トヨタ・ヤリス、WRC初戦のモンテカルロでタナックが総合2位


2018年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロの競技4最終日が、1月28日に行われTOYOTA GAZOOレーシングワールドラリーチームのオット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC #8号車)が総合2位に入った。

またヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(#7号車)が総合3位、エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(#9号車)が総合7位でフィニッシュし、ヤリスWRCは全車が完走を果たした。

最終日のデイ4の日程は、モナコを基点にフランス山中で2本のステージを各2回走行する4本のスケジュールとなり、計63.98kmのSSが行なわれた。

前日デイ3で2位につけていたタナックは、確実なフィニッシュを目指し安定した走りを続け、ヤリスWRCで出場した最初のラリーで2位という結果を残した。

タナックは難しい路面コンディションでヤリスWRCのポテンシャルを引き出し、4日間で4本のSSベストタイムを記録。またラトバラは最終日も3位のポジションを堅持し、昨年に続きポディウムフィニッシュを果たした。

デイ3終了時点で4位につけていたラッピは、最終ステージのSS17で小さなミスをしてタイムをロス。4位と約14秒差の7位でラリーを終えた。

ラッピは今回ラリー・モンテカルロに初めてWRカーで出場したが、力強いパフォーマンスを示し、今後に繋がる多くの経験を得た。

第1戦ラリー・モンテカルロを終えてチーム総代表の豊田章男氏は、「私どもTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは昨シーズン、世界中の道で闘いながらヤリスを鍛えてまいりました。

そのヤリスを、チームメンバー達はほんの数週間しかないシーズンオフの間もあまり休まず、さらに改善を重ね、モンテカルロのスタートラインに立たせました。

そうして迎えた初戦…結果は8号車が2位、7号車が3位、9号車が7位と素晴らしい結果でシーズンのスタートを切ることができました。

このメンバー達と共に今年もヤリスを走らせていけること、本当に頼もしく思います。私は現地に赴くことはできませんでしたが、心はチームと共にありました。

現地からの報告やSNS、テレビ中継でその様子を見守っていましたが、そこでは日本はもとより各地にいるファンの皆さまからの声が多く寄せられており、応援頂いているファンの皆様への感謝の気持ちを新たにいたしました。本当にありがとうございます。

アスファルト、雨水、雪、氷、泥の全てが入り混じった難しい道でヤリスをゴールまで運んで来てくれたマキネン代表、メカニックやエンジニアなどチームの皆、そしてなにより6人のドライバーとコドライバーに敬意を表します。

昨年11号車でモンテカルロを闘ってくれたメンバーは、今年は縁の下でチームを支えてくれるようになりました。

ユホは、セーフティクルーとして道の状態をドライバー達に伝える役を、カイは、スポーティングダイレクターとして3台みんなが思いっきり走れるよう、調整をしてくれています。

1年間、共に「もっといいヤリス」を目指してきた仲間が、立場を変えて、また新たに一緒に闘っているということは何よりも心強いです。

今シーズンは始まったばかり、これから極寒、高地、灼熱、そしてライバル達の熟成…。闘いは厳しさを増してまいります。

もっといいヤリスを作るため…素晴らしいチームの仲間達とそして、応援いただける全てのファンの皆さまと、世界中の道でヤリスを走らせていければと思います。皆さん、よろしくお願いいたします」と述べている。

チーム代表のトミ・マキネン氏は、「とても素晴らしいシーズンのスタートとなりました。我々がWRCへの参戦を開始してから、チームは最も力強い状態にあると思います。

チーム全員が全力でラリーに臨む姿を見て、本当に嬉しく思いました。また、タナックのチームに溶け込むはやさ、彼のプロフェッショナルな仕事ぶりと吸収スピードに、とても感動しました。この調子を続けることができれば素晴らしいですし、次のラリー・スウェーデンがとても楽しみです」と話している。

以下はチームの隔ドライバーのコメントとなる。

ヤリ-マティ・ラトバラ(ヤリスWRC #7号車)
モンテカルロは、決して簡単には行かないラリーです。今日もまた難しいコンディションでした。特に、レッキ以来の走行となったチュリニ峠の凍結路面は難しく感じました。

そうした中、ラリーを最後まで走りきり、表彰台に立つことができてホッとしています。チームは本当に良い仕事をしてくれましたし、クルマの調子も非常に良かったので、これからのシーズンが楽しみです。

冷静さを保ち、選手権とポイントのことを考えながら戦っていきたいと思います。

オット・タナック(ヤリスWRC #8号車)
このような良い形でシーズンをスタートできて、とても嬉しく思います。非常に強力なチームに加わることができたと実感しました。

マシンは驚くほど素晴らしく、ラリー開始直後からずっと気持ち良くドライブすることができました。とても難しいコンディションでタフなラリーでしたが、とくに大きな問題を抱えることなく走り切ることができました。

今日はこれまでよりもコンディションが良くなるだろうと期待していたのですが、道は凍っていました。しかし、私たちは良いポジションにつけていたので、今日は手堅く走ることができたと思います。いまは、この後のラリーが本当に楽しみです。

エサペッカ・ラッピ(ヤリスWRC #9号車)
今日は十分なスピードがあり、とても良いスタートだったと思います。自分の計画は最終SSのパワーステージも含め最後まで自分のリズムを保って走ることでしたが、ひとつのコーナーでワイドに膨らんでしまい、コース復帰にかなり時間を要し順位を3つ落としてしまいました。

もちろん今はとても落ち込んでいますが、それでもすべてのステージを走りきり、経験をさらに積み重ね、多くの学びを得たことをポジティブに捉えたいと思います。

チームにとっては本当に良いラリーとなりましたし、次戦ラリー・スウェーデンは自分によりあった1戦になるはずです。

ラリー・モンテカルロ デイ4の最終結果
(1位)セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(フォード フィエスタ WRC)4h18m55.5s
(2位) オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ(トヨタ ヤリス WRC)+58.3s
(3位)ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ(トヨタ ヤリス WRC)+1m52.0s
(4位)クリス・ミーク/ポール・ネーグル(シトロエン C3 WRC)+4m43.1s
(5位)ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー(ヒュンダイ i20 クーペ WRC)+4m53.8s
(6位)エルフィン・エバンス/ダニエル・バリット(フォード フィエスタ WRC)+4m54.8s
(7位)エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム(トヨタ ヤリス WRC)+4m57.5s
(8位)ブライアン・ブフィエ/クザビエ・パンセリ(フォード フィエスタ WRC)+7m39.5s
(9位)クレイグ・ブリーン/スコット・マーティン(シトロエン C3 WRC)+9m06.7s
(10位)ヤン・コペツキ/パヴェル・ドレスラー(シュコダ ファビア R5)+16m43.0s

WRC次戦は、2月15日から18日にかけて開催される第2戦ラリー・スウェーデンとなる。

スウェーデンはシーズン唯一のフルスノーラリーであり、ラリーカーはスタッド(スパイク)が埋め込まれた、雪道専用のスノータイヤで雪と氷に覆われた森林コースを走行する。

スタッドタイヤのグリップ力は非常に高く、またスウェーデンのSSは緩やかな高速コーナーが多いため、雪のラリーにも関わらず平均速度はWRC全戦の中でトップ3に入る。