙ブレーキ工業株式会社(代表取締役社長:信元久隆 本店:東京都中央区 本社:埼玉県羽生市)は、福島県いわき市にあるテストコース「Ai-Ring(読み:アイリンク)」で2013年11月から進めていた拡充工事の終了にあたり、10月27日(木)に竣工式を実施した。

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竣工式には、福島県商工労働部吉田理事、いわき市鈴木副市長、施工側からは(株)NIPPOの岩田社長、(株)アセット・ファシリティーズの来海社長、当社社長の信元久隆をはじめ約50名が参加しました。信元の挨拶要旨は以下の通り。

「自動車業界はグローバリゼーションの進展に伴い、電動化、自動運転、環境対応、さらにはそれらを支援するための人工知能の進化などから自動車そのものも大きく変化してきています。

日々変化するグローバルマーケットのニーズに対応するために今回、ワインディング路や悪路試験路の新設と既存施設の拡充を図りました。

このAi-Ringを活用しブレーキ専業メーカーであることの強みを深堀し、新しい価値を創造することによって、ますます競争力のある製品を提供していきたい。

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また、それによって交通事故の撲滅や社会インフラ構築に貢献すると共に、昨今忘れがちな、自動車を運転することの喜びに対しても新しい価値を提案していきたいと思っています。」

同社の福島県いわき市のテストコースは、2011年3月の東日本大震災により大きな被害を受けた後、高速周回路などの第1次修復工事を行い、2012年12月に名称を「プルービング・グラウンド」から「Ai-Ring」に改めリニューアルオープンした。

その後、第2次修復工事として総合試験路や低μ路の修復に加え、坂路の拡張やワインディング路、悪路試験路の新設、さらにはダイナモ設備等の増設やNVH(*)機能のAi-Ringへの移転を進めてきた。

各種テストコースの拡充やダイナモ設備の増設などにより、これまで以上に実際の使用環境化に近い条件でのブレーキ開発評価が可能となる上、台上評価から実車評価までを同敷地内で実施できるようになるため、開発のスピードアップが図れる。

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また、エンジニアが一貫して評価に携わることで、運転スキルや車両の構造、機能の知識を習得し、変化し続けるクルマの要求に応えていくために必要な感性を身につける、人財育成の場としても活用できる。

なおコース造成の際に伐採した樹木は、破砕機によりウッドチップ化し、土砂流出の抑制のために法面に吹き付けることで100%再利用し、ゼロエミッションを実現した。

また、敷地内に総発電量40kWの太陽光発電システムを導入。大型ダイナモ等、電力負荷設備が多いエリアに供給するほか、一部を蓄電し、停電時に約7時間、事務所内のネットワークサーバー、蛍光灯、コンセント類を使用できるようにしている。

曙ブレーキ工業では、「今後は、2017年末を目標に評価結果やNVHに関するデータなどを必要なときに取り出せるデータベースを構築し、エンジニアが身につけたクルマの知識と感性、そしてデータベースから得られるデータを元に、変化し続ける市場に対して新しく独創的な製品を自ら提案できる場としてもAi-Ringを活用してまいります」と述べている。

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【拡充工事概要】
拡充:総合試験路、低μ路、坂路、実験棟
新設:ワインディング路、悪路試験路
施工:株式会社NIPPO、株式会社アセット・ファシリティーズ
着工:2013年11月
完工:2016年10月
投資額:約36億円「ふくしま産業復興企業立地補助金」対象事業

【Ai-Ring概要】
1967年に埼玉県旧岩槻市内にテストコースを開設し、1988年に福島県いわき市に移転。自動車部品メーカーのテストコースとしては国内最大規模で、台上評価から実車評価まで様々なブレーキ評価試験を行うことができる。

– 敷地面積:約73万m2
– 総合試験路:1周3,016m/最高試験速度200km/h/最大バンク角44°
– ワインディング路:1周1,533m/標高差23m
– 坂路:勾配5%~35%、計8本
– 悪路試験路:栗石路(高さ・大きさの異なる9種類の玉石を使用)、ベルジアン路(欧州の石畳を想定し、ブロック状の石を使用)、アスファルト路(平坦ではない路面を想定)、計3種

*NVH:Noise(ノイズ:鳴き)、Vibration(バイブレーション:振動)、Harshness(ハーシュネス:路面の凸凹による振動)の頭文字に由来。ブレーキの快適性を損なう諸々の現象を同社では「NHV」と呼び、対策に取り組んでいる。