プジョー 208、WRXポルトガルで高いポテンシャルを発揮
2016年FIA世界ラリークロス選手権が4月16日・17日、標高1800mもの高地、ポルトガル・モンタレグレで開幕を迎えた。今季は秋開催のアルゼンチン戦まで全12連戦。しかもセバスチャン・ローブやケン・ブロックが参戦し、その華やかさが一層増している。
ファイナルは、同選手権シリーズで2連覇を果たし、不動の王者となりつつあるペター・ソルベルグ(シトロエンDS3)が制して堂々の総合優勝を飾った。
シリーズ最高峰のスーパーカー部門には、総勢23台がエントリー。今季からはQ1からQ4まで予選セッションが行われた後、2回のセミファイナルを経てファイナルが行われる形となった。
その予選は、序盤中位から慎重に走り始めたペター・ソルベルグだが、徐々に調子を上げ、Q4で2番手タイムを刻んでセミファイナルに進出。
ファイナルを目前にして終わってみれば、難なく総合トップのタイムを印して、ファイナルラウンドのポールポジションを獲得した。
WRXで、王座に君臨するペター・ソルベルグとのビッグネーム対決に注目されたローブ(プジョー208)は、セミファイナルを2位で潜り抜け、セカンドポジション2列目からのスタートを迎えた。
ファイナルラウンドのスタートでは、ペター・ソルベルグが、ヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロ)に並ぶ好位置に付け優位なポジションに付ける。
一方のセバスチャン・ローブは、最初のターン1の段階で最後尾まで押し出されてしまう。
その間、ペター・ソルベルグは、ヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン)と接触しながらも開幕優勝を決め、タイトル防衛に向けて幸先の良いスタートを切った。
2位は、ロビン・ラールソン(アウディA1)、3位はトッピ・ヘイッキネン(アウディSIクワトロ)となった。
一方、ロープ参戦で注目を集めたプジョー陣営は、3台が出走した中で、ファイナルへの進出を決めたのはローブのみ。
部分的に濡れた路面も含まれるコンディション下のファイナルでは、先の通りオープニングラップの冒頭で、コース外に押し出されてしまったセバスチャン・ローブなのだが、ファイル走行中にトランスミッショントラブルに見舞われながらも、安定した走りを披露して堂々の5位に食い込んだ。
この結果に当の本人は、「この選手権は、なかなかひと筋縄ではいかないようだが、ラリークロスの雰囲気自体は気に入った。パワフルなマシンを駆ってのドライブは楽しいよ」と語っていた。
以下はセバスチャン・ロープ参戦で期待集まるプジョー陣営のコメントとなる。
<コメント>
ブルーノ・ファミン (プジョー・スポール ディレクター)
「波乱の週末でした。最終的なリザルトは我々の期待には届きませんでしたが、それでも素晴らしい戦いぶりでした。
今年の戦いは非常に厳しく、2015 年シーズン後半を通してライバルたちに打ち勝ってきた勢いをキープするには、全力で取り組まなくてはなりません。
総合的なパフォーマンスがそれほど悪くなくても、ここモンタレグレでは混戦の中を戦わなくてはならず、アクシデントを避けることができませんでした。しかし、我々はこの週末、精一杯戦いました!」
ケネス・ハンセン(チーム代表)
「セバスチャンは、まさに衝撃の新人です! ラリークロスのデビュー戦で、これほどの速さを見せるとは思っていませんでした。彼がこの週末で見せたアプローチも印象的でした。
全体的には、今季開幕戦のリザルトには十分に満足はしていません。滑りやすい路面コンディションに手を焼き、ドライバーとマシンのフィーリングを合わせるのに苦労しました。
しかし、コースがドライであれば、プジョー 208 WRX はとても競争力があります。次はどんな場面にも対応できるよう取り組んでいかなくてはなりません」
セバスチャン・ローブ (#9 プジョー 208 WRX、総合 5 位)
「ひと言で言うなら、ここでの“修業”は間違いなく容易ではないということです。どのレースにおいても、スタートからゴールまでトップをキープしなければなりません。
トリッキーなコンディションではどんなドライバーもミスをしますが、私も小さなミスをしました。
ヒート 4 でのミスは大きな痛手となりましたが、そこから巻き返しを図り、セミファイナルでいい走りをしてファイナルに進むことができました。
ファイナルでは、ポディウムも視野に入れていましたが、残念ながらトランスミッションのトラブルで上位フィニッシュはできませんでした。
ラリークロスの雰囲気は、とても好きです。マシンはとにかくパワフルで、ドライブするのが本当に楽しいですし、たくさんの観客が応援してくれて素晴らしいですね」
ティミー・ハンセン(#21 プジョー 208 WRX)
「この週末はすべてが裏目に出てしまいました。ヒートレースがあまり順調にいかず劣勢でしたが、昨年のように圧勝することはできなくても、私たちのパフォーマンスはとてもいいものでした。
セミファイナルの序盤では、私が走っていたコースのイン側が荒れていて、ブレーキングに影響が出ました。この結果、ポルトガルではあまり選手権ポイントを獲得することができず、新しいシーズンの滑り出しは苦いものとなりました」
デイビー・ジャネイ (#17 プジョー 208 WRX)
「モンタレグレを終えて、ポジティブな手応えを感じています。もっとも理想的な滑り出しとは言えず、最初はマシンが思うように動いてくれずに手こずりました。
しかしこの苦境を必死で乗り越え、セミファイナルに進出することができました。いいリズムをつかみ自分でも走りを楽しめましたが、レースは残念ながら思うようにはいきませんでした」
■ FIA 世界ラリークロス選手権(WRX) 第 1 戦 モンタレグレ(ポルトガル) レース結果
1 Petter Solberg /PS World RX Team, Citroën DS3
(P.ソルベルグ_/シトロエン_/4:03.992)
2 Robin Larsson, /Audi A1
(R.ラールソン_/アウディ_/4:04.839)
3 Toomas Heikkinen /EKS, Audi S1
(T.ヘイッキネン_/アウディ_/4:06.352)
4 Andreas Bakkerud /Hoonigan Racing Division, Ford Focus RS
(A.バックラッド_/フォード_/4:07.767)
5 Sebastien Loab /Team Peugeot-Hansen, PEUGEOT 208 WRX
(S.ローブ_/プジョー_/4:29.298)
■ ドライバーズ・スタンディング 1/12 戦
1 Petter Solberg PS World RX Team, Citroën DS3 29 points
2 Robin Larsson Robin Larsson, Audi A1 21 points
3 Johan Kristoffersson Volkswagen RX Sweden, Volkswagen Polo 21 points
4 Toomas Heikkinen EKS, Audi S1 20 points
5 Andreas Bakkerud Hoonigan Racing Division, Ford Focus RS 20 points
■ チーム・スタンディング 1/12 戦
1 EKSRX 39 points
2 SDRX 28 points
3 World RX Team Austria 26 points
4 All-Inkl.com 20 points
5 Team Peugeot-Hansen 12 points