自動車メーカー他11社、水素ステーションの整備新会社を来春設立へ


トヨタ・日産・ホンダの他、複数のエネルギー企業やインフラ開発会社である豊田通商・日本政策投資銀行の総計11社は、2017年5月より燃料電池自動車(以下、FCV)向け、水素ステーションの本格整備を目指して2018年春、新会社設立の契約を締結した。

新会社を目指す各社の取り組みは、水素・燃料電池戦略協議会「水素・燃料電池戦略ロードマップ」(2016年3月22日付改訂)の官民目標(2020年度までに水素ステーション160箇所の整備、FCVの4万台普及など)を踏まえたもの。

より具体的には、トヨタ自動車株式会社(社長:豊田章男)、日産自動車株式会社(社長:西川廣人)、本田技研工業株式会社(社長:八郷隆弘)、JXTGエネルギー株式会社(社長:杉森務)、出光興産株式会社(社長:月岡隆)、岩谷産業株式会社(社長:谷本光博)、東京ガス株式会社(社長:広瀬道明)、東邦ガス株式会社(社長:冨成義郎)、日本エア・リキード株式会社(社長:矢原史朗)、豊田通商株式会社(社長:加留部淳)、株式会社日本政策投資銀行(社長:柳正憲)の計11社で、FCV普及初期に於ける水素ステーションの整備を加速させる。

この新会社では、FCV普及初期に於ける水素ステーション事業の諸課題の解決を前提に、インフラ事業者、自動車メーカー、金融機関等がそれぞれの役割を果たし、協調することでFCV需要の最大化が狙える水素ステーションの戦略的な整備と事業の自立化を目指していく。

具体的な新会社の取り組みは、以下の通り。

1. 水素ステーションの戦略的な整備
新会社は、事業期間を10年と想定し、第1期としてまず4年間で80基の水素ステーションを整備することを目指す。着実な整備基数目標達成のために、該当メンバーだけでなく、広く新会社への新規参画を募る。

新会社は、国の補助金政策、自治体の普及に向けた取組み等を総合的に勘案しながら、独自に「水素ステーション整備計画」を策定し、日本全国で多くの消費者にFCVを使って貰える環境を整備する。

2. 水素ステーションの効率的な運営への貢献
オールジャパンで水素ステーションを整備・保有する新会社は、インフラ事業者に委託する水素ステーション運営業務を通じて水素ステーションの整備情報や運営情報を収集し、その情報を有効に活用することで、以下の点に着目し、水素ステーションの効率的な運営などロードマップ目標の実現に貢献する。

1)FCVユーザー利便性の向上
FCV需要に応じた営業日数拡大など、消費者が快適に水素ステーションを利用できるよう既に新規需要創出活動を実施している一般社団法人水素供給利用技術協会(HySUT)と連携。水素ステーションの利便性向上を目指す。

2)水素ステーションのコストダウンや規制見直しへの対応
新会社は、燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)、HySUT等の外部機関と連携し、水素ステーション機器等の標準化や規制見直し等の検討を通じ、コストダウンを目指す。

このような新会社での取り組みを進めるための、関係各社の主な役割は、以下の通り。

インフラ事業者は、水素ステーション整備への投資・建設を行うとともに、新会社から水素ステーションの運営業務を受託する。また、新会社と共に水素に関する普及啓発に取り組む。

自動車メーカーは、新会社による水素ステーション最適配置への取組み、水素ステーションの利便性向上への取組み、水素に関する普及啓発活動への取組みなどを新会社に業務委託し、資金拠出することで活動を後押しする。また、普及初期において新会社と共にFCV普及拡大に取り組む。

金融機関等は、新会社に出資し、その出資金を水素ステーション整備費用の一部に充当する。水素ステーション事業の自立化までに必要な資金の拠出を通じて、インフラ事業者の初期投資負担を軽減し、広く水素ステーション事業への新規参入を促す。

今後、新会社を軸に幅広く水素ステーション事業者や投資家へ本事業への参画を求めながら、水素ステーション事業の早期自立化及びFCVの普及拡大、ひいては我が国の持続可能な水素社会の実現に貢献できるよう、取り組んでいく。

契約締結会社の構成
– インフラ事業者:
JXTGエネルギー株式会社、出光興産株式会社、岩谷産業株式会社、東京ガス株式会社、東邦ガス株式会社、日本エア・リキード株式会社

– 自動車メーカー :
トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、本田技研工業株式会社

– 金融機関等:
豊田通商株式会社、株式会社日本政策投資銀行