市場調査・シンクタンクの株式会社・矢野経済研究所(本社:東京都中野区本町、代表取締役社長:水越 孝、以下、矢野経済研究所)では、国内の次世代モビリティ市場に関わる調査を実施。その結果を発表した。
それによると、2016年の次世代モビリティ(電動トライク、電動ミニカー、2人乗り小型 EV)の国内販売台数を1,100台と推計(超小型モビリティ認定制度の認定車両を含まない)、そのほとんどを電動ミニカーが占める(超小型モビリティ認定制度の認定車両を含まない)としている。
また日本で現在、市販されているのは電動トライクと電動ミニカーのみであり、現状の販売台数は限定的と見ている。
また電動トライク、電動ミニカーともに参入メーカーが限られており、次世代モビリティ市場の拡大には 2人乗り小型 EVの市販化に繋がる車両規格の創設が重要になると考えていると云う。
さらに発表内容を具体的に見てみると、2020年の2人乗り小型EV等の規格化(市販化)を前提にした場合、 2020年に 5,300台、2025年に8,000台まで国内市場は拡大すると予測。
この場合、2020年の次世代モビリティ(電動トライク、電動ミニカー、2人乗り小型 EV)国内販売台数は5,300台、2025年には8,000台まで拡大すると予測する。
なお2人乗り小型EVは、市販化の歴史が長い欧州の類似車両(Lクラス)の市場でも新車販売台数の0.3〜0.4%に留まっており今後、急激に市場が拡大する可能性は低いと見る。
一方、新たな需要開拓によって市場が拡大する可能性は十分にあるが、2人乗り小型 EVが市販化後に大幅に販売台数を伸ばすとは考えにくく、徐々に市場拡大が進むものと推測している。
調査結果全体の概要は以下の通り
1,市場背景
国土交通省では、HEV(ハイブリッド自動車)や、EV(電気自動車)と比較してもエネルギー効率が高く、自動車の利用実態に合った規格として1〜2人乗りの超小型モビリティの普及に向けた取組みを進めている。
同省では、2010年度から超小型モビリティ活用に関する取組みを開始し、2012年 6月には実証実験を通じて得られた知見を「超小型モビリティの導入に向けたガイドライン」として公表している。
翌2013年 1月には「超小型モビリティ認定制度」が創設され、認定対象車両は条件付きではあるが、緩和された基準で「軽自動車」として公道走行が可能となった。
これにより既存の規格で、公道走行が可能な電動トライク、電動ミニカー以外にも、2人乗り小型 EV等が公道走行できるようになった。
またこの2013年度からは、次世代モビリティの導入を後押しする国土交通省「超小型モビリティ導入促進事業」が開始され、事業期間である 2015年度までの 3年間で 41事例が採択された。
これにより約1,000台の補助対象車両に支援が行われる等、大きな盛り上がりを見せた。
一方で、超小型モビリティ認定制度では、走行可能エリアが限定されること等から、認定車両の一般販売はできない。
そのため、2人乗り小型EVは数少ない実証事業用車両での利用に留まっており、参入メーカーでは開発投資が負担となっている。
また次世代モビリティに該当する海外の市販車両や、現状の電動トライクや電動ミニカーを参照する限り、市場規模が小さく量産効果が出せないこと。
高価なバッテリー費用が発生すること等から、価格は軽自動車と同等となる一方で、窓やドアがない等、商品性では軽自動車に見劣りするため、市販化後も市場拡大が見込みにくいという課題もある。
2.市場概況
本調査における次世代モビリティとは、日本国内における電動トライク(側車付軽二輪)、電動ミニカー(原動機付四輪)および、2人乗り小型 EV(超小型モビリティ認定制度の対象車両のうちの電動車両)を対象とする。
日本で、現在市販されているのは、電動トライクと電動ミニカーのみであり、現状の販売台数は限定的とみられることから、2016年の次世代モビリティ(電動トライク、電動ミニカー、2人乗り小型 EV)国内販売台数は 1,100 台と推計した(超小型モビリティ認定制度の認定車両を含まない)。また、そのほとんどを電動ミニカーが占める。
電動トライク、電動ミニカー共に参入メーカーが限られており、次世代モビリティ市場の拡大には 2人乗り小型 EV市販化が前提である。
しかし現在、同車両には法令上の車両規格がなく、認定車両以外は公道での走行が認められていない。従ってまずは車両規格の創設が重要になると考える。
3.市場予測
上記を踏まえた国内市場における今後の普及については、超小型モビリティの規格創設(2人乗り小型 EV等の市販化)に依存すると考えられる。
国土交通省と、次世代モビリティメーカーの間では、規格化の予定時期に認識の差異はある。また日本自動車工業会では、東京オリンピック・パラリンピックまでの規格化を目標に掲げている。
この調査では 2020年の 2人乗り小型 EV等の規格化を前提とした場合、規格化初年度の 2020年の次世代モビリティ(電動トライク、電動ミニカー、2人乗り小型 EV)の国内販売台数は 5,300台、2025年には 8,000台まで拡大すると予測する。
なおその普及速度は、2人乗り小型 EVの車両価格や、保険、税制、導入補助金制度、インフラ整備等によっても大きく変わると考えられるが、2人乗り小型 EVは、市販化の歴史の長い欧州の類似車両(Lクラス)の市場でも新車販売台数の 0.3〜0.4%に留まっていることから、急激に市場が拡大する可能性は低い。
そのため、日本国内でも同程度の比率を潜在需要と仮定すると、年間18,000台程度が目安になると試算している。
もちろん新たな需要開拓によって、市場が拡大する可能性は十分にあるが、2人乗り小型 EVが市販化後に大幅に販売台数を伸ばすとは考えにくく、徐々に市場拡大が進むものと推測しているようだ。
リリースした関連資料の体裁
資料名:「次世代モビリティ市場の最新動向と将来展望 2017」
発刊日:2017年 3月 29日
体 裁:A4判 174頁
定 価:150,000円(税別)
株式会社矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2
代表取締役社長:水越孝
設 立:1958年3月
年間レポート発刊:約250タイトル
URL:http://www.yano.co.jp/