ボッシュ、東京モーターショー2015で48Vシステムと自動運転技術を訴求


ロバート・ボッシュGmbH(本社:シュトゥットガルト・ゲーリンゲン、代表取締役社長:Dr.rer.nat.Volkmar Denner <フォルクマル・デナー>、以下、ボッシュ)は、第44回・東京モーターショーに於いて、安全性と効率性の向上、そしてよりリラックスした走行に貢献する革新技術を紹介している。

bosch-to-appeal-the-48v-system-and-automatic-operation-technology-at-the-tokyo-motor-show-201520151105-1
ボッシュ取締役会メンバーのマルクス・ハイン氏

その会場で、ボッシュ取締役会メンバーのマルクス・ハイン氏は、「未来のモビリティのカギを握る3つの領域、すなわち電動化、自動化、ネットワーク化のすべてにおいて、ボッシュの技術開発は順調に進展しています。

日本の自動車メーカー向けに、私たちが特に可能性があると見ているのは、燃料電池技術と、私たちの48 Vブースト回生システムです。

また、近年はボッシュのモビリティ ソリューションズ事業に占める日本車メーカーのウェイトが増しています。自動運転技術のさらなる開発努力において、日本がボッシュにとって重要な舞台になることは間違いないでしょう」と述べた。

モビリティ ソリューションズは成長軌道を堅持

世界的にみると、ボッシュ・グループのモビリティ ソリューションズ セクターは、自動車市場全体の平均を上回るペースで成長をしている。

現時点の予測では、2015年の同セクターの売上成長率は、約10%、為替調整後で5%前後に達する見込みだ。

成長著しい地域は、アジア太平洋地域が中核であり、日本の自動車メーカーとの強い結び付きが同社の成長に大きく寄与しているのだという。

先のマルクス・ハイン氏は、「私たちのグローバルな事業展開を背景に、日本の自動車メーカーへの売上は2014年に約13%増加しました。

日本の自動車メーカーは、昨今、次第に小型で高効率のクルマに軸足を移しつつあります。そしてボッシュには、そんな日本車メーカーが必要とする技術があります」と語った。

電動化で乗用車、スクーター、モーターサイクルの効率をアップ

eモビリティ分野に於いてボッシュは、日本でもマイルドハイブリッドからプラグインハイブリッド、電気自動車にいたるまで、また二輪車においても電動二輪車やeスクーターにいたるまで、各種のコンポーネントとシステムを幅広く提供している。

特に日本は、小型車の人気がとりわけ高いマーケットで、ボッシュには、48 Vブースト回生システムをはじめ、こうした小型車のコストパフォーマンスを高めるソリューションが数多くあると云う。

これについてハイン氏は、「400 Vないしそれ以上の高電圧を使用する既存のハイブリッドシステムに比べ、電圧を48Vにすることで、コストを抑えたコンポーネントを使ってシステムを構築し、さらに燃費や快適性の向上、電気ブーストによるダイナミックな加速も実現します。

このエントリーレベルの48 Vハイブリッドは、欧州、北米およびアジアのドライバーの目に魅力的な選択肢として映ると期待されています。

2020年には、世界で約400万台の新車にこのタイプのハイブリッドパワートレインが搭載されるようになると見込んでいます」と述べていた。

バッテリー技術が大きく進展:電気自動車向けの固体バッテリーセルが進化

こうしたパワーユニットの変遷で、特にバッテリー技術に関しては、ボッシュに大きな飛躍の余地があると同社並びにハイン氏は見ているという。

近頃、ボッシュは米国のバッテリー技術会社のSeeo社を傘下に収めた。この会社が取り組んでいるのが、リチウムを陽極とする全固体バッテリーセルだ。

全固体バッテリーセル方式であれば、リチウムイオン電池以上のエネルギー密度を達成できる可能性がある。ボッシュはこうしたeモビリティの大きな進展のために、ノウハウと少なからぬ資金を投入しているのである。

自動運転:ボッシュが日本で公道試験を開始

道路交通のさらなる安全性向上が求められ、高齢化社会に適したモビリティ環境への需要がますます高まる日本は、自動運転の分野でも重要な国際市場へと発展している。

その証左として日本政府は、2020年の東京オリンピックの会期中、東京で自動運転車両による自律走行を実施する計画を明らかにした。

これに合わせるようにボッシュも、2020年にむけて、自動運転を可能にする技術の開発を進めている。そして今、ボッシュは遂に日本の公道で、自動運転車両の試験走行も開始した。

いずれ日本は、ボッシュにとって自動運転の開発を進めて行く上で重要な第三の開発拠点となる。かつて2013年初めから、ボッシュはドイツと米国の公道で、自動運転技術を搭載したテスト車両の試験走行を実施してきた。

しかし日本では道路条件や交通条件が異なるため、現地におけるシステムの適切な調整とカスタマイズが必要になる。

それでもボッシュの事故調査によると、より高度な自動化へと進むことにより、事故発生率が著しく低下すると予想している。例えばドイツ国内だけでも、交通事故を最大で約3分の1以上減少できる見通しが見えてきている。

ネットワーク化がモビリティの自動化と電動化のカギ

そしうたドライビングの自動化と、電動化実現のカギを握るのはネットワーク化である。ネットワーク化された車両では安全性と効率性が向上し、よりリラックスした走行を実現できるようになる。

オンラインネットワーク化が現実のものとなれば、ドライバーはたとえば渋滞や天候悪化の警告を受け取ったり、空いている駐車スペースや充電スポットを把握するだけでなく、遠隔操作によるサービス予約や、料金支払いも可能となるだろう。

また、ボッシュでは、オンラインミュージックサービスやソーシャルネットワークへの車中からの継続的なアクセスや、様々なスマートフォンアプリの利用を容易にするためのソリューション提供を進め、クルマはいわばデジタルメディアハブとなりつつある。

ちなみに、こうしたネットワーク化技術の応用の可能性は、アフターマーケット分野にも存在する。

たとえば、未来の自動車では拡張現実アプリケーションを使って不具合箇所の発見と修理を効率的に行い、それによりコストダウンを実現できる目処が見えて来ているという。

実はボッシュはすでに日本の顧客企業数社と、拡張現実技術ベースのソリューションの開発をめぐり交渉を進めている真っ最中である。