ポルシェ、未来のモビリティを生み出すイノベーションプラットフォーム「スタートアップ・アウトバーン」に参加


独ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:オリバー・ブルーメ)は2月9日、世界中の起業家が未来のモビリティのアイデアを生み出す街、シュトゥットガルトに於ける「スタートアップ・アウトバーン」と呼ぶイノベーションプラットフォームの中心的参画企業に加わる事を発表した。

このプラットフォームは、シュトゥットガルトを多様なテクノロジーの拠点として発展させるべく生み出されたもので、そのために必要な「技術開発の揺り籠」になることを目指している。

この環境下でポルシェは、経験豊富なチームを提供して、数多くの新興企業の起業家をサポートしていく。

これについて、ポルシェAG取締役会会長のオリバー・ブルーメ氏は、「このプロジェクトへの参加は、弊社の革新的な社風に更に弾みをつけるものとなります。

デジタル化に伴うコモディティ化、そしてコネクティビティ機能は、未来の自動車業界に大きな変革をもたらしてくれます。

私達は、これを好機と捉えてこのチャンスを最大限に活用したいと考えています。起業の現場に於ける最高の人材との接触は、弊社の進歩を加速させるインスピレーションを外部から与えてくれるものです。

私達は、彼らの夢を実現するために、起業家の可能性を最大限に引き出し、仕事に集中できる環境を提供します。

元々世界有数の自動車と、ハイテクの街であるシュトゥットガルトは、こうしたプロジェクトに理想的な場所なのです」と語った。

より具体的には『シリコンバレーの精神を、モビリティエンジニアリングの拠点に』を旗頭に、ポルシェはこのスタートアップ・アウトバーンイノベーションプラットフォームに於いて、他の提携企業である「ダイムラー」、「ヒューレット・パッカード・エンタープライズ」、「ZFフリードリヒスハーフェン」、「BASF」、及び「村田製作所」と協力していく。

そもそもこのプロジェクトは、米国のアクセラレーターであるプラグ・アンド・プレイ社が、ダイムラー、シュトゥットガルト大学と、Arena2036と共に2016年に立ち上げたもの。

このプラグ・アンド・プレイ社は、シリコンバレー、ベルリン、スペイン、シンガポール、及びブラジルに於けるテクノロジー系ベンチャー・キャピタルのひとつである。

2006年以降、このアクセラレーターは2,000を超える起業家を支援してきた。

現在、約300社の提携企業によるグローバルネットワークを備えており、毎年、世界中で約400のイベントを企画して起業家と投資家を繋げている。またプラグ・アンド・プレイ自体も投資企業として活動している。

このイノベーションプラットフォームに応募したいと願う起業家は、厳格な選考プロセスを経なければならない。そして事前選考の後の最初の大きなハードルが「セレクション・デー」となる。

応募者の提出したアイデアが審査員団の賛同を得た場合、集中的にまた数週間ならびに月単位でのネットワークミーティングを含む3ヶ月にわたるメンターおよび、提携企業による特別なコーチングセッションを受ける。

この間、起業家はArena2036の共同作業スペースと、ハードウェアラボを使用することができる。併せてプラグ・アンド・プレイのグローバルネットワークへのアクセスも許可される。

“Arena”は「次世代自動車の積極的な研究環境」を表しており、来る2036年が自動車が発明されてから150年目の節目を迎えるなか、大規模なハイテクワークショップは、ツール、生産機械、3D プリンター、ロボット、プロトタイプと小規模シリーズ生産用ソフトウェアなど、巨額のテクノロジーを備えてそうした起業家を迎える。

ここで提供されるサービスには、事業、研究および政治の分野や、投資家、潜在顧客および助言者とのコンタクトが含まれ、開発プロセスは、法律と税務のアドバイスから、財務計画とプロジェクト管理の専門家による支援まで、幅広い追加サービスによってサポートされる仕組みだ。

このプロセスの目的は、応募者が最終的な「エキスポ・デー」の当日に於いて潜在的な投資家の心を動かすことにある。

提供される起業資金の種類は、企業の成長度に基づいており、資金提供には、企業の株式の取得や個別の契約が含まれることもある。

第1弾では、300人の応募者のうち、13人が2月9日にシュトゥットガルトで行われた最終選考に進み、約1,000人のゲストも出席した。

スタートアップ・アウトバーンは、ハードウェアとソフトウェアの間の接点として、インテリジェントなソリューションを提供する「ハード技術の起業家」を見つけて支援することに重点を置いている。

例えば、ドイツとカナダのスタートアップコミュニティは機械学習分野のソリューションを発表。テルアビブの起業家は、車のフロントウインドウを広告スペースにするガラス投影テクノロジーの一種を開発した。

最終候補には、ケルンに拠点を置くEvoparkの創業者も含まれており、この起業家は、ドライバーに空き駐車場を示して誘導するアプリを作成した。この電子パーキングチケットは、紙のチケットを必要とせず、ドライバーは月末に請求書を受け取るというもの。

ポルシェは、世界中のイノベーターの間の接点となる新設のポルシェ デジタル社(Porsche Digital GmbH)を介して、Evoparkの株式を保有している。

ポルシェ デジタル社は、デジタル分野における顧客体験や製品、事業およびプロセスを特定して強化する。この子会社は、全ての企業部門と密接に連携して、新しい価値創造モデルと革新的な製品提供のテストを行っていく。

ベルリンのデジタルラボは、ポルシェがデジタル変換に向けて進めてきたさらなるステップとなる。

その目的は、革新的な情報技術ソリューションを特定してテストすることにある。複数のチームが、ビッグデータと機械学習、マイクロサービスとクラウドテクノロジー、インダストリー4.0、およびIoTの分野からいかにして革新を引き出すかという課題に重点的に取り組み、ポルシェに於いて、それを実用的な商業ソリューションに転換していく。

そしてポルシェでは、スタートアップ・アウトバーンが同社の革新的なキャンペーンの延長上にあるとしている。先のオリバー・ブルーメ氏は、「素晴らしいアイデア、ネットワーク、及びパートナーシップが、このコンペティションには不可欠です。

私達は、先進技術と革新的なビジネスモデルを結び付けます。このパイロットプロジェクトは、特定の目的に用いられるプロトタイプを生み出します。

キャンペーンの目的は、高級自動車セグメントに於いてポルシェをデジタルモビリティソリューションのトッププロバイダーに成長させることにあります」と結んでいる。