蘭・DSM、電子回路コネクタ素材の「ForTii Ace JTX8」を発売


自動車業界向けの高機能樹脂素材を提供するDSM(本社:オランダ・リンブルフ州ヘールレン市、CEO:Feike Sijbesma/フェアイク・シーベスマ)は今夏、日本国内に於いても発表した金属代替の新素材「ForTii Ace MX」に続き、東京都内で11月9日、エレクトロニクス機器への親和性が高い「ForTii Ace JTX8」の発売を開始した。

現在の自動車は、エレクトロニクス領域の進化が大きく進んだ事で、数多くの電子機器が搭載されている。しかしこのような機器実装スペースは物理的に限られており、今後、より多く機能搭載を求める場合、各コンポーネンツのさらなる小型化が求められる。

特にシステム間を接合するコネクタは、1台の車両に4000個以上も搭載されるケースがある。また従来の樹脂素材では実現できない耐熱性や耐薬品性等など、特殊な環境下に於ける性能も求められている。

従って、既存の樹脂素材からの積み上げ技術では今後、車両自体の技術革新を阻害する可能性も見えてきている。

そこでこれを踏まえて同社は、PA(ポリアミド)4TをベースとするPPA(ポリフタルアミド)を用いた次世代高機能樹脂、ForTii Ace(フォーティー エース)シリーズの機能別素材のひとつとして今回新たに「ForTii®Ace JTX8」をリリースした。

この「…JTX8」は、電子部品としての機能を最大限引き出すため、同社の保有技術を投入した新樹脂素材で、コネクタ部品の小型化を可能する強度を持ち、電子部品をより多く搭載させることができることから「次世代車両」の実現に大きく貢献できるとしている。

基本的な素材特性は、先に発表されたForTii Ace MXシリーズをベースとしていることから、金属素材からの代替が可能なほどの実用特性を持ち、具体的には単体の素材としてはpH1の強酸にも耐えられるだけの性能を持つ。

熱に対してもPEEK(ピーク)以上の高温のガラス転移点(160℃)を持つこと。さらにエンジンオイルなどさまざまな液体に晒される耐薬品性もクリアする。

また射出成形が容易であり、吸水性が低く寸法安定性も高い。素材単体でのコストは決して安価ではないものの、金型での加工や成形性を踏まえると充分なコストダウンも実現できるという。

なお同製品と同社は、欧州自動車系サプライヤーの他、日系自動車OEM/部品サプライヤーにも目下、広くアプローチしており、今後、加速的に高まる自動車のエレクトロニクス化の流れに貢献していくと述べている。

※上記映像は今春に開催したサステナビリティフォーラムジャパンでの同社CEO

ちなみにこのDSMは、オランダに本拠を置く国際企業であるが、その源流は1902年に創業した炭鉱会社に行きあたる。

以来、操業から115年を迎えた現在、年間の事業売上で約100億ユーロ規模(約1兆3000億円)の実績を背景に、結晶性高機能プラスチックスで自動車産業の他、ライフサイエンス領域に於いても確かな地位を築いている。

加えて余談であるが、同社は先の11月7日、トヨタ自動車株式会社の100%子会社であるトヨタ・モータースポーツ(TMG)と、最新3Dプリンティングを可能とする樹脂素材提供も含め、欧州に於けるトヨタのモータースポーツ活動を支えるための技術提携契約を締結している。

最後に昨今、高機能樹脂による金属代替市場は、毎年10%に迫る規模で成⾧し続けており、自動車の環境性能の高まりを受け、来る2025年までには、小型乗用車に於いておよそ200kgの軽量化が求められるようになると云われている。

なお製品に関する顧客側からの問い合わせ先は以下の通り
ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチックス株式会社
Tel: 03-5404-8301 / e-mail: DEP-info.japan@dsm.com