セバスチャン オジェが「ラリー・スウェーデン」3 勝目、自身通算 34 勝目を記録
2016年世界ラリー選手権(WRC)第2戦「ラリー・スウェーデン」が、2月11日(木)~14日(日)の4日間、ノルウェー国境に近いヴァルムランド地方の「カールスタッド」を中心エリアに開催され、フォルクスワーゲン・モータースポーツのセバスチャン オジェ選手(フランス)がポロR WRCを首位に導いた。
また昨シーズンにシトロエンからのオファーを断って、ヒュンダイ・モータースポーツに留まり、今年もヒュンダイi20 WRCを駆るヘイデン・パッドン選手(ニュージーランド)は、自身最高位タイの総合2位を獲得している。
セバスチャン オジェ選手にとって、チームメイトにあたるアンドレアス ミケルセン選手(ノルウェー)は、表彰台に後1歩に迫る 4 位。
同じくポロに乗るヤリ-マティラトバラ選手(フィンランド)は、サスペンション損傷でリタイアした後、競技二日目から再スタートし完走した。
フォルクスワーゲンは、2013年から続くこのラリーの連勝記録を 4 に伸ばした。ポロ R WRC は、これで全41戦中36勝。その起点となったのは、2013 年スウェーデンのデビューウィンに遡る。
雪が無い異例の環境下で、グラベルが露出したコースを走るという前代未聞のコースコンディション
ちなみに「ラリー・スウェーデン」は、WRC唯一のスノーイベントである。本来スウェーデンラウンドは、伝統ある北欧の自動車メーカーであるボルボやサーブの本拠地として特色あるレースを展開してきた。
モータースポーツの歴史自体も長く、同ラリーの初回開催は1950年。当時は、ミッドナイト・サン・ラリーとして夏期の白夜の時期に行われていたが1965年から冬季開催に変更された。
極寒地に於ける真冬開催ということもあり、走行条件は特殊。装着タイヤは、トラクション確保のための幅狭スノータイヤに大会規格のタングステン製スパイクを最大約400本打ち込んだものを使用する。
併せて、この時期のラリーコースは凍土の上の圧雪、除雪でできたスノーバンクが設けられ、これに車体をこすりつけてコースに戻すこの地独特の走行テクニックが見られるのも見どころのひとつだ。
しかし今年は記録に残るほどの暖冬となり、昼間気温も0℃を上回りという想定外のものとなった。
このため雪と氷がほとんどないと云う異例のコンディション。場合によってはグラベル(非舗装路、砂利道)が露出する区間が現れるなど、一時はラリーの開催が危ぶまれた程。
そこで主催者は、複数のスペシャルステージ(SS:競技区間)をキャンセル、当初の 22SS から 13SS に減らすとともに、24 時間体制で整備を行い、ようやく開催に漕ぎ着けた。これに伴い、SS 距離は331.21km から 241.48km に短縮されることになった。
オジェの通算戦績は41戦中36勝。2015年ポルトガル以来負けなしの 11 連勝
こうして始まった2016年第2戦は、2月11日夕刻、カールスタット馬術競技場のセレモニアルスタートで正式に幕を開けた。
デイ2のSS距離は、全体の約5割を占める 118.36km。トリッキーな路面状況にもかかわらず、オジェ選手は 26.9 秒の大量リードを稼ぎ出し、優位に立つ。
続くデイ3では、夜間に降った新雪の除雪役となるハンディを負いながらも首位を堅持。ボーナスポイントの対象となるデイ4のパワーSS でトップを記録し、ディフェンディング・チャンピオンらしい走りでこのラリー3 勝目、通算34勝目を獲得した。
初日のVWのミケルセン選手は、この同僚から遅れること 42秒後の6位でありながら、表彰台が狙える位置につけ、気迫溢れる走りを見せたものの最終的には4位に終わっている。
結果、ポロ R WRC は、2015 年ポルトガル以来、負けなしの11連勝を達成。実はこのWRC 記録は、フォルクスワーゲンが持つ12が最多。タイ記録がかかる第3戦「ラリー・メキシコ」は、3月 3 日(木)~6 日(日)に、メキシコ第 5 の都市レオンを中心に開催される。
[終了後のコメント]
■ フォルクスワーゲン モータースポーツ ディレクター: ヨースト カピート
「チーム全員が一丸となったからこそ、4 連覇を達成することができました。最初から最後まで全開走行を続けると大きなリスクを負い、勝てないこともありますが、オジェは見事に勝ち切ってくれました」
■ カー#1: セバスチャン オジェ(フランス) 最終結果: 優勝
「自分自身のキャリアで、これほどまでリスクを冒したことはありませんでした。しかし、結果的にはスウェーデン 3 勝目をマークできて本当に嬉しいです」
■ カー#2: ヤリ-マティ ラトバラ(フィンランド) 最終結果: 26 位
「第 2 の地元イベントで残念な結果になってしまいましたが、メキシコではスタート順の優位を活かしたいですね」
■ カー#9: アンドレアス ミケルセン(ノルウェー) 最終結果: 4 位
「優勝争いに絡もうと、初日からアタックしました。その過程でミスを犯しすぎてしまったようです。必ずこの経験を将来に繋げます」
■ FIA 世界ラリー選手権 第 2 戦ラリー・スウェーデン 最終結果
1. セバスチャン オジェ/ジュリアン イングラシア(フォルクスワーゲン) 1 時間 59 分 47 秒 4
2. ハイデン パッドン/ジョン ケナード(ヒュンダイ) +29 秒 8
3. マッズ オストベルグ/オーラ フローネ(フォード) +55 秒 6
4. アンドレアス ミケルセン/アンダース イェーガー(フォルクスワーゲン) +1 分 10 秒 8
■ FIA 世界ラリー選手権 マニュファクチャラーズ選手権ランキング(第 2 戦終了時点)
1. フォルクスワーゲン・モータースポーツ 54
2. ヒュンダイ・モータースポーツ 49
3. フォルクスワーゲン・モータースポーツⅡ 30
■ FIA 世界ラリー選手権 ドライバーズ選手権ランキング(第 2 戦終了時点)
1. セバスチャン オジェ(フォルクスワーゲン) 56
2. アンドレアス ミケルセン(フォルクスワーゲン) 33
3. マッズ オストベルグ(フォード) 27