フォルクスワーゲングループの独・アウディAG
は12月10日、米国に拠点を置くテック企業「UST
(旧UST Global/本社:米国カリフォルニア州オレンジ郡アリソビエホ)」と、経営資源を活かして協力関係を築くべく戦略的提携を結んだ。
また、これと同じくしてUSTは、イタリアのエンジニアリング企業「イタルデザイン・ジウジアーロSpA
(以下、イタルデザイン/Italdesign)」の過半数の株式を取得する計画を明らかにしている。ただ現段階で、USTによるイタルデザインの株式取得に掛かる金銭的条件は示されていない。
但しUST側は、新たな過半数株主の立場でイタルデザインが紡いできたイタリアの伝統やデザイン文化、従業員の才能を尊重・発展させながら事業運営の責任を担っていく。加えてイタル・デザインがUSTのビジネスネットワーク(30カ国以上)を介して世界的に大きなチャンスを掴むだろう話している。
これを受けてイタルデザインは、USTが持つソフトウェア技術やデジタルエコシステムなどの構築ノウハウを自社の車両設計や生産に活かしていくことができることから、この統合効果を世界市場へ展開・拡大させていくという。
対してUSTのパートナーとなったアウディは、自らの傘下にランボルギーニ(イタルデザインの親会社/アウトモビリ・ランボルギーニ SpA
)を抱えていることからイタルデザインの長期パートナーとしての役割(イタルデザインは2010年にVWグループ化・2015年に完全子会社化)を果たす一方で、今後もイタル・デザインの重要な顧客であり続けると語った。
今回の協力関係についてアウディAGで技術開発担当取締役を務めるジェフリー・ブーコット氏は、「イタルデザインは長年に亘り、当社の車両開発ネットワークに於ける貴重なパートナーとして、設計から試作車、そして量産開発に至る専門知識を共有してきました。
今後は、新たなオーナーシップ体制の下、3社の協力関係が今後も成功を牽引し力強い成果をもたらすと確信しています。
なおUSTは、イタルデザインの確固たる基盤を強化し、新たな市場機会を開拓する理想的なパートナーです。私たちは共にイタルデザインが自動車のデザインとエンジニアリングに於けるイノベーターであり続けることを目指していきます」と説明した。
またUSTで最高経営責任者(CEO)を務めるクリシュナ・スデンドラ氏は、「イタルデザインは、世界規模のモビリティ市場を育んできた存在です。
その卓越したデザイン力などの力量は、21世紀を迎えた今日でも世界中で高く評価されており、我々と共に新たな章を始めるにあたり、当社に寄せて下さった信頼に深く感謝しています。
私たちの役割は、イタルデザインのビジョンを支え、その伝統を尊重し、チームの継続的な成長を支える新たな能力をもたらすことです。
イタルデザイン、そしてアウディグループのパートナーの皆様と共に、未来を築き上げていくことを楽しみにしています」と述べた。
ちなみに今回、渦中の企業となっているイタルデザイン(1968年設立)は、イタリア、トリノのモンカリエーリ、ピエモンテ州ビークルバレーの中心に本社を置き、世界10拠点に1,300名以上のプロフェッショナルを擁しつつ、過去57年以上の歩みを介してモビリティ・製品・輸送機器の創造を介して未来を形作ってきた。
同社は、今日も製品のコンセプトモデルの提示から量産までをカバーするエンドツーエンドの垂直統合型ソリューションを提供している。
創業当初は自動車分野に特化し、既存ブランドから新興企業に至るまで、様々なプロジェクトに携わり、最先端のメソッドとツールを用いて新製品の工業化をサポート。
100台を超えるショーカーや研究用プロトタイプ、そして300台以上の量産モデルを長年に亘り手掛けてきた自動車業界の伝統。それに加えて近年は消費財から業務用機器、公共交通機関向けソリューションに至るまで、1,000点を超える工業・輸送機器デザイン製品を開発してきた。
そんな同社と共に歩み、数々の歴史を刻んできたイタルデザイン・ジウジアーロSpAの最高経営責任者(CEO)、アントニオ・カス氏は、この発表の最後に、「このパートナーシップは、関係するすべての関係者に利益をもたらすでしょう。
イタルデザインは、新規市場におけるサービスポートフォリオの拡大を加速し、様々な国際市場へのより深い浸透を実現することができます。
我々は、自動車分野のみならず、その他のハイテク産業分野に於いても、世界初のハードウェアとソフトウェアの完全統合させる未来企業としての姿を想い描いており、その目標に向けて歩み続けていきます」と結んでいる。


