オムロン株式会社(本社:京都市下京区、代表取締役社長CEO:山田義仁)は、3つの指標で、「ドライバーが運転に集中できる状態か」を判断する世界初の「ドライバー見守り車載センサー」を開発した。
この3つの指標は、(1)ドライバーが運行の状態を注視しているか(Eyes ON/OFF)、(2)ドライバーがどれだけ早く運転に復帰できるのか(Readiness High/Mid/Low)、(3)ドライバーが運転席にいるか(Seating ON/OFF)の3つの指標で判断するもの。
併せて顔画像センシング技術「OKAO vision」もさらに進化させて、従来では出来なかったマスクやサングラス等を着用しているドライバーの状態もセンシングすることを可能とした。
このセンサーを開発した意図は、近年、自動運転に関する法整備が進んでおり、自動操舵の国際基準「UN R79」等でも改正に向けた活発な議論が行われていることにある。
そこでオムロンは、自動運転を取り巻くニーズや法整備の動向を見据えて、「ドライバーが運転に集中できている状態か否か」を判断するための実用性の高い機能が必要と考え、「ドライバー見守り車載センサー」を開発した。
ちなみにこのセンサーは、同社が昨年6月に発表した「ドライバー運転集中度センシング技術」搭載の車載センサーをさらに進化させたものとなる。
なお昨今同社は、このパッケージの仕様で「ドライバー見守り車載センサー」と、心電や脈波を測る生体センサーを一般家庭の自家用車を含む幅広い車に搭載し、運転中のドライバーの多種多様なデータを収集する実証実験を行っている。
具体的な実証実験は2017年度より、名古屋大学未来社会創造機構およびHMHSコンソーシアムと共同で進めているもので、この取組を通じて、収集した実走行データを更なる技術開発に活用していく所存であると同社では述べている。
また今後は、継続的に同技術を進化させると共に、実証実験に取り組むことで「ドライバー見守り車載センサー」を来る2020年までに発売される自動車への採用を目指している。
「ドライバー見守り車載センサー」の技術進化のポイント
<進化させた技術の主な特徴>
1.ドライバーの状態について3つの指標を同時に判断
従来の技術では、「ドライバーが安全運転に適した状態か否か」という1つの判断しかできなかった。
そこで今回、 時系列ディープラーニング技術を進化させることで、「ドライバーが運転に集中できている状況か否か」を見極めるための3つの指標を同時に判断することが可能になった。
(1−1)ドライバーが運行の状況を注視しているか (Eyes ON/OFF)
ドライバーが、車の進行方向や周囲の状況を注意して見ている状態かを、目の開閉状態や視線の方向から、注視している/していない (ON/OFF) の2段階で判断する。
(1−2)ドライバーがどれだけ早く運転に復帰できるのか (Readiness High/Mid/Low)
ドライバーが、運転に復帰できる状態かを、ドライバーが何をしているか等から、運転の準備ができている/短時間で運転に復帰できる/運転に復帰するまで時間がかかる(High/Mid/Low)の3段階で判断する。
(1−3)ドライバーが運転席にいるか (Seating ON/OFF)
ドライバーが、運転席に座っている状態かを、運手席に座っている/座っていないか(ON/OFF)の2段階で判断する。
2.顔情報を細部まで取得できるよう、認識の精度を向上
オムロンが20年以上研究を続けている、顔画像センシング技術「OKAO vision」をさらに進化させ、時系列ディープラーニング技術を適用させることで、顔情報を細部まで取得。
認識の精度を大幅に向上させ、マスクやサングラスの着用でドライバーの顔が隠れている状態でも、眼の開閉や視線、顔の向きを判断することが可能とした。
(2−1)データベースを充実させ、ドライバーの多種多様な行動や状態に幅広く対応
現場課題を網羅した実走行データを取り込み、データベースを充実させたことで、運転中のドライバーの多種多様な状態を幅広く蓄積し、技術に活用できるようにした。
なお10月3日から10月6日までの期間、「ドライバー見守り車載センサー」を用いたデモンストレーションを、千葉・幕張で開催される「CEATEC JAPAN 2017」とで実施する。現場では、コックピット型デモンストレーションを通じて、多種多様なドライバーの状態を検知できる最新の技術を体験できるようにした。