スーパーフォーミュラ、エンジンメーカー&ルーキーテスト実施


ロッテラーが最後の最後で前日以上のタイムを記録

11月25日並びに26日、鈴鹿サーキットで2日間に亘ってスーパーフォーミュラのエンジンメーカーテスト/ルーキードライバーテスト2日目(最終日)が行われた。

このセッションの最終日となった26日、カーナンバー2のアンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TOM’S SF14)が昨日26日のトップタイムを上回る1分37秒695を記録した。

天気は晴れ時々曇り。路面はドライ環境、気温は12℃から14℃。路面温度14℃から18℃という比較的良好なコンディションの中で、前日の午前に走ったデータを基に出走した各車は順調に周回を重ね、昨日トップタイムをマークしていたカーナンバー19のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(LENOVO TEAM IMPUL SF14)。

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彼が1分39秒台に踏み入れた後、カーナンバー1の中嶋一貴選手(PETRONAS TOM’S SF14)が1分38秒708。またルーキーの中でもカーナンバー40のジャズマン・ジャファー選手(DOCOMO DANDELION M40S SF14)が、1分40秒を切り、自身の存在感を強くアピールした。

さらに再開後にデ・オリベイラ選手が1分38秒332にタイムを更新。カーナンバー15のリッチー・スタナウェイ選手(TEAM 無限 SF14)も38秒台と、ルーキートップのポジションにも入れ替わりがあった。

セッション開始1時間半頃の時点で、カーナンバー39の国本雄資選手(P.MU/CERUMO・INGING SF14)と、カーナンバー38の石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING SF14)、カーナンバー20の関口雄飛選手(LENOVO TEAM IMPUL SF14)と、各車も1分39秒台に突入。

同日セッション半ばの段階では、トップタイムをマークしたカーナンバー2のロッテラー選手から、10番手のカーナンバー64の中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING)までの7台が、コンマ3秒の僅差でひしめき合う状況となった。

そして最終的には、カーナンバー2のロッテラー選手と、カーナンバー16の山本尚貴選手(TEAM 無限 SF14)が首位争いを展開。結果、カーナンバー2のロッテラー選手が、自身のタイムを37秒695まで切り詰めてベストタイムを刻んだ。

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同日のセッションを終え、総合3番手のタイムを記録したNo.8 小林可夢偉選手(Team KYGNUS SUNOCO SF14)は、「今日は最後の赤旗(アタックが中断)以外はスムーズに行きました。

テスト中に様々な事例や事象も試して、ヨコハマタイヤも理解できました。結果、今日のタイムはこれまでの鈴鹿の予選のタイムより速いし、ウォームアップも問題なく良いタイヤだと思います。

この短期間で開発した技術も素晴らしいです。ただ、強いて言うなら、もっとタレるタイヤでもいい。それはレースのエンターティメント性という意味ですけど。

来年4月の鈴鹿の開幕戦は天候や条件次第ですが、きっと今日以上のタイムが出ると思いますよ。楽しみにしていてください」と語っていた。

対して同日セッションでトップタイプを記録したカーナンバー2のアンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TOM’S SF14)は、「今日はとても楽しかった。次々とニュータイヤに履き替えてタイムアタックできたから。

今シーズンはタイヤのセット数が制限されていたりして、ちょっとフラストレーションが溜まっていたけど、今日で一気に晴らせた気がします。

ヨコハマタイヤのフィーリングは悪くない。昨日の午後に履いたウェットタイヤは、ちょっとグリップ感が足らずに怖い思いもしたけど、昨日の午前と今日の午後に履いたドライタイヤは好印象を得ました。

来季のシーズン、レースもおもしろくなるんじゃないかと思います。最初のテストをトップタイムで終わることができて嬉しい」と語っていた。

テスト初日にトップタイムを記録したカーナンバー19のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(LENOVO TEAM IMPUL SF14)は、「新しく履いたヨコハマタイヤは、今まで使っていたタイヤに比べてキャラクターが随分違っています。

ピーキーというか、とてもセンシティブなんだ。キャラクターが違っている分、ドライビングスタイルも、それに合わせて変えていく必要があるようです。

もちろん、絶対的なグリップは高くなっているから、速く走ることはできるけど、上手く走らないとスピンしてしまう。だからドライブは簡単ではないけれど、僕はこのキャラクターをとても気に入っています。

特にフロントタイヤがよりレスポンス良くなっている。ただし最初の数ラップでの落ち込みがちょっと大きい、ただそこから先はとても安定していた。

これまで何度かテストしてきたけど、全員が同じタイヤで同時に走るのはこれが初めてだからトップタイムをマークできて気持ち良かった」と語った。

一方、ヨコハマタイヤの開発を担ったヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル株式会社の秋山一郎開発本部長は、「今日は、パドックにウチのタイヤや機材の運搬用トレーラーが勢ぞろいして、すべてのマシンがウチのタイヤを装着して走るのを見て、本当に感激しました。

テストの結果は、ドライタイヤはほぼ想定通りの結果(タイム)でしたが、ウエットに関しては少し課題もあったかなぁ…というのが今日の感想です。

我々がトップフォーミュラ用のタイヤを開発するのは20年ぶりで、しかも、その20年間に鈴鹿サーキットを例に挙げると10秒くらいラップタイムが向上しています。

マシンも、車重が(ドライバー込みで)660kgと軽く、それに対してエンジン出力は550馬力とハイパワーで、何よりもダウンフォースが凄い。

だから開発で、最も重視してきたのは高速耐久性と荷重耐久性です。特に低い入力から正しく作動出来て、高荷重まで耐えられるタイヤを目指してきました。

来季は供給初年度ですし、開発も短期間で行う必要があり、まずはそこをクリアすることに集中して開発してきたのです。

最初のテストは5月の富士だったのですが、そこでコンパウンド配合の目途がついたので、それ以降は、タイヤの内部構造に重点を置いて開発してきました。

最初の試作タイヤは昔、全日本F3000用に使っていたモールド(タイヤの成型用の金型)が、残っていたのでそれを使い、途中から新しく作ったモールドになっています。

また発表会で弊社の社長が、若手エンジニアを鍛える場と言っていましたが、実際、今日も若手エンジニアが1人でも多く、ドライバーや関係者から話しを聞こうと動き回っていました」と語り、エントラントと共により良いタイヤを作り、スーパーフォーミュラのレースをより面白くするスタンスであることを、改めて強調した。