日野とふそうの統合会社「アーチオン」、2026年4月発進へ

日野と三菱ふそう共同の持株統合会社は「ARCHION」

日野自動車(代表取締役社長・CEO:小木曽 聡)と三菱ふそうトラック・バス( 代表取締役社長・CEO:カール・デッペン )は、かつて6月10日、ダイムラートラック社( CEO:カリン・ラドストロム )にトヨタ自動車( 社長・CEO:佐藤 恒治 )を加えた4社で締結した経営統合に係る合意( DA )に基づき2025年10月9日、来年4月1日からの持株統合会社 ARCHION( アーチオン )の発進を明らかにした。

上記の新持株会社「ARCHION」は、英語で弓型の構造物を意味する「ARCH」と、遠い過去から未来まで続く様子を意味する英語の「EON(ION)」を融合させた造語。

会社とステークホルダー、三菱ふそうと日野を繋ぐ絆。また、輸送の未来を創造し、より良い暮らしを次世代に受け継いでいく志を表したとしている。

なお日野とふそうの2社は、「商用車の未来を共に作る」という目標のもと、ダイムラートラック、三菱ふそう、日野、トヨタの 4 社に共通する、「モビリティを通じて豊かな社会に貢献する」という想いを ARCHION は体現していくと話している。

今後は、来年発足のARCHION グループとして、統合を通じて事業効率を高め競争力を磨きつつ、地球環境に優しく安全なクルマを普及させることで、社会における移動の価値を高めていくことを目指すという。

なおこれを期にARCHION グループは、経営統合に係るシナジー創出のための主要戦略を以下のように示した。

主題は、双方の強みを掛け合わせる「統合プラットフォーム戦略」にある

日野とふそうという2プランドの競争力を高める主要戦略として「統合プラットフォーム戦略」を推進する。

より具体的には大型、中型、小型トラックのプラットフォームを統合し、両社の強みを活かして製品の競争力を引き上げると共に、コスト効率性を高め、より良い商品をタイムリーに市場投入できる体制を実現させる。

加えて、日野とふそうの両ブランドの車両をお互いに活用することで、より充実した製品ポートフォリオを市場に向けて提供していく。

スケールメリットを活かした競争力・効率性の向上を目指す

統合プラットフォーム戦略を支える開発、調達、生産、物流などの機能の統合・効率化にも積極的に取り組み、事業効率を大きく高めていく。

例えば開発では、開発機能の統合を通じて、重複投資の削減を図ると共に、リソースの最適配置および有効活用を進めることで、製品プラットフォームの統合をタイムリーに実現し、将来のイノベーションを支える基盤を構築する。

また調達では、購買機能を統合し購買ボリュームを集約することで直接・間接調達の幅広いカテゴリーに於いて大幅なコスト削減を図ると共に、製品統合によるスケールメリットを活かした更なる効率化に取り組む。

生産拠点・物流ネットワークも最適化を図る。具体策としてはコスト・品質・リードタイムを改善し、統合プラットフォーム戦略の実現を推進させていく。

上記に関わる具体策としては2028 年末までに、現在 5 か所ある国内のトラック生産拠点を川崎製作所(神奈川県川崎市/三菱ふそうの中津工場の生産は川崎製作所へ集約)・古河工場(茨城県古河市)・新田工場(群馬県太田市)の 3か所に集約する。

但し※日野の羽村工場については、2025年6月10日付発表の通りトヨタへ移管する。また同じく間接機能でも、機能集約化・重複領域の最適化を進め、コスト効率化と業務の卓越性を両立させる。

CASE 技術を通じた持続可能な社会への貢献を目指す

統合・効率化を通じて生み出したリソースを、特に既存技術の進化と CASE 技術開発の加速に向けた投資へと振り向け、顧客と社会の期待に応えつつ、更なる事業成長を実現していく。

上記の具体策としては、トヨタ、ダイムラートラックを含めた 4 社の技術資本とスケールメリットを生かし、電動車の各セグメントで市場をリードする製品を開発していく。

特に水素領域に関しては、ダイムラートラックとトヨタの協業により両社の強みを合わせることで、世界トップレベルの燃料電池システムを開発し、普及を図っていく。

また、自動運転領域でも開発を加速させていく。例えばコネクテッド領域では、車両データの効果的な活用により、より高い顧客への価値を提供するソリューションの強化に繋げていく。

日野と三菱ふそうは、上記のシナジーを基盤としつつ、両ブランドは、市場で切磋琢磨し合うことでも互いの価値を高め、ARCHION グループは、お客様に対してより良い商品を提供し、幅広いステークホルダーに対して持続的な貢献を続けていく。

新持株会社の主要な経営陣は以下の通りで決定している

ARCHION グループは、グループ全体の将来の技術ロードマップの策定および、研究開発や製品プラットフォームによる技術的シナジーの実現を目的として、新持株会社に最高技術責任者(CTO)のポジションを設立することを決定した。

このポジションは、日野の代表取締役社長を務める小木曽聡氏が就任予定であり、同時に取締役執行役員に指名した。

加えて透明性、業績、資本配分に関する財務体制を構築するため、三菱ふそうの代表取締役兼最高財務責任者(CFO)であるヘタル・ラリギ氏が、CFO および代表取締役に指名された。

これらの人事は、2026 年 4 月 1 日の事業開始を予定日として発効する予定であり、必要な承認および取引の適時な完了を前提としている。それまでは、両氏とも現在の役職を継続する。

また、住友理工の社外取締役を務める伊勢清貴氏、およびダイムラートラックの副社長兼コーポレート・ディベロップメント部門責任者であるクリスチャン・ヘルマン氏が、取締役(非常勤)に指名された。これらの人事も、2026年4月1日の事業開始を予定日として発効する予定だ。

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新会社概要
・社名: ARCHION(アーチオン)株式会社
・本社所在地: 東京都品川区
・役員体制: 本日時点で選任を予定しているのは以下の通り

  • 代表取締役・最高経営責任者(CEO) カール・デッペン
  • 代表取締役・最高財務責任者(CFO) ヘタル・ラリギ
  • 取締役・最高技術責任者(CTO) 小木曽 聡
  • 取締役(非常勤)伊勢 清貴
  • 取締役(非常勤)クリスチャン・ヘルマン
    ※独立社外取締役4名は 11 月上旬に決定し、公表予定

・設立日: 2025 年 6 月 2 日
・事業開始: 2026 年 4 月 1 日
・資本構成: ダイムラートラックとトヨタはそれぞれ持分比率 25%を保有する方針
・上場取引所: 東京証券取引所プライム市場への上場を目指す
・持株会社は日野と三菱ふそうの株式を 100%保有する予定

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経営トップのコメントは以下の通り

<カール・デッペン、ARCHION 代表取締役 CEO 候補者、三菱ふそう 代表取締役 CEO>「本日、私たちは共通のビジョンを実現するための次なる一歩を踏み出します。

ARCHIONを通じて、アジアにおける商用車のリーディングカンパニーとなり、業界の変革を推進することで、お客様およびすべてのステークホルダーに貢献してまいります。

強力なブランドである日野とふそうのもと、私たちはお客様のニーズに応える優れた製品とソリューションを提供していきます。
ARCHION を通じて、効果的かつ透明性の高いガバナンスを導入し、コンプライアンスの促進と財務パフォーマンスの向上を通じて信頼の構築を目指します」

 

<ヘタル・ラリギ、ARCHION 代表取締役 CFO 候補者、三菱ふそう 代表取締役 CFO>「新グループの財務目標は明確な戦略に基づいています。それは、両社の統合によって生まれるシナジーと成長機会を最大限に引き出すと同時に、両社それぞれの独立した業績の継続的な向上にも取り組むことです。

私たちは、財務のレジリエンスとパフォーマンスを業界のベンチマーク水準へと引き上げることを目指しています。この戦略に沿った資本配分により、持続可能な価値創造を実現してまいります」

<小木曽 聡、ARCHION 取締役 CTO 候補者、日野 代表取締役社長>「何よりもまず、お客様を起点に物事を考え、お客様のビジネスの成功に貢献することを目指します。

私たちにはそれぞれの地域でお客様との強い絆があり、これをより確かなものとしていくために重要なのは、お客様や社会との接点である私たちの“商品”に磨きをかけていくことです。

さらに、4 社の力を合わせて CASE 技術の開発を加速させ、商用車の未来をともに作ります。そのためにも互いに学び合い、多様性を尊重する企業文化を作り上げていきます」

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最後に、更なる事業体制の詳報・協業範囲や内容についての細目については、今後発表されていく予定としている。また同取り組みは、関連する取締役会の承認を経た上で株主や当局の承認を得ていくことを前提に進めていくと結んでいる。



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