ホンダ、人工知能の情報セキュリティー領域でボストン大学のラフィク・ハリリ研究所と共同研究を開始


本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘、以下、ホンダ)の連結子会社である、株式会社ホンダ・リサーチ・インスティチュート(以下、HRI)は人工知能(以下、AI)の情報セキュリティー領域において、米国のBoston University(以下、ボストン大学)と共同研究を開始することに合意した。

ホンダは創業以来、全ての人に「生活の可能性が拡がる喜び」を提供するという想いのもと、二輪車、四輪車、パワープロダクツなどの製品を通じて、世界中の一人ひとりの「移動」と「暮らし」を進化させることを目指してきた。

こうした取り組みを進める中で、AIをはじめとするデジタルテクノロジーの進化に伴い、従来以上に幅広いフィールドでの価値創造の可能性が拡がってきている。

このような環境の変化を受け、Hondaは、これまでの「モノづくり」に加え、今までになかった新しい価値や体験を提供する「コトづくり」にチャレンジし、人々の生活をより豊かにしていきたいと述べている。

それを実現するための技術の一つにAIがあり、同社では「人の感情を理解し共感できること」「人に寄り添い、共に成長していくこと」「主役である人の可能性を拡大していくこと」を可能とする”人と協調するAI”の開発を目指す。

ただAIが人と協調するためには、利用者の個人情報を収集、分析することが必要になる。またそれらの情報を守るためには、信頼性の高い強固なセキュリティー技術が必須となる。

そこでセキュリティー領域の研究を加速させるため、Hondaはボストン大学のコンピューティング&計算科学・工学ラフィク・ハリリ研究所を共同研究の戦略的パートナーの一つに選出した。

加えてボストン大学コンピューターサイエンス学科のエイザー・ベスタブロス特別教授や、HRIグローバル統括のバーンハード・センドホフ博士が中心となり、共同研究におけるプロジェクトの監督推進を行っていくとしている。

まず最初のプロジェクトとしては、セキュア・マルチパーティ―・コンピューテイション(データを秘匿したまま計算処理を行うための手法で暗号化技術のひとつ)を用いたデータプライバシーコントロール技術の研究を行う。

現在も、利用者の個人情報をもとにしたレコメンデーション(推奨)機能などの個人向けサービスが、現在の一般的な生活で活用されている。

しかし、これらのサービスは利用者の知らないところで個人情報が利用されていることがある。そこで、2017年5月から開始するこのプロジェクトで、利用者がどの個人情報を共有し、どの情報を共有しないかをコントロールできるデータセキュリティー技術の実現を目指す。

同社では、「将来、そのAIを搭載したモビリティやロボットが、信頼できる家族のようになり、生活の一部として人に役立つ社会を描いています。

これからも全ての人に「生活の可能性が拡がる喜び」を提供し続けるため、多くのイノベーション創出に尽力していきます」と述べている。

一方、ボストン大学 総長 最高教務責任者 ジーン・モリソン博士は、「ボストン大学は、HRIと共にこの重要で意義深い研究に取り組めることを大変喜ばしく思います。

プライバシー領域の研究は、コンピューターおよびデータサイエンスや、社会科学、人文学、医療分野などの多岐にわたる領域を結び付けるものであり、共同研究の大変良い例になることでしょう。

また、この共同研究は、将来の産学連携のモデルとなり、両社のみならず社会貢献にもつながる新たな機会を切り開くと考えます」と語っている。

併せてHRI グローバル統括 バーンハード・センドホフ博士は、「世界でトップレベルを誇るボストン大学のデータセキュリティーおよびプライバシーに関する研究と、Hondaが行ってきた人と協調するAI研究のシナジーが、信頼性の高いAIシステムの開発につながることを期待しています」とコメントしている。

【ボストン大学 概要】
設立:1839年
所在地:米国 マサチューセッツ
総長:ジーン モリソン博士

【株式会社 ホンダ・リサーチ・インスティチュート 概要】
設立:2003年
所在地:日本 埼玉県 和光市
ドイツ ヘッセン州 オッフェンバッハ
米国 カリフォルニア州 マウンテンビュー
出資比率:株式会社本田技術研究所 100%