金型の溶接補修事業を展開する愛知溶業(本社:愛知県一宮市、代表取締役:市川修)は5月13日、明和製作所(本社:三重県三重郡菰野町、代表取締役:大矢知公則)と、金型の補修事業で両社の技術を共有。金型溶接補修の技術推進とグローバル市場へ事業拡大するためのMOU(覚書)を締結した。
両社はギガ・メガキャストの金型補修の分野で国内外での技術力強化と、グローバル市場での更なる競争力向上を目指し、協力を進めていく。
業界動向:ギガ・メガキャストの世界的な普及
従来は多くの部品と工程で繋ぎ合わせていた車体パーツを、一度の鋳造で一つの部品として製造する新しい技法「ギガ・メガキャスト技術」が自動車業界をはじめとするモビリティ産業で中国・北米を中心に急速に普及、新興国でもその導入が進んでいる。
中国のギガキャスト関連市場規模は2021年の85億元(約1785億円)から大幅に広がり、2025年には323億6000万元(約6800億円)に達する見通しだ。
これに伴い、金型補修にもより高度な対応力が求められるようになっている。またこうした技術革新を受け、国内でも政策レベルでの対応が進められている。
経済産業省は2025年3月に「素形材産業ビジョン(2025年版)」を発表し、その中で「ギガキャスト等の新技術の開発や導入を進めるにあたっては、国際的な技術基準や規制等も参考にして、産業界と連携しつつ必要な検討を進める」と明記した(素材産業ビジョン)。
これは、大型鋳造技術を活かした生産性の高い自動車部品製造の普及に備え、国内産業の競争力強化を示す方向性のひとつである。
EV(電気自動車)の急成長に比例して、ギガ・メガキャストの「生産スピードの向上」や「車体の軽量化」の側面が、更に注目されている。
但し、ギガ・メガキャストは大型の金型を使用するため、ひとつの金型当たりの製造コストが高く、補修やメンテナンスにも高度な技術と大型設備に対応可能な環境が不可欠だ。
こうした市場動向を受け、愛知溶業は金型の長寿命化を目指して一貫した補修技術を明和製作所に提供し、両社の協力のもと、国内外に於けるギガ・メガキャスト対応体制の構築を進めていくという。
両社の金型溶接補修の技術に係る提携の目的
今提携は、ギガ・メガキャストの金型補修分野における国際的な技術連携を強化し、両社の技術力向上を目指すもの。愛知溶業と明和製作所は、それぞれの強みを活かし、以下の目標に向けて協力を進めていく。その要諦は以下の通り。
1.技術共有と相互成長
愛知溶業は、明和製作所が事業を展開している中国や北米などの成長市場での技術提供を通じて新たな市場獲得を目指し、ギガ・メガキャスト金型の補修技術基盤を強化する。
明和製作所は、愛知溶業の「溶接」「加工」「測定」「仕上げ」に至る一貫した補修ノウハウと、金型の長寿命化を実現する高度な補修技術を連携し、海外市場でのサービス差別化を図る。
2.国際共同事業の基盤構築
両社は、レーザー溶接機器や材料の販売・レンタルを通じた協力事業を推進し、成長市場での金型補修体制を強化する。これにより、国際市場における競争力を高め、持続可能な事業成長を実現させていく。
3,知見の還元と循環型ものづくり
海外で培った実績や技術知見を日本国内にも還元し、適切に補修することで品質は同等に「使い続けられる金型」として長寿命化を促進す。
今後の展望
両社の連携によって今後のモビリティ産業の変革に対応するため、単なる技術提供に留まらず、金型の長寿命化や安定した品質の向上に向けた協力体制を構築していく。
また、ギガ・メガキャスト技術の普及を見据え、国内での受注増加にも早期に対応できるよう体制を整え、金型業界全体への貢献に努めていく。
今提携について明和製作所の大矢知公則 代表取締役は、「当社はアルミダイカスト用金型の設計・製造および修理・改造に於いて、40年以上の実績を積み重ねてまいりました。
この度の愛知溶業様とのMOU締結により、同社が持つ高度な技術力と精密なレーザー溶接技術を取り入れることで、より長寿命で信頼性の高い金型補修の実現を目指します。
さらに、補修を通じて得られた知見やノウハウを金型設計にフィードバックさせることで、耐久性とメンテナンス性に優れた金型の提供に繋げてまいります」と述べた。
また愛知溶業の市川修 代表取締役は、「この度、明和製作所様とのMOU締結により、当社の金型補修技術をグローバル市場へ導入できることを大変嬉しく思います。
今回の連携を通じて、中国・北米をはじめとする市場で金型補修サービスの差別化を図り、ギガ・メガキャストにも対応できる金型の長寿命化を目指します。
今後は明和製作所様との協力を深め、よりグローバルな社会貢献を果たすとともに、得た技術や知見を国内のものづくり産業にも還元してまいります。
また、愛知溶業のビジョン「循環型モノづくりをあたり前にする」の実現を目指し、サステナブルな産業の発展に貢献してまいります」と語っている。
会社名:愛知溶業株式会社
代表者:代表取締役 市川 修
設立:2005年11月
資本金:1,000万円
事業内容:金型製作/金型溶接/金型測定/金型補修/金型溶接教育コンサルティング
従業員数:57名
所在地:〒491-0828 愛知県一宮市伝法寺3丁目8-2
公式Webサイト:https://aichi-welding.com/
会社名:株式会社明和製作所
代表者:代表取締役 大矢知 公則
設立:1979年
事業内容:ダイカスト金型の設計製作/ダイカスト金型のメンテナンス等アフターサポート
従業員数:71名(内16名は海外転勤者)、グループ連結 535名(2024年現在)
所在地:〒510-1323 三重県三重郡菰野町小島2461-32
海外拠点:タイ、インドネシア、中国、メキシコ、アメリカ、インドネシア
公式Webサイト:https://meiwa-jpn.co.jp/