量産電気トラック「eCanter」が、北米・日本に続き欧州へ。納入先はDHL社・DBシェンカー社・レーノス社・ダクサ社
三菱ふそうトラック・バス株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長・CEO:マーク・リストセーヤ、以下 MFTBC)は、12月14日のベルリン市で、電気小型トラック「eCanter」を欧州市場の顧客企業へ納車した。
納入先は、DHL社、DBシェンカー社、レーノス社とダクサ社。同車「eCanter」は特に都市内配送業で、地球に優しい輸送ビジネスをサポートしていくことになる。
この試みについてマーク・リストセーヤ:MFTBC代表取締役社長・CEOは、「私たちは欧州の最初のお客様へ世界初の電気トラックを納車します。
9万km以上にわたる走行試験は、お客様へ提供する“eCanter”が信頼性と経済性に優れていることを保障します。
“eCanter”はお客様に対し、静かな配送とCO2排出量の削減のみならず、運用コストの削減も提供します。これが都市内配送システムの未来です」とコメントした。
ひとくち小型電気トラックの納入と言っても、物流業界内での企業が担う業務は様々であり、当然車両の仕様も異なる。
従って電気小型トラック「eCanter」を従来のディーゼル車で行っていた業務と同じ条件で使用できるようカスタマイズが実施されている。
三菱ふそうでは、「eCanterを選択頂く理由は、騒音問題、排気ガス削減、車両の維持管理や経済的な貢献を含め、多々あります。
我々はeCanterのドライバーの方に、車両の操作方法のトレーニングを提供します。
なおベルリンのお客様へはダイムラーグループのリース会社であるチャーターウェイ社を通じて、長期間の車両リースにより車両を提供していきます。都合今回計14台のeCanterをお客様に納車することになりました」と結んでいる。
ちなみに電気小型トラック「eCanter」は、今日の都市が抱える騒音や排出ガスの課題を解決する答えとして、三菱ふそうが開発した。
欧州での実用供試を通して、環境に優しく経済性に優れていることが証明されており、今回欧州で発表した車両は、車両総重量7.5トンクラス、1.5時間(直流急速充電)/11時間(交流200V)の充電で100km以上の航続距離を備えている。
また電気駆動システムには、モーター(最大出力129kW <連続定格115kWh>、最大トルク420Nm <連続定格285Nm>)と、360V・82.8kWh(13.8kWh x 6個)の高電圧リチウムイオンバッテリーを搭載。従来のディーゼル車と比較して、走行1万キロメートルあたり、最大1,000ユーロのコスト削減を可能にした。
搭載バッテリーは、ダイムラーの子会社であるドイッチェ・アキュモーティヴ社(本社、ドイツ)が供給。
蓄電システムに特化するメルセデス・ベンツ・エナジー社(本社、ドイツ)がバッテリーの二次利用のスキームを提供する予定。
また、ダイムラーは世界最大の充電ステーションとインフラ整備のプロバイダーであるChargePoint社(本社、アメリカ)と新型の急速充電バッテリーを開発するStoreDot社(本社、イスラエル)にも出資するなど電気トラックの普及を見据えている。
これまでの車両開発の経緯は以下の通り
- 2010年9月 「キャンターE-CELL」(プロトタイプ)IAA 2010に初出展。
- 2011年12月 「キャンターE-CELL」(プロトタイプ) 東京モーターショー2011年に出展。
- 2013年6月 「キャンターE-CELL」(プロトタイプ) 第二世代を発表。「キャンターE-CELL」(プロトタイプ) NEXCO中日本に実用共試。
- 2014年7月 「キャンターE-CELL」(プロトタイプ) ポルトガルにて実用共試。
- 2016年4月 「キャンターE-CELL」(プロトタイプ) ドイツにて実用共試。
- 2016年9月 「eCanter」(プロトタイプ) IAA 2016にて世界初公開。
- 2017年5月 川崎工場にトラック用急速充電設備「EVパワーチャージャー」開設。
- 2017年7月 川崎工場にて「eCanter」(量産型)生産開始。トラマガル工場(ポルトガル)にて「eCanter」(量産型)生産開始。
- 2017年9月 ニューヨーク市にて「eCanter」世界に向けて発表。
- 2017年10月 「eCanter」セブン-イレブン・ジャパン様、ヤマト運輸様への車両引渡し式。
- 「eCanter」東京モーターショー2017へ出展。