ホンダ本社が八重洲へ移転、新青山ビルはブランド価値向上策で活用へ

本田技研工業(ホンダ/本社:東京都港区、取締役代表執行役社長:三部敏宏)は8月29日、2029年中に本社機能を八重洲二丁目中地区第一種市街地開発事業(八重洲地区再開発エリア)の高層オフィスフロアへ移転する。

これに伴い当初の予定を変更(現在の仮住まいの虎ノ門から、新たな青山ビルへ戻る予定)。ホンダ青山ビルは、所有権の一部を三井不動産レジデンシャルへ譲渡することを決めた。そうした考えに至った理由は以下の通り。

もともとホンダは、現在の青山本社ビル誕生から40年が経ったことを踏まえ、社会や産業が急速に変革に向かうなかで、自社が「存在を期待される企業」であり続けるべく、グローバル本社の未来像について検討を重ねた結果、新たなビルへの建て替えを2023年9月に決定。2030年度の完成を目標に準備を進めてきた。

しかし一方でホンダの企業文化は、自社のイノベーションを生み出す源泉が、個人が役割を超えて意見をぶつけ合って成果を出す「ワイガヤ文化」にあることに思い至ったという。

というのは現在の(本社機能として)仮移転先とした虎ノ門では、ワンフロアで従業員が一堂に会して働くスタイルを採っており、その中で従業員同士の活発なワイガヤが、様々なイノベーションを生む環境になっていることを実感した。

そこで改めて次の本社機能を担うべき新オフィス像を検討した結果、1960年から1974年まで本社機能を担っていた八重洲ビルの跡地を含む八重洲地区再開発エリアへの本社機能移転が最適であるという結論に至った。

実際、八重洲地区再開発エリアに新オフィスを構えた場合、その1フロアあたりの面積は、青山ビルと比べ約6.8倍、仮住まいの虎ノ門の現オフィスと比べても約1.8倍となり、その結果、様々な領域の従業員が集まり、働くことができるようになる。従ってホンダでは、これを通じて組織として新たな価値の創出を目指したいとしている。

また八重洲は、そもそもホンダが東京進出を果たした出発の地であり、世界に向けて果敢にチャレンジし続けて現在の礎を築いたゆかりのある場所でもあり、加えて八重洲地区は、東京駅に近接しており、国内外からの交通利便性に加え、最先端の技術や情報が集積するグローバルでも有数のオフィス街でもある。また現在は、各所で再開発が進んでおり、今後、更なる都市機能の強化が期待できると結論付けている。

一方で、これまでの青山本社ビルは先の通り、ビル設計の考え方やホンダを取り巻く事業環境などを総合的に踏まえて、自社で有する建物および土地の所有権の一部を、三井不動産レジデンシャルへ譲渡することを決めた。

但し1985年から約40年間、2代目の本社機能とウエルカムプラザ青山を構えていた青山は、ホンダにとって想い入れのある場所でもある。

そこで譲渡後は、ホンダと三井不動産レジデンシャルが共同で新築建物への建て替えを行った後、同建物内の一部フロアをホンダが使用して、ブランド価値向上のための新たな場として検討を進めていきたいとしている。

本社機能の移転スケジュール
・本社機能の仮移転先である虎ノ門アルセアタワー・ホンダ和光ビルでの業務開始:2025年5月
・八重洲地区再開発エリアのオフィスフロアでの業務開始:2029年中の予定

八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業 概要
事業名:八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業
施工者:八重洲二丁目中地区市街地再開発組合
所在地:東京都中央区八重洲二丁目4~7番
竣工年月:2029年1月末※
階数・高さ:地上43階 地下3階、約227m
敷地面積:約19,560m2
延床面積:約389,290m2
主要用途:事務所、店舗、劇場、サービスアパートメント、インターナショナルスクール、バスターミナル、駐車場等