住友ゴム工業株式会社(本社:兵庫県神戸市中央区、社長:池田育嗣、以下住友ゴム)がFALKENブランドでサポート契約し、「Red Bull Air Race World Championship 2017」にアジア人で唯一参戦している室屋義秀選手が、6月3日(土)~6日(日)に日本・千葉にて開催されたシリーズ第3戦において第2戦のサンディエゴ戦に続きシリーズ2連勝を飾った。
4月15日(土)~16日(日)にアメリカ・サンディエゴにて開催されたシリーズ第2戦で優勝を飾った室屋義秀選手は、千葉のホームレースに於いて2連覇を達成。会場に集まった55000人の大観衆を歓喜させた。
ファイナル4を、一番手でフライトした日本のエースパイロット室屋義秀選手は、ペナルティを受けながら勝利したラウンド・オブ・8を勝ち抜き、続くファイナル4でも完璧なレコードラインを描いて同レースウィークのベストタイムのひとつとなる55.288秒を記録した。
これに2番手でフライトしたペトル・コプシュタイン選手が、ファイナル4初進出というチャンスを最大限活かして全速のフライトを披露し、室屋選手からわずか0.558秒遅れの55.846秒を記録。結果的にマスタークラス昇格後初の表彰台を獲得した。
室屋選手と、コプシュタイン選手に続いてフライトした3番手のマティアス・ドルダラー選手と、4番手のマルティン・ソンカ選手は共に先行した2人のタイムを上回ろうと攻めの姿勢を見せたが、共にアクシデントに見舞われた。
まず、3番手のマティアス・ドルダラー選手は、表彰台確実なフライトをしていたが、第2戦サンディエゴに続き、千葉でも終盤でパイロンヒットを喫する。結果ドルダラー選手は4位に沈む。
最後にフライトしたマルティン・ソンカ選手は、スタート直後に総合首位に相応しいスピードを見せたが、ゲート4でインコレクト・レベルを記録して2秒のペナルティを受けてしまい、3位に終わった。
この結果、今年2017年のワールドチャンピオンシップ争いは、室屋選手とソンカ選手が30ポイントで並び、今回の千葉で優勝回数で2回目を記録した室屋選手が総合首位に躍り出た。
3位はマティアス・ドルダラー選手で、今回2位を獲得したペトル・コプシュタイン選手は総合4位に転落している。
1位:室屋義秀選手
再び千葉で勝つことができて本当に嬉しいです。日本の皆さんのサポートに感謝したいです。運が味方してくれました。
最後は他のパイロットたちのミスに助けられましたね。今シーズンはまだ5戦残っているので、今後も自分たちのやり方を続けていく必要があります。
チームもまとまっていますし、これまでの戦略とプランに沿いながら、平常心で更なる勝利を狙っていきます。
2位:ペトル・コプシュタイン選手
素晴らしい。今でも信じられない気分だ。表彰台に2人のチェコ人パイロットが上がれたのは本当に気分が良い。
ハードワークをこなしてきたので、この結果を嬉しく思っている。自分が総合4位に浮上したことは知らなかった。今日の自分は多少運に恵まれており、安定したフライトができていたが、他のライバルたちはミスをしていた。
レースとはこういうものだ。今日は本当にハッピーだが、タイトル争いについてはまだ何とも言えない。今の自分たちに十分満足している。
3位:マルティン・ソンカ選手
複雑な気分だ。いつもなら表彰台に上がれるだけですごく嬉しいものだが、レースウィークを通じて好調を維持できていて、更にはスピードも出せていた中で、最後のファイナル4で愚かなミスを犯してしまったのはいただけない。
少し落ち着きを取り戻す必要がある。貴重なポイントを失ってしまったが、それでも表彰台は獲得できた。
今日は横風が大きな問題だった。機体があらゆる方向へ飛ばされてしまう可能性があり、ゲート通過時に高い集中力が要求された。ファイナル4は風の勢いが増していたので、更にトリッキーだった。
4位:マティアス・ドルダラー選手
今日は好調で、フライトも良かった。ペナルティがなければ素晴らしいタイムになっていたはずだ。
狙っていたラインを飛んでいたが、風に流されてしまったのだろう。映像で再確認する必要がある。なぜあそこで判断ミスをしてしまったのか分析したい。
しかし、違いはわずか数インチ、数ミリだったので、そこを確認するだけだ。今はもう次のブダペストに目を向けている。最高の結果を出したい。
5位:マイケル・グーリアン選手
正直に言えば、結果には満足していない。チームで、負ける時はこういう形で負けるだろうと話していたが、その通りになった。
ラウンド・オブ・8ではレースウィークを通じてベストタイムが出せた。これはファイナル4でトップに立てていたタイムだった。しかし、マルティン・ソンカのようなスピードのあるパイロットとの対戦では、10分の1秒が勝敗を決めてしまう。
とはいえ、レースウィークを通じて調子を上げることができた。フライトごとにタイムを延ばしていた。プレッシャーがある中でも好タイムを出せた。
チームと自分のパフォーマンスには満足している。あとは多少の運が必要になるのだが、今日はそれが足りなかった。しかし、順調に成長できているので、あとは一歩ずつ重ねていくだけだ。
6位:マット・ホール選手
自分のフライトには満足しているし、ヨシが優勝したことも嬉しく思っているが、正直に言わせてもらえれば、どこがミスだったのか分からない。ペナルティだとも思っていない。
ジャッジに対して抗議できるのであれば、そうしている。新しい機体には慣れてきている。今日のフライトには満足しているし、結果も出せたはずだ。
単純にどこで間違ったのか分からない。今シーズンは自分たちの望んでいた結果が出せていない。機体もまだまだ調整する必要がある。まだ正しいセッティングを見出そうとしている最中だが、ブダペストを楽しみにしている。
7位:ピート・マクロード選手
ラウンド・オブ・8で風がやや強くなったが、風は問題ではなかったと思う。レーストラックに引っかかってしまった。
レースウィークを通じてバーチカルターンで数多くのオーバーGが記録されていたが、残念ながら今日は自分が記録してしまった。
機体は徐々にパフォーマンスが上がってきているし、安定したフライトができるようになってきている。今日のオーバーGのことを忘れて次に目を向けていきたい。
勝負に勝ちたければギリギリを攻める必要がある。ゲートを通過する際にスレスレのラインを飛ばなければ勝てない。とはいえ、今日のレースからは多くの好材料を得ることができた。
8位:カービー・チャンブリス選手
ラウンド・オブ・8の方が内容は良かったが、ペトル(コプシュタイン)が少しプレッシャーをかけてきた。勝てる自信はあったが、勝つためには機体をプッシュする必要がある。
スピードを出す時は、守りの姿勢は取れない。また、運にも左右された。突風が吹いていたのだろう。千葉では誰もがオーバーGを記録していた。オーバーGはそうなるまで自分では分からないのが厄介だ。
9位:ミカエル・ブラジョー選手
今週は素晴らしかった。機体は最高の状態で、順調に機能している。機体にいくつかの変更を加えたが、どれも問題ない。土曜日は特に素晴らしかった。
フリープラクティスと予選でグッドフライトができた。今日はマルティン・ソンカと対戦しなければならなかったが、現在総合首位に立っている彼と戦えたのは光栄だった。
簡単にはいかないとは思うが、前に進める自信は得ている。千葉では2ポイントを獲得できたので、今後もレースごとにポイントを重ねていきたい。それを目指していけば、いずれはファイナル4へ進出できるだろう。
10位:フアン・ベラルデ選手
今日は苛立ちが募る1日だった。土曜日のフライトを分析してラインを変更したが、上手くいかなかった。
自分のフライトには満足しているが、タイムには驚かされた。ゲート4で膨れてしまい、タイムを失ってしまったのが痛かった。
ゲート3もセーフティラインが近いので、自分のラインを修正した。フリープラクティスでDQを記録していたので、そうならないように意識したことも響いた。
11位:フランソワ・ルボット選手
ラウンド・オブ・14は全てが順調だった。ピート・マクロードとの対戦は簡単ではないが、自分のフライトには満足している。
失うものはなかったので、楽しんでフライトした。旧式のEdge 540 V2でのフライトは今日が最後だった。3年間乗り続けてきたこの機体の挙動については全て把握しているので、今日の結果には満足している。
この機体はGフォースがかかったあとにスピードが落ちてしまう。次のブダペストではゼロからのスタートになる。
これからしばらくは新機体のセットアップに集中することになるが、かなりの時間が必要になるので、ブダペストまでに理想のセットアップに仕上げることができるかどうかは分からない。新機体はエナジーを長く維持できるはずだが、レーストラックの上で確認する必要がある。
12位:ピーター・ポドランセック選手
ゲート7のインコレクトレベルは、自分では気付かなかった。スピードが出ていたことは知っていた。
13人のベストパイロットを相手にするレースでは、2秒のペナルティを受けてしまえばノーチャンスだ。レーストラックはそこまでチャレンジングではなかったが、常に変わる風向きが難しかった。ゲート5・6・7が特に厄介だったが、このセクション以外は問題なかった。
13位:ニコラス・イワノフ選手
ゲート7でミスをしてしまった。ゲート直前で高度が低すぎたので立て直そうとしたのだが、ペナルティを受けてしまった。
千葉のレースウィークは最初から最後まで上手くいかなかった。レーストラックはややバンピーだった。好調なら別に気にならないのだが、今週はコックピット内で好感触を得られなかった。
14位:クリスチャン・ボルトン選手
今日は複雑な気分だ。クリーンなフライトができたことには満足しているし、それがチームの目標だった。マティアス(ドルダラー)に勝つためにはそれしか方法がない。
しかし、自分のタイムを確認して、何かがおかしいことに気が付いた。データを振り返ると、バーチカルターンまではマティアスよりも速かった。しかし、そのあとでスピードを失ってしまい、そのままリカバリーできなかった。
機体はまだまだ調整できる余地がある。最もスピードが出ていない機体のひとつだったが、正しいフライトをしなければ、世界最速の機体に乗っていてもタイムは出せない。機体もパイロットもハードワークを重ねる必要がある。