マクラーレン(本社:英国サリー州、エグゼクティブ・チェアマン:ロン・デニス)は、ごく近い未来のモータースポーツシーンを彷彿させるフォーミュラ・カーの習作「MP4-X」を、同社Webサイト上のコンテンツのひとつとして公開し、今日のマクラーレンが考えるモーターレーシングの未来像を示した。
このコンセプトを打ち出したマクラーレン社、テクノロジー・グループディレクターのJohn Allert氏は、「当社に於いて、未来のモーターレーシングの世界を先取りしていくことは、我々の日々の仕事の中に於いて、ごく当たり前の延長線上にあります。
今回、『マクラーレン MP4-X』と銘打ったコンセプトレースカーの提案で、私たちはモーターレーシング技術の未来について、その無限の可能性を示したかった。
フォーミュラ・ワンは現段階に於いても、いわば究極のモータースポーツであり、ゆえにその未来の姿はファンに大きな夢を描かせるに値する最新鋭テクノロジーの塊と云えます。また今後も高度なパフォーマンスを演じていく格好のショーケースとなるでしょう」と述べた。
そんなMP4-Xは、現段階では単なるプロモーションのためのコンセプトマシンに過ぎない。
とは云え、同マシンにはマクラーレンが将来、ほどなく実用レベルに達すると考える近未来のテクノロジーが、ふんだんに投入されている。
例えばそのパワーユニットは、代替エネルギー源を活用し、現在のフォーミュラ・ワン・マシンの延長線上にあたるエネルギー回生システムも搭載される。
またボディ表面には、太陽光をダイレクトに蓄電エネルギーへと変えていく蓄電システムを備えている。
加えてその電力を蓄えていくための蓄電ユニットは、万一の際、ドライバー保護のための緩衝機能としても活躍する。
併せて同じ見地から、思わぬアクシデントに対して、ドライバーをプロテクトするキャノピーも装着された。
さらにアンダーボディは、かつて禁止に追い込まれたベンチュリー効果を生み出すグラウンドエフェクト機能も導入されている。
最後に、それよりもさらに最も進んだ装備は、シャシー表面に加えられたデジタルボードの存在だ。
疾走するそのマシンを目にする各々の観客は、今日ウェブサイトを閲覧する時のように、その人だけをターゲットに属性割り当てされた選択広告が表示される。
つまり未成年者向けや、スポーツ好きの属性、ビジネスマンなど見る人の立場によって、最も興味を惹く広告がシステマチックに表示されるようになるという。