米TRIのベンチャー基金TAIV、1億ドル規模の新ファンド設立へ


先の1号ファンドに続き、自動運転モビリティやロボティクス関連のベンチャー企業へ投資をさらに継続

人工知能や自動運転・ロボティクスなどの研究開発を行う米TRI(Toyota Research Institute)傘下のベンチャーキャピタルファンド「TAIV(Toyota AI Ventures)」は5月2日、自動運転やロボティクス関連分野に取り組むベンチャー投資基金として新たな2号ファンドを設立すると発表した。

このTAIVは、起業家精神にあふれた企業と人材の連携拡大を目的に1億ドルを投じて、2017年7月に設立された。設立から現在までにTAIVは、様々な技術・事業領域に取り組むベンチャー企業19社に投資を行ってきた。

今回の2号ファンドの設立により、将来有望なベンチャー企業へ投資やサポートを行うTAIVの資産総額は1号ファンドをあわせて2億ドル以上に拡大した。

こうした取り組みについてTAIVのマネージング・ダイレクターを務めるジム・アドラー氏は「自動車業界の急速な変革期で先頭に立つには、自動車メーカーはベンチャー企業のエコシステムに参画する必要があります。

ベンチャー企業への投資により、モビリティにおける最新のイノベーションを発掘することにつながる長期的関係を築くことができるのです」と語っている。

TAIVは、対象を限定しない様々な業界で人工知能、データ、クラウド技術などを使って重要社会課題の解決や新たな市場創造に取り組む設立間もないベンチャー企業を投資対象としている。

現在の投資先は、日常生活の自動化支援に使われるロボットを開発する「Elementary Robotics」、人工知能の認識技術を活用して人と共生するロボティクス技術に取り組む「Intuition Robotics」、一般乗客向け電動垂直離着陸機サービスの先駆者である「Joby Aviation」、レベル4自動運転のシャトルサービスをコミュニティ内で提供する「May Mobility」、船舶業界向けの自動操縦・ナビゲーションシステムに取り組む「Sea Machines」など、多岐に亘っている。

TAIVはこれまでも出資に加えて、製品の市場導入適合やトヨタの専門技術・グローバルネットワークの活用など、投資先企業の長期的な成功に向けた支援を行ってきたが、2号ファンドを活用することで、新たにこのような投資先への支援も拡充していく構えだ。

この積極的な姿勢についてTRIのCEOで、TAIVの投資委員会メンバーでもあるギル・プラット氏は「自動運転システムへの関心の高まりは、AIや次世代モビリティ技術を活用して私たちの生活を向上させる大きな機会をもたらしています。

TAIVは、テクノロジーベンチャー企業と新たに生まれつつあるモビリティ産業との橋渡しをすることにより、私たちが将来の有力なリーダーたちを見つけ出し、投資を行うことの助けとなります」と結んでいる。