欧州各国の外電によると、日本の日産自動車株式会社と事業アライアンスを組む仏・ルノー Ｓ.Ａ.Ｓ.（本社：仏・ブローニュ＝ビヤンクール、ＣＥＯ：カルロス ゴーン、以下、ルノー）の本社並びに複数の同社技術センターが、先のＶＷ（フォルクスワーゲン）の排出ガス不正発覚後に、フランス政府当局から車両検査を受け、さらに本日１月１４日（欧州中央時間）、同当局から立ち入り調査を受けたと報じている。
この報道に対してルノー側は、政府当局から立ち入り調査を受けた事実を認めた上で、「昨年、フォルクスワーゲンが導入していたとされる排出ガス不正ソフトウエアなどは、一切見つからなかった。
この調査により、排出ガス不正問題に関する政府当局の疑念について、当社が清廉潔白であることが完全に証明された」と述べている。
一方で、この立ち入り調査の事実を受けて、ルノーの株価は前日終値に対して一時２割も値下がりした。また、この影響はルノー１社だけにとどまらず、立ち入り調査などは全く受けていないＰＳＡグループの株価も３.６％下落。
これに引きずられた他の欧州系メーカーも同様に減少に転じ、ＦＣＡはミラノで７.３％下落。ダイムラーも独・フランクフルトの株式市場で３.２％株価が下落した。
今日の欧州自動車市場にとって、ディーゼルエンジンは、市民の日常生活の上で重要かつ、欠くことの出来ないパワートレーンとなっている。
事実、フォルクスワーゲンの排出ガス不正問題が発覚した時点で、欧州全体に於ける車両販売の６割はディーゼル車が占めていた。
また、これらの欧州各国の報道に対して独・ダイムラーは、「フォルクスワーゲンの排出ガス不正のスキャンダルで、欧州域内の全自動車メーカーのブランドイメージが傷つけられている」と発言した上で、この問題に関わり、自社が影響を受けることはないと断言した。
昨年末以来、フォルクスワーゲンの排出ガス不正問題を契機に、欧州各国政府は、自国の自動車メーカーを対象に、同じ不正等の懸念がないかを車両調査を介して実施している。
そうしたなかフランスに於いて、立ち入り調査が実施された自動車メーカーは今回のルノーが初。調査に入った当局によるとルノーの立ち入り調査で、同社のコンピューターを押収したとされる。対してルノーは、今後も政府当局の調査に全面的に協力すると述べている。