神戸製鋼所、応力耐性に優れた高強度7000系アルミ合金「7K55」を開発


株式会社神戸製鋼所(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:川崎博也、以下、コベルコ)は、耐応力腐食割れ性(耐SCC性※1)と耐力400N/mm2級の高強度を両立させた7000系アルミ合金「7K55」を開発した。

7K55は、既に日系自動車メーカーでバンパービーム※2用押出材として採用が決まっており、今後、更なる採用拡大を目指していく。

自動車分野では、近年の環境規制の強化により車体の軽量化ニーズが高まっており、軽量化の有効な手段として、バンパービーム、骨格材などでアルミ押出材の需要が拡大している。

バンパービームは、衝突時にエネルギーを吸収し、搭乗者を衝撃から守る役割を担っており、高い強度が求められる部位。

亜鉛やマグネシウムを添加することで強度を高めた7000系アルミ合金は、現在アルミ製バンパービームで主流となっている6000系アルミ合金と比較して、より薄肉での設計を可能にする。例えば今回開発した7K55をバンパーに適用すると、部品重量が6000系アルミ合金製比で約30%軽量化される。

一方、7000系アルミ合金は、一般的に高強度になるほど耐SCC性が劣化する特性があり、高強度化と耐SCC性の両立が課題とされていた。

同社は、自動二輪、鉄道車両分野への取組みを通じ、約半世紀にわたり7000系合金の開発力、生産技術を培ってきたことを基礎に化学成分と熱処理条件を最適化し、適切な組織制御を行うことで、従来品に対して耐SCC性を維持しつつ、約30%高強度化した耐力400N/mm2級合金7K55の開発に成功した。

※1 耐SCC性:
応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking:SCC)に対する耐性。応力腐食割れは、引張応力と腐食雰囲気の存在下で発生する結晶粒界の脆性破壊のこと。応力腐食割れが発生すると、吸収可能なエネルギーが減少するため、衝突安全性の観点から問題となる。

※2 バンパービーム:
衝突時に車体のダメージを低減するために、バンパーの内側に装着する補強材。