独シェフラーは2月から、中国EV向けに中国・湘潭工場でステアリングシステム用ボールねじ駆動装置の生産を開始した。
シェフラーは2007年以降、幅広い自動車用途向けに1億4,000万台以上のボールねじ駆動装置を生産してきた実績があり、過去20年近くに亘り、ボールねじ駆動装置を広く自動車業界へ提供してきた。
ボールねじ駆動装置は、現代の自動車に不可欠で、かつ将来の自動運転において重要な役割を果たすことが予想される高度に洗練されたコンポーネントだ。
シェフラーのボールねじ駆動装置は、主に電気自動車のブレーキブースター、電動パーキングブレーキ、電気機械式ブレーキなどのブレーキシステムの他、操縦性、安全性、快適性を確保するステアリングシステムに使用されてきたが、今年は、中国の大手自動車メーカーの量産車向けに製造を開始する。
シェフラーAGのパワートレイン&シャシー事業部でCEOを務めるマティアス・ツィンク氏は、「シェフラーは、ボールねじ駆動装置の量産および開発に於いて数々の実績を保有しています。
その間に蓄積された優れた製造ノウハウに加え、中国を初めとする世界中のお客さまと緊密な関係を構築している強みがシェフラーにはあります。
信頼性の高いボールねじ駆動装置の成功が長く続いているのは、シェフラーの精密機械コンポーネントの品質に対してお客さまから支持を得ていることを示す明確な証です。
シェフラーは、モーションテクノロジーのリーディングカンパニーとして、ブレーキシステムおよびステアリングシステムの成長市場に於いて、中国のお客さまにとって信頼できるパートナーであることを誇りに思います」と述べた。
そうしたボールねじ駆動装置は、スピンドルやナットの回転運動を直線運動に変換するもの。転動体としてボールが組み込まれているため、回転運動から直線運動への変換時に滑りが発生せず、摩擦もほぼない。
シェフラーは、ステアリングシステムだけでなく、ブレーキやドライブ、パワートランスミッションシステム向けの自動車用ボールねじ駆動装置も生産しており、2007年の量産開始以降、シェフラーは生産能力の拡大。
現在では「ローカル・フォー・ローカル」(現地生産・現地販売)の考え方に基づき、世界中のあらゆる地域でボールねじ駆動装置の生産を行っている。2025年2月には、中国・湘潭でステアリングシステム用ボールねじ駆動装置の生産を開始し、現地の中国市場に向けて最適なサポートができる体制が整った。
また中国以外にも、フランスや韓国、メキシコ、スロバキアでも、こうした精密部品を生産している。ボールねじ駆動装置の作動原理は、ベアリング&インダストリアルソリューションズ事業部のリニアアクチュエーターにも採用されている。
ボールねじ駆動装置は今後、次世代自動車(特に、ハイブリッド車や電気自動車)向けのシャシーシステムの他、自動運転技術に関して重要な役割を果たすことが予想されている。そのため、シェフラーは製品改良の取り組みを継続してきた。
シェフラーグループのシャシーソリューション事業部門で責任者を務めるティモ・シュミット氏は、「プレミアムカーやSUVのステアリングシステム向けにボールねじ駆動装置を開発する際、シェフラーは、滑らかで静かな走行の実現と大きな車両重量への対応に関して、より厳しい要件を考慮しています。
シェフラーが製造するボールねじ駆動装置が重要なコンポーネントの一つであるブレーキシステムについても、市場は大きな変革期を迎えています。
また次世代自動車には、4輪を個別に制動できるインテリジェントで静音性に優れた電気機械式ブレーキが搭載されるようになります。これにより、ブレーキ・バイ・ワイヤ技術の普及にも貢献することが予想されます。シェフラーは、お客様から電気機械式ブレーキシステム用ボールねじ駆動装置を初受注し、生産開始の準備に進めています」と結んでいる。