トヨタ自らが開発した技術を背景に、ハワイ州の販社「米Servco社」と新手のカーシェア「Hui」を始動。新たなビジネスモデルの胎動へ
トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、社長:豊田章男)は米国時間の7月10日、自らが開発したモビリティサービスプラットフォーム(以下、MSPF)を、技術的基盤に据えた新カーシェアサービス『Hui』を米国ハワイ州で開始した。
ちなみに、このサービスの運営自体は米国ハワイ州のトヨタ販売代理店であるServco社が担う。Servco社は、1919年創業のトヨタ車の販売代理店。より具体的にはハワイ地域でトヨタ、レクサス、SUBARUの販売代理業務を手広く行っている。さらにこれに合わせて車両販売のほか、保険の仲介や電化製品の販売なども手掛けている。
トヨタは、このServco社に対して、自らが開発したカーシェア事業用のアプリケーション並びにソリューションを提供する。
このトヨタが提供する新ソリューションは、北米のコネクティッド分野の戦略事業体である「Toyota Connected North America」がMSPF(モビリティサービスプラットフォーム)の一機能として、トヨタ自動車主導で開発したカーシェア事業用のアプリケーションを用いるもの。
トヨタはこのMSPFをServco社に提供し、自動車販売代理店であるServco社は、自らが主導的な役割を担いカーシェアリングサービスの運営を行い、商材である車両提供についてはトヨタがこれを手厚く支えていく仕組みであると云う。
一方、Servco社のカーシェアを利用する消費者側は、スマートフォンのアプリを通じて、ホノルル市内にあるServco社のステーション25か所からプリウスなどで出向き、利用したいクルマ・欲しいクルマを24時間いつでも、時間または日にち単位で借りることができるようになる。
また利用上でついて回る『ガソリン代』や『保険料』などの把握や、面倒なコスト計算は、もともとカーシェアリングサービスの基本料金に含まれているため窓口での手続きが不要になる。
結果、登録から車両予約、利用、支払いまでの一連の操作を全てスマートフォンアプリの上で行える。それに加え車両に搭載された「スマートキーボックス(SKB)」により、利用者はドアロックの開閉やエンジンの始動もスマートフォンで行うことができる。
このサービスの開始について、トヨタの副社長で「コネクティッドカンパニー」プレジデントの友山茂樹氏は、「Servco社のカーシェアサービス『Hui』は、地域に根ざした販売店が、トヨタのMSPFと自らの資産を有効に活用し、安心、便利で、先進的なカーシェア事業を迅速に展開できることを実証したものです。
ここで得られた成果を、グローバルな取り組みに反映し、魅力的なモビリティ社会の確立に貢献して行きます」と話している。
また、Servco社のCEOであるマーク・フクナガ氏(Mark Fukunaga)は「Huiは、ハワイにおいて最も革新的なカーシェアサービスであり、このサービスの開始は、Servcoとトヨタの双方にとって大変重要な一歩となります。
Huiが、移動手段の選択肢としてホノルル市民や旅行客の皆様にご利用いただけることを楽しみにしています」とコメントしている。
最後にトヨタ自動車は、同サービスを総括して「MSPFの導入により、販売店や事業者は、それぞれの知見を活かした独自のカーシェアサービスを展開することができます。
今後もトヨタは、MSPFを一層強化し、新たなモビリティ事業の実現に向けた取り組みを進めてまいります」と結んでいる。
ちなみに以下は筆者の感触であるものの、米国・ハワイ州に於けるトヨタのカーシェアリングに関わる試行サービスは、ここのところトヨタにとって、世界に先駆けた先行的な事業展開の布石となっている。
従って今サービス開始は、いずれ日本国内に於ける販社のサービス拡張の糸口になる可能性とヒントが秘められている。
実際には、ハワイ州と同じサービスを、日本国内でも展開出来る訳ではないかも知れないが、いずれは日本でも首都圏エリアを皮切りに、日本の市場環境に合致した独自のサービスパートナーを巻き込み、新たなトヨタ流のサービスを実施・展開していくことになるのだろう。