テスラモーターズ(TESLA・本社:米国カリフォルニア州パロアルト、会長兼CEO:イーロン マスク、以下テスラ)は、先の10月半ば頃、同社が将来リリースする全車両に、完全自動運転対応ハードウェア搭載すると謳っていたが、この程、これを目指したプロトタイプの走行動画を公表している。
主な搭載ハードは、360度の視界並びに、最長250mまで先を視認する8台(既存4台)のサラウンドカメラ。これに既存比で2倍の距離の物体を検知する12個の超音波センサーを装備。
さらに最先端のプロセッシング技術を持つフォワード フェーシング レーダーも搭載。霧・塵・雨・雪の他、前方車両の下を通ることのできる波長であることから、さらにその前方を走るクルマを見通すことが可能と謳っている。
個々の具体的な装備は、前方に役割の異なる3つのカメラを搭載。そのひとつは、最長視認距離150mを見通すメインカメラに加え、最長視認距離250mと範囲とするナローフォワードカメラ。
さらに最長視認距離60mとして、120度の視野角を持つ魚眼レンズとしたワイドフォワードカメラを搭載。これは信号機や、割り込み車両、そして近距離にある物体を捉える。併設補完されるレーダーは、最長視認距離160mの機能を持つ。
加えて横方向に於いては、最長視認距離80mの視界を確保。90度の視野角で高速道路を走行中に予期せぬ形で進入してくる車両を監視し、視界の悪い交差点を通過する際に、さらなる安全を確保するフロントフェーシング サイドカメラを搭載。
リアフェーシング サイドカメラは最長視認距離100mで、クルマの両サイドの死角をモニターし、車線変更や高速道路での合流の際に役立つ。
なおこれまでは、後方の安全確認にだけ使われていたリアビューカメラの光学性能を向上させた。これにより最長視認距離50mを確保。複雑なパーキング操作をサポートする。
その他、最長視認距離8mを確保する超音波センサーは、感度が向上し、検知範囲が約2倍となっている。これらのセンサーは、周辺車両や、特に走行中の車線に入ってくる車両を検知するのに役立ち、駐車する際のガイダンスにも使われる。
最後に、これらのハードウェアから得られるすべてのデータを解析するために、前世代の40倍以上の処理能力を持つ新型車載コンピューターを搭載。テスラ社が開発する視覚、センサー、そしてレーダー プロセッシング ソフトウェア用のニューラルネットを総合管理していく。
これらすべてを組み合わせることで、このシステムは全方向を同時に監視し、人間の感覚だけでは感知し得ない情報を取得。ドライバー以上の視界から世界を捉えられるようになる。
カメラとセンサーが新しくなったことで、処理能力が向上。これによってテスラ車はより狭く、複雑な道路でもナビゲートできるようになるとする。
例えば、ドライバーによる操作を必要とせずに車線変更し、高速道路を乗り継ぎ、目的地が近づくと高速道路を降り、駐車場では自動で駐車し、自動で車庫に出入りする。
また高速道路の乗り降りでは、一度高速道路に乗ってしまえば、あとはテスラ車がいつどのレーンを走ればいいかを決めてくれる。
目的の出口まで確実に到着するだけでなく、遅いクルマの後ろに着いてしまった場合は、より順調に流れているレーンに車線変更する機会も見逃さない。出口に到着すると、テスラ車は高速道路を降り、スピードを緩め、運転をドライバーに譲る。
テスラでは、完全自動運転の安全性は、一般的な人間のドライバーの2倍以上になると考えている。
このシステムは、運転席に座っている人によるアクションを一切必要とせずに短距離および長距離ドライブができるようにデザインされた。自動接続機能を持つスーパーチャージャーであれば、車を降りて電源プラグを差し込む必要もない。
極論を云えば、テスラに乗り込んで行き先を伝えれば、後は何もする必要はない。何も言わなければ、カレンダーを確認して想定される目的地へ向かう。目的地に到着してエントランスで降車するとパークシーク モードに入り、自動で駐車スペースを見つけて駐車する。
テスラによると、これらの新しい自動運転機能ソフトウェアは、今後テストを経て、ワイヤレスアップデートにより2016年の年末には配信されるようになるとする。
このテスラの説明によると、その自動運転レベルは、明らかにレベル3の領域に踏み込むもので、さらに以下の記述を踏まえると、さらに次のレベルも視野に入れているようだ。
但しテスラの目標でもある完全自動運転の有効化の道筋は、ソフトウェアの詳細な検証だけでなく、国際並びに個々の国家レベルを含め、様々な規制に関する承認が必要だ。
また、完全自動運転のテスラ車を使った家族や友人間でのカーシェアリングやライドシェアは自由に利用可能であるとしながらも、利益を得ることを目的とする場合は、テスラ ネットワークを介する必要があるとしており、この詳細については来年発表すると結んでいる。