日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)は今後行われる予定のEU離脱の賛否を問うイギリスの国民投票に関して、コメントを発表した。
上記声明発表に至った経緯は、欧州首脳会議で英国政府が求めていた欧州連合(EU)の改革案を受けて、キャメロン英首相が2月20日、英国のEU加盟の是非を問う国民投票を6月23日に行う方針を表明したことによる。
その結果が残留であれば、英国の通貨や資産は買い戻されることで英国内の投資が活性化。短期的には景気が上押しが予想される。
一方で離脱に決まれば、英国国債や銀行の格付けが引き下げられて、資金調達コストが上昇する可能性がある。金融市場の動揺が全世界的に広がる可能性もある。
併せて日産を筆頭に、現地に生産工場を持つ日本の自動車メーカーは、自動車等をEU加盟国へ輸出する際、関税の特恵を得られなくなる可能性が大きなリスクとして挙げられている。
ちなみに本記事の上稿現時点では「離脱すべき」が46%、「残留すべき」が54%になっている。
上記を受けて日産は、グローバルな自動車メーカーとして、イギリスにおいて生産、開発やデザインの分野において8,000名の従業員を雇用していること。
販売店やサプライヤーなどの関連産業においても32,000名の雇用に貢献していること。
本件は最終的にイギリス国民が決定する案件として尊重しているが、日産としては、イギリスがEUに残ることが、雇用、貿易やコストの観点から理にかなっていると考えていること。
日産は、イギリスの国民投票に向けた政治的なキャンペーンに積極的に支援することは行わないことなど。
なおカルロス ゴーン氏の声明の概要は以下の通りとなっている。
「日産は欧州で広く事業を展開しているグローバル企業です。イギリスにおきましては、30年にわたり生産や開発を行っており、今後も同国で車両を生産・開発を行います。昨年は475,000台以上の生産を行い、その内8割を輸出しました。
事業を営む上ではやはり、イギリスがEUに残ることが、雇用、貿易やコストの観点からふさわしいと考えております。当社としましては、未知の集積よりは安定の方が事業としては有利な環境となります。
無論、本件は最終的にイギリス国民が決定することです。
現在の投資決定案件につきましてはコミットしておりますが、どちらの結果にせよ、それがもたらす動向に関して推測することは控えます。
最後に、今後もイギリスにおける日産の工場や開発センターが、他のグローバル企業と比較しても可能な限り競争力に優れていて欲しい、ということは言うまでもありません。これからも将来の投資機会については、従来通り、ケース・バイ・ケースで判断を致します」と述べた。