ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:Dr.オリバー・ブルーメ)は、12月12日(土)にヴァイザッハに於いてポルシェ モータースポーツの祭典である「ナイト・オブ・チャンピオン」を実施。2015年シーズンの成績を振り返り、2016年の主要な参戦内容を発表した。
ポルシェのCEOであるDr.オリバー・ブルーメは、スピーチの中で来シーズンの展望について初めて言及し、「サーキットにおいて、2015年は当社の歴史の中で最も大きな成功を収めた年のひとつとなりました。
2016年は、私達は不変性に重点を置き、さらにギアをシフトアップする予定です。
私達は、ル・マンの4クラスのうち3クラスにエントリーする唯一のマニュファクチュアラーとなります」と語った。
919ハイブリッドがWECチャンピオンとしてスターティングナンバー1および2で登場
2016年、ポルシェ チームはタイトルディフェンダーとしてLMP1に復帰後3シーズン目のWECに挑む。
2台の919ハイブリッドがFIA世界耐久選手権(WEC)の9戦にスターティングナンバー1と2として参戦。2016年モデルの919ハイブリッドは、コンセプトの洗練に注力し、2015年の発展型とする。
新型車両は、3月25日にフランスのポール・リカールで開催されるWECプロローグで披露される見込み。
919のハイブリッドシステムは、最先端のダウンサイジングターボテクノロジーと効率的なダイレクトフューエルインジェクションを採用した2リッター4気筒エンジンを搭載し、2系統のエネルギー回生システムが発生した電気を貯えるためにリチウムイオンバッテリーを使用している。
これにより約1,000 PSのシステム出力を発揮し、同社の未来のロードゴーイングスポーツカーの開発に多くの重要な刺激を提供していく。
919ハイブリッドの開発は、未来のロードカーのための「走る実験室」に
これには、例えば、2020年までに量産化が計画されているミッションEコンセプトの800Vテクノロジーも含まれる。
なお2016年のWECのハイライトであるル・マン24時間レースには、3台ではなく2台の919ハイブリッドが参戦する予定。これは、ポルシェおよびVWグループの関連会社であるアウディが、コスト効率を最大化するためLMP1レースカーを1台ずつ減らすことで合意したため。
現在のポルシェ919ハイブリッドのレギュラードライバー全員が、2016年も引き続きステアリングを握る。
スターティングナンバー1のLMP1レーシングカーには、世界選手権ドライバー部門のチャンピオンであるティモ・ベルンハルト(34)、ブレンドン・ハートレー(26)およびマーク・ウェバー(39)が乗り込み、スターティングナンバー2の車両はロマン・デュマ(37)、ニール・ジャニ(32)およびマルク・リーブ(35)がドライブする。
ケバン・エストルがポルシェのワークスドライバーとして契約
ポルシェのワンメークカップシリーズで活躍したもうひとりのドライバーは、2016年よりポルシェのワークスドライバーとなる。
フランス出身のケバン・エストル(27)は、911 GT3カップのステアリングを握った6年間で、ポルシェ カレラカップ フランスおよびポルシェ・モービル1・スーパーカップのタイトルを含む多くの成功を収めてきた。
2015年、彼はWECスパ戦でポルシェ マンタイチームのサポート役として911 RSRをドライブし、ポルシェ ジュニアであるスヴェン・ミューラー(23)とともにGTE-Proクラスで3位の成績を残した。
このケバン・エストルが加わったことで、2016年シーズンのLMP1およびGTカテゴリーにおけるポルシェの契約ワークスドライバー数は16名となった。
ポルシェがWEC GTプログラムを再構築
2016年シーズン、ポルシェはLMP1への参戦に加え、GTE-ProおよびGTE-Amの両カテゴリーにも参戦する。
ドライバーチャンピオンであるリヒャルト・リーツ(31)およびミカエル・クリステンセン(25)は、プロフェッショナルカテゴリーでタイトル防衛に挑む。このペアは、ル・マンでウォルフ・ヘンツラー(40)のサポートを受ける。
プロトンデンプシーレーシングは、911 RSRを投入し、アメリカ人の俳優であるパトリック・デンプシー(49)が、チームのパートナーとしてWECレースに参戦する。デンプシーは、俳優業のスケジュールが許す限り、GTE-Amクラスに出場していくという。
ル・マン24時間にさらに2台の911 RSRが参戦
一方ポルシェは、ル・マン24時間レースに、さらに2台の911 RSRを投入する。
1台目は、パトリック・ピレ(34)、ケバン・エストル、およびイギリス人のニック・タンディ(31)がドライブする。もう1台のドライバーとして、アール・バンバー(25)、フレデリック・マコヴィッキ(35)およびイェルク・ベルクマイスター(39)が決定した。
ポルシェが2台の911 RSRで米国でのタイトル防衛を目指す
米国で最大のスポーツカーチャンピオンシップであるIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップは、第3シーズンを迎え、ポルシェは再びワークスチームで挑戦する。
ポルシェ ノースアメリカチームは、来シーズンも新レギュレーションに適合するために大幅にモディファイされた2台の911 RSRを投入。カーナンバー911は、パトリック・ピレおよびニック・タンディがドライブする。
耐久レース(デイトナ24時間レース、セブリング12時間レース、ワトキンスグレンおよびプチ・ル・マン)では、ケバン・エストルがこのコンビをサポート。カーナンバー912のレギュラードライバーは、フレデリック・マコヴィッキおよびアール・バンバーとなり、4戦のロングディスタンスクラシックでは、この2名のドライバーにミカエル・クリステンセンが加わる。開幕は1月30日のデイトナ24時間レースとなる。
新型911 GT3 Rがデイトナでデビュー
フロリダ州では新型911 GT3 Rがレースデビューを飾る。この車両には、ダイレクトフューエルインジェクション採用の新型4リッター水平対向6気筒エンジンが搭載する。
世界中のカスタマーチームからの強い要請により、ポルシェは911 GT3 Rの増産を決定し、約40台を供給していく予定。
このGT3車両は、昨年のニュルブルクリンク24時間レースで発表され、10月の最初のテストレースであるVLN(ニュルブルクリンク・ロングディスタンス選手権)で3位を獲得して、北コースでの実力が実証された象徴的な911スポーツカーの第7世代がベースとなっている。
シーズン開幕戦には、4チームから5台が参戦。ポルシェのワークスドライバーであるウォルフ・ヘンツラーがアレックス・ジョブ・レーシング・チームをサポートしていく。
イェルク・ベルクマイスターが、パーク・プレイス・モータースポーツに加わり、パトリック・ロングがブラック・スワン・レーシングの車両をドライブする。
2016年、ポルシェのワークスドライバーが世界各地で911 GT3 Rで参戦
ポルシェは、2016年も911 GT3 Rカスタマーチームをワークスドライバーでサポートするという伝統を継続する。
日本のスーパーGTには、イェルク・ベルクマイスターが参戦を予定。パトリック・ロングはエフォート・レーシングからピレリ・ワールド・チャレンジに挑み、ケバン・エストルは、ADAC GTマスターズでティモ・ベルンハルトがオーナーであるチーム75をサポートする。
ニュルブルクリンクの24時間レースでは、ウォルフ・ヘンツラーが再びファルケン・モータースポーツ・チームのためにドライブしていく。
併せてニュルブルクリンク24時間レースにも、経験豊かなマンタイレーシング・チームから2台の新型911 GT3 Rと4名のワークスドライバーで挑む予定だ。