FIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)は、意外な番狂わせとなったツインリンクもてぎの日本ラウンドを終え、その舞台が中国・上海に移った。
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上海国際サーキットは、F1世界選手権が開催される本格的なサーキットであり、WTCCラウンド第10戦では、その一部をショートカットし、長いストレートとテクニカルなセクションで構成されたた1周4.603kmで争われる。
具体的には、2本の長いストレートと低中速のコーナーが続くテクニカルセクションで構成され、マシン、ドライバーともに高いレベルが要求される。
コースレイアウト上でもWTCCシリーズにおいても、高速タイプにあたるコースで、構成上はシトロエンC-Elysée WTCCにとって有利なサーキットであろう。
また上海はシトロエンに乗るマー・チンホワ選手にとってホームレースとなる。チンホワ選手は、「私にとって母国でのレースで、待ちきれない思いです」と強い意気込みを見せている。
一方、ドライバーズ選手権で、タイトル獲得の可能性を残しているのは現時点では3人。今のところ、その全員がシトロエンC-Elysée WTCCを駆るドライバーとなっている。
なかでも最もタイトルに近いのは、ホセ-マリア・ロペス選手で、連覇を狙うロペス選手は、現在2位のイヴァン・ミューラー選手に対し74ポイント差をつけている。
そのミューラー選手と、3位につけるセバスチャン・ローブ選手との差は、わずか17ポイント。チャンピオン争いとともに、2位争いも激しさを増している。
一方、もてぎの予選でポールポジションを獲得、レース2ではモンテイロ選手が安定した走行で勝利を飾って気を吐いたHonda Civic WTCCにとっても上海は、比較的相性のいいサーキットだ。
フル参戦初年度の2013年には、レース2で表彰台を独占しており、昨年はプライベーターとしてHonda Civic WTCCをドライブするメディ・ベナーニ選手(Proteam Racing)がポデュウムの頂点に立っている。
特に今年の上海に関しては、「Castrol Honda World Touring Car Team(カストロール・ホンダ・ワールド・ツーリングカー・チーム)」のガブリエーレ・タルクィーニ選手とティアゴ・モンテイロ選手が意欲を見せている。
ただもてぎの成果により、Honda Civic WTCCには今回40kgのハンディウエイトを課せらている点が唯一の不安材料であった。
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しかしフタを開けてみると、予選前日の25日のフリープラクティスでは、ホンダのガブリエル・タルキーニ選手がトップに立ち、同じくホンダ・シビックを駆使するノルベルト・ミケリス選手が2位となった。
シトロエン勢では、王者ホセ・マリア・ロペス選手が、最速で3位に入っている。
タルキーニはホンダ・シビックで1分51秒222という最速タイムを叩き出し。ミケリスは1分51秒271と僅差。ロペスは1分51秒333となっていた。この時点では上位12名が1秒以内にひしめく接戦となった。
4位以降は、イヴァン・ミュラー選手、ニッキー・カツバーグ選手、メフディ・ベナーニ選手、トム・チルトン選手、ロブ・ハフ選手、地元のマ・チンホワ選手、セバスティアン・ローブ選手と続いた。
そして迎えた9月26日の予選セッション。しかし同日、サポートレースとして行われたGT Asiaでアクシデントが発生し、ターン1のセーフティバリアとその支柱が著しく損傷。
これを受けて、プロモーターであるユーロスポーツ・イベントと、国際自動車連盟(FIA)は、厳しい安全要求事項を守るため、予選セッションを翌日に延期することを決定した。
現在、予選開催に向けて、必要な基準を満たすようバリアを修復し、安全ポストを再建する作業が行われている。
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WTCCジェネラル・マネージャのフランソワ・リベイロ氏は、「予選を延期することは、チーム、観客などすべての関係者にとってよい状況ではありません。しかし、安全は常に最優先事項であり、その点について妥協はできません。
WTCCではこれまでの10年間で、異例の事態により予選を延期しなければならなかったこともありますが、その時もイベント自体はしっかり成功しており、今回もそうなるでしょう」とコメントしている。
これにより、WTCC中国ラウンドは9月27日(日)に、現地時間の8:40から予選を実施。同日14:45から決勝が行われることとなった。
ホンダ陣営のコメント
ガブリエーレ・タルクィーニ選手
「これまで、上海では2013年の優勝や表彰台など、非常にいい成績を残しています。ドライバーにとってチャレンジングなサーキットですし、ほかに比べてオーバーテイクのチャンスがたくさんあるので、エキサイティングなレースになるはずです。
ここでは2つのことが非常に重要です。バランスがいいマシンと適切なタイヤ管理です。路面はかなり粗く、コースの性質を考えると、左フロントタイヤに特に負担がかかる可能性があります。
また、上海にはWTCCにおける最長レベルのストレートがあり、それは私たちにとって有利ではありません。それでも、これまで私たちにとって運のいいサーキットですので、またいい結果が出せるようにがんばります」
◎予選延期を受けて…
「いい状況とは言えませんが、レースにとって安全は最重要です。短時間でマシンをセットアップしなければならないというプレッシャーがかかり、大変な一日になりますが、その苦労はどのチーム、ドライバーも同じです。我々も状況を正しく見極め、最善を尽くしたいと思います」
ティアゴ・モンテイロ選手
「日本での勢いを継続させようと、皆がモチベーションをとても高く保っています。私たちは日本で、マシンの進化を証明し、これまでの努力が報われました。
しかし今回、40kgのハンディウエイトが課せられたことはマイナス要素です。上海のコースはHonda Civic WTCCの特性から言っても楽なコースではなく、ハンディウエイトが加わり、状況はさらに厳しくなると思います。
しかし、私たちはその試練を受けて立つ準備ができていますし、決してあきらめません」
◎予選延期を受けて…
「楽しみが先延ばしになっただけです。日曜日はセットアップを十分に調整する時間もなく厳しい一日となりそうですが、条件はみんな同じですから集中してベストを尽くすのみです」