シトロエン陣営、WRCポルトガルで復活したファフェを果敢に攻略。ブリーンが5位でフィニッシュ


2017 年の世界ラリー選手権(WRC)第 6 戦・ラリーポルトガル。今大会の主催者チェアマン、マリオ・マルチネス・ダシウバ氏は、かつてその豪快なジャンプシーンで、ラリーファンから親しまれていた2001年までの名物ステージ「ファフェ」を復活させた。

今年は、そのファフェがWRCの本コースの最終ステージに組み込まれ、シトロエンチームも最終日。このファフェを攻略する最終ステージを走行した。

結果、クレイグ・ブリーン/スコット・マーティン組が総合 5 位と、シトロエン・トタル・アブダビ WRTでの最上位で同6戦をフィニッシュした。またシトロエン・トタル・アブダビWRTからエントリーした 4 台すべてのシトロエンC3 WRCが完走を果たしている。

2 日間の長いレグを終えた後、迎えた最終日は設定距離が短く、途中にサービスを挟むことなく4 本の短いステージで構成されていた。

16年振りに復活した名門ステージであるファフェを2 回走行し、その2 回目はボーナスポイントがつく“パワーステージ”として指定されている。

このセッションで、シトロエン・トタル・アブダビ WRT の各クルーは、それぞれに目標を掲げてこの最終日に臨んだ。

具体的にはブリーンはトップ 5 圏内を維持すること。ステファン・ルフェーブル/ギャビン・モロー組、ハリ・アル‐カシミ/クリス・パターソン組、クリス・ミーク/ポール・ナゲル組は、経験を重䛽データを収集することに重点を置いた。

トップ5位圏内を目指すブリーンが、今回のポルトガルで苦戦したのは、経験の少なさという点だった。

一方ミークは最終日の午前中、シトロエン勢で最速のペースを披露した。特に、Montim(SS18)では、SS2 番手のタイムをマークし、その速さを証明した。

ルフェーブルと同じく走行順で苦しめられたアル‐カシミには、パワーステージで波乱があった。最も豪快なジャンプを見せたアル‐カシミのシトロエン C3 WRC は、溝の外にはじき出されながらも、フィニッシュラインを超えた。

ブリーンはこの最終ステージで、モンテカルロ、スウェーデン、ツール・ド・コルスと同じく5 位でフィニッシュを飾っている。

またクルーは、ドライバーズ/コ・ドライバーズ選手権で、それぞれ 7 位につけている。次戦のWRCはラリーイタリアである。舞台は、地中海に浮かぶサルディニア島。6月8‐11日開催となっている。

チームコメント
■イブ・マトン(シトロエン・レーシング チーム代表)
「このラリーにほぼ初めて参戦したクレイグとスコットが 5 位に入ったことで、まずまずのリザルトが得られました。

初日は、チームの2クルーが上位争いを展開しており、私たちはパフォーマンスのレベルも喜ぶべきものだと思います。我々は次戦に向けて集中していかなければなりません」

■クレイグ・ブリーン
「今季は 5 位が定位置になりそうです。今週末もいい内容でした。金曜日は上位レベルの速さが出せていましたし、SS7 で石にヒットしてダンパーを破損しなければ、総合順位でもトップにつけていました。

残りの2 日間は、上位陣と競り合うペースを出すのに少し苦戦しました。色々な要素がありますが、一番大きなことは、このステージでの知識が少なくスタート順も厳しかった点だと思います。次戦は、さらによくなるよう努力を続けていきます」

■ステファン・ルフェーブル
「今回はラリーで目指していたリザルトには届きませんでした。このラリーに向けては、特に念入りに準備を進めてきましたが、金曜日の午前に転倒を喫してしまいました。

その後は、できる限り多くのステージを走り切って成長を重ねる努力をしました。私たちは走行順で、本領を発揮することは難しかったと思います」

■クリス・ミーク
「最終日は、上位陣と近いリズムを取り戻してラリーを終えることができました。初日以降は、自分たちのパフォーマンスレベルがあまりよくなかったように思うので、その理由を解明していかなくてはなりません。この後も努力を続けて、自分に関しては小さなミスをなくしていかなくてはなりません」

■ハリ・アル‐カシミ
「ファフェの2 回目の走行では、ジャンプでかなり怖い思いをしました。1 回目の走行よりも速度を上げていきたいと思ったのですが、明らかに高すぎました……。

いずれにしても、シトロエン C3 WRC での初ラリーをフィニッシュできたことを、うれしく思います。ポテンシャルを引き出すためには、もっと走行距離をこなす必要があります」

世界ラリー選手権(WRC) 第 6 戦ラリーポルトガル 最終結果
– 1. セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア /フォード・フィエスタ WRC_3:42:55.7
– 2. ティエリー・ヌービル/ニコラ・ジルスール/ ヒュンダイ i20 クーペ WRC _+15.6
– 3. ダニ・ソルド/マルク・マルティ /ヒュンダイ i20 クーペ WRC _+1:01.7
– 4. オット・タナク/マルティン・ヤルベオヤ /フォード・フィエスタ WRC _+1:30.2
– 5. クレイグ・ブリーン/スコット・マーティン/ シトロエン C3 WRC _+1:57.4
– 6. エルフィン・エバンス/ダニエル・バリット/ フォード・フィエスタ WRC _+3:10.6
– 7. ユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム /トヨタ・ヤリス WRC _+3:48.9
– 8. マッズ・オストベルグ/オーラ・フローネ/ フォード・フィエスタ WRC _+5:29.7

– 13. ステファン・ルフェーブル/ギャビン・モロー /シトロエン C3 WRC _+12:02.3
– 17. ハリ・アル‐カシミ/クリス・パターソン/ シトロエン C3 WRC _+21:11.2
– 18. クリス・ミーク/ポール・ナゲル/ シトロエン C3 WRC _+22:19.1

WRC マニュファクチャラーズ選手権 ポイントスタンディングス
1. M スポーツ・ワールドラリーチーム 199
2. ヒュンダイ・モータースポーツ 173
3. トヨタ・ガズーレーシング WRT 113
4. シトロエン・トタル・アブダビ WRT 85