日本発の充電規格を推し進める「チャデモ協議会」、高出力技術の開発で充電効率を3倍に


充電技術のアップデートは、チャデモ規格の世界的な普及加速を後押しするものになるか

一般社団法人チャデモ協議会(Chademo Association・本社:東京都港区、会長:志賀俊之、代表理事 岡本浩)は、電動自動車の急速充電規格を改定し、従来より高出力の充電を可能とするプロセスを技術的に実現した。

現在、国内の充電網は、電気自動車6台に対して充電ステーション1基の割合まで普及した。

しかしこうした国内充電網の普及を上回るかたちで、プラグインハイブリッドなどの電気駆動車両が増加。さらに車両の駆動用バッテリーも航続距離の拡張に伴い、搭載ユニットサイズ自体が拡張されてきている。

このため1台あたりの充電時間の短縮による充電効率の加速化は、今後のEV環境の整備にあたり、喫緊の課題として浮上している。

これを踏まえチャデモ協議会は、三重県伊勢市に於いて技術展示会を行い、新たに開発した V2X機能および新型検定器の展示と共に、大幅に高出力化を可能とした充電のデモンストレーションを行った。

この高出力充電のデモンストレーションで実施した技術詳細は以下の通り。

高出力充電
これまでのチャデモ規格と呼ばれる直流型急速充電規格は、最大電圧 500V、最大電流 125Aと定められていたが、今回その規格を改訂し最大電圧 500V、最大電流 400A の出力を可能とした。

この改訂により、従来は50kWであった実効充電出力を一気に3倍の150kW まで向上させることが可能となり、おおよその目安ながら、充電時間を従来の 3 分の1にすることができるようになった。

なおこれだけの出力レベルで、充電器実機を介したデモンストレーションは世界で初のこと。この新たなチャデモ規格ver1.2は、2017年3月24日に改訂・発行されている。

V2X技術
V2X技術は、車両に搭載する蓄電池の電力、あるいは燃料電池などで発電した電力を外部に給電する機能である。

この技術はレジャーでの電力使用、家に給電することによる省エネ効果向上などに加え、非常時の電源としての価値ともなり、今後のスマートグリッドにおける分散電源という要素技術としても非常に注目されている。

今デモンストレーションでは、電力線に繋がっていない状態の燃料電池車、プラグインハイブリッド車、電気自動車の 3 つの異なる電動車両から供給される電力で様々な電気製品等を稼働させ、効果を確認した。

新型検定器
充電または給電時に一番重要な安全性、次に重要な互換性(電動車両の車種と充電器の機種を選ばず充電、給電できること)を確保するために、チャデモ協議会ではチャデモの認証、検定制度を導入した。

この制度はこれまで、日本国内を中心に行っていたが、今後チャデモ検定を世界に広く普及させるため、小型で安価な検定器を開発し、販売を開始する(予価300 万円)。

世界のグリッドシステムを統括するIEC(国際電気標準会議)が承認した電気自動車の急速充電規格には、大枠では4つのDC充電方式があり、中国のGB・米国のコンボ1・欧州(ドイツ)のコンボ2がしのぎを削っている。

そうしたなかチャデモの検定器は、早くもアメリカ、インドなどから受注があり、チャデモ規格の世界的な普及加速を後押しするものになるのではないかと期待されている。